#1-22 蝶が羽ばたく日
蟲が凶悪な歯車で構成され回転する魔槍に構え突進をする、黒竜がその魔槍の餌食にまさになろうとするが、空間を上へと浮遊しギリギリの回避をする。
回避のため補助浮遊翼を広げ翼の様に黒竜は夜の大気を浮遊し、上のマウントをとり即座に翼を畳み魔法陣から剣の精製し叩きつけようとするが・・・。
「なっ・・・」
アキラが唖然とするのも無理はない、なぜなら先ほど構成された剣が先ほどよりも小さく叩きつけられる代物じゃなかった、真っ白光りを放つはずだった剣芯はさきほどと打って変わってやや光りが弱い、剣の形と形容するには短いそれは《光りの短剣》と言って差し支えないものだった、突然のことに生じた一瞬の隙で折角《大王蟲》を活動止めるチャンスをアキラたちはみすみす見逃してしまう。
「どうした、ピュティ、剣が・・・」
「あっ、あの、私にも何がなんだか・・・」
「詠唱間違えてないか、急に剣が短くなったぞ」
「いや、ちゃんと私、剣出したはずなのに」
無論こんな重大局面でこんな冗談を言うピュティではない、彼女はたしかに《光魔法剣の舞い》をイメージし詠唱をした、だが彼女の意に沿わず剣は短剣と形を変えて召喚される。
『マスター、この高度域超えるまでは短剣で凌いでください、理由はこの戦いが終わればで詳しく解説しますよ』
「・・・くっそ!わかったよ、こうなりゃヤケだ!」
『あの!私にも詳しくお願いします!』
「ええいいですよ、ではピュティ私が合図するまで短剣の強度維持に専念してください」
自らの主人アキラならある程度前文明知識で納得してくれるが、エルフであるピュティに懇切丁寧に解説するにはどうしても時間がかかる、この状況では思考ノイズは問題外なのでとりあえず疑問は全て後回しにし短剣の強度維持に専念して貰う、ニッコリと笑顔でピュティに返答し、なんとか彼女に言い聞かせるアリスである。
だが実際は大した問題ではない、これはこの星の自然現象であり、端にいまアキラたちの機体がいる高高度対流圏のナノ量が地上より非常に少ないのだ、其れゆえ大気のナノをピュティが詠唱で必死で掻き集めてようやく物質投影できたのがいま機体が持つ短剣なのだ。
「たく・・・素手でやるよか、いくらかマシだが」
先ほど取り逃した《大王蟲》が旋回する、それを忌々しく睨むアキラ。
『まぁまぁマスター、この戦いが終わったら褒美としてこの乳で乳枕してもらいましょう』
「さり気なく乳枕て新しいジャンル作るんじゃねーや、ちょっと想像しちゃったじゃねーか」
「あの街を救ってくれるなら、私でよければ乳でもなんでもっしま・・・!」
「気をつけろ舌噛むぞ」
睨み緊張するアキラに軽口を叩くアリスに、笑って軽くそれを流すアキラ、乳枕なんて単語に真に受けるピュティたちに、《大王蟲》は再度旋回し獲物見つけた狩人の様に、再度ロケットブースターを飛ばし高速で黒竜に間合いを詰める、アキラたちも短刀を構えソレを迎え撃つ。
《大王蟲》はブースト加速をし槍の間合いに降下を続けるアキラたちを捕らえる。
「何っ?!」
突進する槍を短剣で角度を逸らそうと構えたが、届く前にその槍を引き込ませ、突然黒竜の横から殴られる。
「くそっコイツ」
槍が届く直前《大王蟲》ブースターの推進力で機体方向をを横方向を変え、機体の推進用の長く延ばしたロケットブースターを棒の様に横から殴りつけてきた。
来ると思ってた前方ではなく横からの奇襲打撃に対処できず、打撃を喰らい機体の高度を落していく、無防備になった黒竜に今度こそ竜の魔槍を突き立てるべく、《大王蟲》が殺到する。
『マスター!ピュティ!キックターン』
「跳べっ!」
「は、はい!」
アリスの合図、短剣を消し一瞬だけ自分ら機体の周囲の風魔法を操作し、上昇気流を無理矢理作り補助浮遊翼を展開、その気流に翼を預けさらに緊急ブーストで機体のベクトルを強制的に上へと引き上げ迫り来る槍を避ける、再度頂上マウントを取った黒竜は短剣を再度精製し補助翼を畳み星の重力により降下運動に引き戻きもどされ、降下法則に合わせ背面ブーストを一気に点火し《大王蟲》背面へ肉薄を開始。
