4話 よろしく
宿の自室にもどり、買ってきたメイド服とエプロン、首輪を出した。
「んー、着替える服を買わなかったなあ、まあ一応メイド服を着といてくれる?」
「ありがとうございます。ご主人様。私はどこで着替えればよろしいでしょうか?」
なんと、そうかここは一部屋しかない宿だしな。トイレで着替えることは出来るがフートだしな、そこまで気を遣わなくてもいいだろ。
「んじゃそこで着替えて?僕は後ろ向いてるから終わったら言って?」
「かしこまりました。お気遣いありがたいのですが、ご主人様は私にお気遣いになる必要はございません。」
見てもいいと言うことかしかしなあ
「いや、いい」
「かしこまりました。」
まあこれからいくらでもチャンスはある。いくらフートでも最初のイメージを良くしとかないとな。
スルスルっという音で背後の状況を妄想してしまう。今や奴隷を買ってしまっているが、僕だって健全な高校生だ。着替えで興奮してもしかたないだろう。
「お待たせしました。ご主人様。」
「おう、うーんその頭のカチューシャとエプロンとった方がいいな。ただ夕飯を食べるだけだから」
「かしこまりました。」
「じゃ、行くか」
「はい、ご主人様。」
二人で一階までおり食堂に向かう、女の子を連れて歩くのはフートでも誇らしい。
食事を済ませると部屋に戻り、僕はベッドに腰かけた。パールは床に膝を着こうととしていた。
「あ、おい。床に座ってどうするんだ?スカートが汚れるだろ」
「私が洗いますので」
「いや、そういう問題じゃない。とにかく上に座って。ほらココに」
そう言って僕が座っているすぐ隣をたたいた。
「よ、よろしいのですか?」
「あたりまえでしょ」
「は、はい」
そう言って僕のすぐ隣に座った。女の子がこんなに近くに座られるとドキドキしてしまう。は、もしかして彼女は僕の近くに座るのが嫌だったのか?
「あ、もしかして僕の側は嫌?」
「いえいえ、とんでもありません。ご主人様のお隣なんて自分には不似合いだと思いまして。」
「なんだ、そういうことなら気にしないで」
「はい、心配おかけして申し訳ございません。」
僕は冊子についていた、アランダの全体地図を広げた。
「実は僕は田舎から来た者なんだよパ、パール。だからまだこの町を知らなくてね、そのために君を買ったとも言えるんだよ。」
「ありがとうございます。しかし、私以外にも適任はいたかと思われますが?」
「君が適任だよ。なんせ可愛いから。」
「あっありがとうございます。」
少し顔が紅くなったのがわかった。可愛い!
「まあそれはさておき、今から住むアパートを決めるんだけど、そこで君の相談が欲しいんだよ。」
「かしこまりました。」
「で、だ。ズバリどこがいいと思う?」
「え、あ、はい。北部とかはいかがでしょうか?」
「なるほどね。下品行為が禁止の場所ねえ。」
「え、いやそういう意味ではございません。私はご主人様にどんな行為をされても構いません。」
「ああ、大丈夫大丈夫。でもよく勉強してるねえ。で?なぜ北部を?」
「奴隷の扱いも一部ですが、気品のある町だからです。貴族も多いのですが、ご主人様のお店でのご立派な態度を見ていると貴族から特に下に見られるような事は無いかと思いましたので。」
「なるほどね。なら北部にしよう。」
「はい。」
「あと、言っとくと僕も貴族だからね?」
「え?これは、失礼しました。なんとお詫びを…」
涙目になってしまった。そんな彼女も可愛いくて眺めていたいが、それは流石にかわいそうなので慰めた。
「大丈夫だよ気にしてないから。僕はイレギュラーに貴族になったから見た目は民にした見えないだろうしね?」
便乗して彼女の背中をさりげなくさすった。
「すみません。」
「それは済んだこととして、僕が貴族になった理由はめんどくさいからいつか話すね。」
「はい。ご主人様。」
「そして、もう一つ大事な話があるんだけど…」
「は、はい。何でしょうか、ご主人様。」
目をつむり空間をおき、シリアスにした。パールは目を見開き、覚悟の顔をしていた。
「この国のフートの常識として、ご主人様に迷惑になるような想いを抱いてはいけない。とあるよな?」
「はっはい!」
「だが、真剣に、心の底から惚れたら言っていいからね?つまり、惚れたかったら惚れてもよいということ。」
自分の顔が熱くなるのが分かる。僕は何を言ってんだ。
「は、はい。そのようにさせていただきます。ご主人様。」
「だけど、絶対に嘘を言うなよ?機嫌をとるためとかで嘘の告白をするのはいろいろ面倒いから。」
「かしこまりました。心に念じておきます。」
「以上だけど。質問ある?」
「いえ、特には」
「わかった。あと、好きに僕に話しかけていいからね?」
「ありがとうございます。ご主人様。」
「よし、じゃあ行こう。」
宿を出て、五分程歩くと冊子で紹介されていた不動産屋があった。看板を見た感じでは信頼出来そうだ。
まあ借りるだけだしな、軽く決めてしまおう。
「北部にアパートを借りたいんですけど、月200ランあたりのを」
「かしこまりました。ただいまご用意いたします。」
交渉の席で店員と向き合って話す形だが隣にパールを座らせた。
「こちらが200ランでございます。」
おお、かなり広い。二人なら十分だ。キッチンもシャワーもついている。流石に風呂は無いが構わんだろう。部屋はふたつ、ひとつは寝室でひとつはリビングにすれば最高だ。
「よし、これお願いします」
「即決ですね、お客様。よろしいのですか?」
「ああ、はい。サインだけで他の手続きは省いてもらえますか?お金は小切手で渡しますから。この宿に泊まってるので電話はここにお願いします。」
そういってメモを渡す。
「かしこまりました。ではここにサインを」
「これでいいですか?」
てきとーに名前を書いた。
「ありがとうございます。では進展があり次第ご連絡します。」
「はーい。待ってます。」
住居は即決した。