「これでも喰らえ!」
神経接続装置により機体の感覚と自分を重ねてしまい思わず気合入れで声を出してしまうアキラ、逆手持ち短剣を掴み黒竜はなんとか蟲のバックスタブをとる、無論超構造体である胸本体には刃が通らないため危険度が高い右手の槍を切り落とせないかと思っていたがそれは徒労に終わる。
「くそっ!やっぱ無理か」
地上の盾を切り落とした時と違い、全方位浮遊空間の上空じゃ踏ん張る足場も、遠心力による斬戟も出せない、おまけに今黒竜が握ってるのは短剣であるため不利ではある。
ただ不利とはいえ根本的にアキラたちは勝つ必要がない、ただあとすこしの時間《大王蟲》の気をこちらに引かせればそれでいい。
「暴れるな!この」
黒竜は蟲にしがみつき、2柱の竜は闇に覆われた空の海に飲まれさらに高度は下がる、《大王蟲》は何度も旋回と角度を無秩序に体を振り回し、アキラたちの機体を振りほどこうとする、それをさせまいとアキラたちは必死で《大王蟲》にしがみつく、そんな至近距離の膠着状態を破いたのは《大王蟲》の方だった。
8本の多脚と下半身を連結させ長く延ばした推進用のロケットブースタの連結を一部解除したのだ、折りたたまれた2本の機械脚が連結から解放されしがみつくアキラたちにその脚が襲い掛かる。
「?!」
「任せてください!」
空の海を抜け、襲い掛かる2本の脚は寸でのとこで阻止される、その二本の脚はピュティが精製した2本の剣で受け止められる。
「おおっ使える様になったのか!」
「私にも判らないけど、雲を抜けたらまた剣が出来そうな気がしたんです!」
ピュティの直感は正しく、雲を抜けナノが豊富な層に到達し即座に剣を精製し機体の後方にて迫る攻撃を防ぐ。
『もう終着駅が見えてきましたね』
アリスがアキラたちに進言するとおりたしかに街が豆粒程度の認識ができるまでの距離にきた。
「チッ!いい加減に暴れるな」
いまだこの期に及んでもいまだ悪あがきをし黒竜を振り落とそうとしてる《大王蟲》にアキラは舌打ちをし悪態をつくが、できることならアキラも離れたいがまた距離をとられると何をしてくるか判らない、最悪こちらを無視して地上へ行くかもしれない、幸い接着しこのまま地上へ行けばあとは《Δ》にバトンタッチないし2体掛かりなら勝ち目は大きくこちらへ傾く。
ピュティには申し訳ないが彼女には引き続き後方のブースターの機械脚の対処を任せ、アキラは暴れる《大王蟲》を必死で押さえつける、元よりあまり戦力の数としてならないはずの黒竜が、魔法でここまで粘ったのが奇跡に近い、このまま何事もなく地上まで到達できればと思ったのも束の間、突如の加速。
「あ、あれ?」
剣を操ってたピュティは突如相手が避けたのかと思いきや、機械の脚が観念したのか再度ロケットブースターの連結に戻り、それを合図にロケットブースータは点火。
「な、こいつまさか!自分諸共地上へアタックするつもりか」
アキラの推察は正解である、《大王蟲》は振り落そうと諦め、地上へミサイルの様に垂直に加速、高度が急速に下がる、このままでアキラたちの黒竜諸共地面へ叩きつけられて大破してしまう、お互い機体の中心部は超構造体に守られてる最悪痛み分けとなるが、機械の手足や破片が地上にに叩きつけられるとなれば大きな災害を持たしてしまう、そうすれば《α》の災害工作が完遂を果たし彼女の勝ちとなる。
「ピュティ!剣を!」
「は、はい!」
突然相手が脚を引っ込めさらに突然の地上への猛進に戸惑い混乱するピュティをアキラはに呼びかけ、はっと彼女は我にかえる。
ピュティは即座に詠唱し2本の剣を精製し《大王蟲》本体へ剣魚が攻撃をする、無論加速を始めた蟲にそんな攻撃が効くわけもなく、ついさきほどまで豆粒ほどだった彼女が見慣れた街がすぐそこまで迫っていた、アキラたちができることはすでやったそれで万策尽きたのだ・・・。
00:00
――申し訳ないですがアキラ様、ソレにしっかり掴まって動かないでください、
「?!」
アキラは声の主の指示に従い《大王蟲》にしがみつき、ピュティも剣の維持をいったん解く、そして黒竜は限りなく動かない様勤めた。
そして刹那音もなくそれは地上から放たれた、それは貫通こそしなかったが《大王蟲》に直撃し、胸の超構造体に大穴が開く。
「間に合ったか!《Δ》!」
『協力頂きありがとうございます、アキラ様』
地上には換装が完了した《阿修羅》の機体が上空へ向けて超構造体の弾を亜音速で打ち出す3又の巨大なレールガンを向けていた、打ち出したのレールは過充電によりバチバチと雷を放ち白く輝いている、その輝きは夜の世界を照らしカーティラの街の兵士たちを嫌でもそれに目を引く。
一方上空《大王蟲》はレールガンによる超構造体弾により装甲がついに剥がされ、裸の《石版》が顕わになった、だが蟲がいまだに狂った様に加速は止まらない。
「ピュティ!」
ピュティの詠唱に反応し竜が大きく吼える、即座に剣の精製し、黒竜はすぐさま《大王蟲》を後ろから掴み角度を固定させ剣の方へ胸の開いた穴を向ける。
「やれぇぇ!」
「はぁぁ」
ピュティはイメージと演算をする、伸びる3本のレールが《大王蟲》捉え、レールは胸の大穴通り胸のディアンナの《石版》へ剣が脱兎の如く射出する。
AIの頭脳であり人格の核でもあるバイナリデーターが刻み込まれた人工合成岩を3本の剣が殺到する、剣は《石版》を三方向に串刺す、そこで初めて《大王蟲》は歪な鉄錆びの機械音をノイズの様に振動し、蟲の断末魔が闇の空を轟かす。
―――!
――!
―!
―――そして《α》の《石版》はついに破壊された
加速を続けた《大王蟲》はついに電脳による制御を失い、それと付随して地上で進行してたディアンナの眷属たる子機の《王蟲》群も、親機のシグナルが途絶え全ての機体は機能停止する、そして・・・。
『マスター!何してるんですか、離れてください』
「えっ、あ」
ようやく敵AIが斃れたという感慨深さに浸ってたのも束の間、アリスの警告により緊急回避に補助翼を展開させすぐさま《大王蟲》から離れる、そして直後《大王蟲》は光りが機械の各所から漏れ出し、やがて眩い光りと音に包まれ羽蟲は
―――大爆発をした。
そしてアキラの視界が白く染まる。
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まどろむ意識の中・・・
フローラミントのいい匂いがする。
「ッ」
そこで俺は、はっと目を覚ます、目の前には天井があり、宝石の様な石が吊り下げられそこから僅かに光が照らされ部屋を照らし、そしてここが先日泊まった部屋だということがわかった、そしていいミントの匂いがする主がすぐ様隣にいたことに気付く。
「ピュティ・・・」
かの人物はエルフの魔法使いにしてお姫様のピュティということを認識できた、彼女はどゆう訳か俺のベットの隣でベットにもたれかかりながらうつぶせに寝落ちている。
地面には本がいくつも置かれ、羽ペンや羊皮紙に書きかけの何かが散乱し、直前寝落ちまでに読んでたのであろう開かれてた本を手元に引き寄せる。
―七色の英雄譚
古ぼけた表紙にはそう書かれていた、パラパラとめくるとバーコードの様な配列のエルフ文字が手書きで書かれている、無論俺はエルフ文字など読めない、ページの一つに止まると上の段から下へ翻訳が進み俺が読める文字に置き換わる。
『殊勝な心がけですね、この雌の知りたい病がうつりましたか?』
視界をページから外すと赤い瞳の幼女が俺のベットで脚をぶらぶら遊ばせて暇そうにこちらを見てる。
「一体どうなってるんだアリスここは・・・ピッティの屋敷か」
『はい、あのあとマスターは、至近距離で《大王蟲》の爆発の閃光と音で気を失いました、そのあとはここまで運ばれましたよ、三日前に』
「は?!おれ三日も寝たのか」
『シー、声でかいですよ』
「あっ・・・」
俺が三日ずっと寝てたことに驚いて声がでかくなったのを、アリスは注意する、それは隣で幸せに寝てるピュティを案じてなのだ、幸せに寝てるなら騒いで起すのもカワイそうだから、そっとトーン落すそう。
「で、あのあと街はどうなった?」
『そうですね、指揮してたディアンナが消失した以上《王蟲》は機能を停止しました、その停止した《王蟲》も《Δ》が全て取り除いたので一先ず大丈夫です』
「それはよかった」
『大なり小なり死傷者は出ましたが、マスターたちは最善は尽くしたと私は想いますよ』
「・・・」
わかっていた、これだけの大事で何も被害がないなんてことはまずありえない、もし自分がこの街に来なければもしかしたらAIがここにこなかったのでは?と頭を過ぎる。
『物事は事象の連続です、南半球で羽ばたく蝶が北半球で起きる台風の責任を感じて羽ばたくことはやめる、なんてことありませんよね?』
「・・・」
『それに、マスターは勘違いしてますよ、何もディアンナは私たちが呼び寄せたわけじゃないと思いますよ』
「どゆうことだ?」
『まぁ《王蟲》はもう機能停止したので、詳しくは暫く養生してから後処理の時に詳しく説明しますよ』
どゆうわけかアリスは俺のせいじゃないと確信して言ってるが、そこは素直に信じよう、だとすれば俺がこのタイミングで来たのは正解だったのだろう。
『あとマスターの魔竜も一先ず《Δ》の施設に戻され修理してます、今回の件もありあの機体は所有権譲って頂きましたので今後もなにかと活用はできますよ』
まるで犬猫を貰う気軽な感覚で兵器貰ってきたなコイツ・・・。
「はぁ・・・スキにしろ」
ドサッとまたベットへ起き上がった体を沈め天井を見上げる、いろんなことが起きて疲れたが眠気はこない、どうやらホントに三日三晩寝てたんだな・・・、そんな手持ち無沙汰な俺はやつこともなかった、自然と隣でスヤスヤ寝息を立ててるピュティに視線が移る。
艶やかな金色の髪を撫でる、恐らくピュティのことだメイド丁寧に梳かされてたであろう、このサラサラの髪が指に触れる指の感覚を刺激心地よく感じ、いつまでもピュティの髪を弄れそうで飽きが来ない、無論俺は髪をいじくる様な変態ではないのだが・・・、なかなかどうして止められない病み付きになる。
「ママ・・・」
「っ・・・」
不意にピュティの囁く様な寝言に俺は考えた、『母』つまりピュティの母親で5人も娘を産んだこの国の女王『フリージン・アストレア』そしてその側に居た《EXE》、そして《EXE》は例外的に《中央》に接続問い合わせができる例ということ、とどのつまり女王の元へ行くにはピュティの存在が必要不可欠になる、さてどうしたもんだか・・・。
――コンコン
「ん?」
ドアの方からノックの音がした、誰だろ?。
「どうぞ」
「 」
顔こそ見えてないがドア越しで俺が返事したことにやや驚いてる感じがした。
「失礼します」
予想してたどおり相手はレズリーだった、すこし驚いた素振りだった。
「具合はどうですか?」
「えぇ、お陰様で気分は上々で」
「それはよかったです」
ピュティが寝てるせいでお互い潜め声で会話をする、そんなまさに爆睡中のピュティに持ってきた毛布をそっとかける、どうやらピュティが寝落ち累犯者であることが判る。
「アキラ様・・・すこしお時間頂いていいですか?」
「え?」
「すこしだけ世間話をしませんか?」
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いい匂いのミントの茶がティーカップに注がれ、俺はそれに一口飲む、ほどよいミントハーブの爽やかな茶が喉を潤わし、清涼感に満たされとても気分がよくなる。
「どうですか、お口合いますか?」
「いやこれほんと、とてもいいよ」
「ふふ、どうやらその様ですね、こちらを」
「あっ・・・」
想ったよりも俺はミントティーが気に入ったのか、気付いたらほぼ飲み干してた、すかさずレズリーがポッドでティーをいれてくれた。
「失礼しますね」
さて本題とばかり俺のイスの前に座り向き直った、あのあとピュティをひとまず部屋に置いておきレズリーに案内されるがまま、着いたのは屋敷のそとの裏手側にあるハーブの庭園だった庭園のすぐ側には椅子が3席に机が1席おかれ、おそらく普段は庭園を楽しみながらティーを楽しむ場として機能してるのがわかる。
「アキラ様が眠っていたので、ようやくこの場をお借りして礼を申うしあげます、ありがとうございます・・・姫様を守って頂いて、そしてこの街を守って頂いて・・・」
「・・・」
そう言ってレズリーは俺に頭を深く下げた、なかなか女性に頭下げられることは早々ないだけに戸惑った。
「そしてもう一つ、謝罪を・・・貴方の・・・アキラ様の功績は民衆には知られず・・・全ての《大王蟲》討伐した名声は姫様が負うことになったしまった件について・・・」
「ほう、それは初耳だ」
なかなか興味深い話が出た、名声も功績興味はないが、俺はどんな話しが出てくるのか気になった。
「黒い竜、そう黒竜が《大王蟲》の死骸が降り注ぐ中地上に落ちてたきた時のことです・・・」
そしてそこから3日前に俺が気を失ってからの竜たちがどうなったのかレズリーは教えてくれた。
どうやら俺が気絶してから、黒竜は地面落ち、ピッティが恐らくアリスの助けによりコクピットハッチを開き外へ出た、その時点でティファもレズリーも俺がコクピットにいるのが判った、なによりピュティが俺の助け呼んでたのだ、だが無論竜の中から姫が出れば集まってきた兵士たちは大騒ぎになった、あれやこれやと《大王蟲》を倒した竜の姫君として祭り上げられた、先日の城壁防衛でも光の柱をを落す大魔法も使ったという俺が押し付けたシナリオが輪をかけて竜の姫君や聖女としての信憑性が強固に構築され、噂が尾ひれがどんどん付き他地域へ噂がどんどん流れ、いまじゃ国中竜を退治した姫として話題が持ちきりだった、なまじとどめのラストアタックはピュティの魔法で倒したのだからあながち間違ってない気もするが。
「そっか、まぁ俺は全然構わないよ、もとよりそんな名声のためにピュティを街を助けたわけじゃない、俺はただ」
「ただ?」
「最初に持った繋がりは無くしたくないだけかな」
それは俺の本心だ、この世界へ飛び出し最初に会ったエルフの女性、そんな彼女に特別な感情が無いないと言えば嘘になる、それは雛が親鳥を見て感じる感情なのか、はたまた思春期の男が女に一目惚れをする感覚なのかわからない、けどピュティにはひたむきな懸命さと背負う物の重さが不思議に醸し出すか魅力がある、だから彼女がまた何か困ってたらきっと俺は助けたくなる、そんな気がしたのだ。
「・・・そう、ですか」
俺はミントティーまた啜り喉の潤いを与える、なにやら自分はちょっとカッコつけなセリフを言ってしまいちょっと恥かしくなった、今が夜でよかった、じゃなければ顔が真っ赤なのがばれてしまう・・・。
「判りました、では最後に」
なるほどなとレズリーは納得し、遠慮がちに言葉を続ける。
「貴方の詮索はしません、ですが・・・《魔竜》に縁があり、姫様が信頼を寄せる貴方に頼みたいのです」
「・・・」
「姫様と共に王都へ赴き、姫様を守って欲しいのです」
そして開く願い言の葉は羽ばたく蝶の様にどのような竜巻を起すかは、この場の2人に限らずこれから関わる全ての者たちにどのように影響を及ぼすのかがいまだわからない、ただ・・・カオスの渦はアキラとピュティを中心に物語が廻り始める、その先がどれほどの苦難が待ち受けようとも。
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