12話 素直
北部の朝は冷える。ホテルだから宿より外の温度は伝わってこない。
パールは初日に寝坊して以来僕が起きてから十分以内には気づいて起きてくる。だがやはり、僕より先には起きられないらしい。不器用なとこもかわいいなあ。
「おはようございます。お兄様。」
「おはよう、今日は北部を散策してから午後には東部、そして帰るぞ。」
「かしこまりました。」
「どこ行く?」
「え?ええ、北部の喫茶店とかいかがでしょうか?あとは…洋服屋とか。」
「洋服欲しいの?」
「い、いえ!ただ北部の服も見たくて」
「そうか。まあ素直でいいよ。でも買うのはここに越してからな、荷物になるから」
「はい。」
「あの、ひとついうとね僕は君に素直でいて欲しいんだ。」
「え?は、はい。」
「僕は故郷に好きな女の子もいた。そして、ここにも美人な貴族のご令嬢もいる。だけど、なぜフートである君だけに告白をしたか…それは素直なところに惹かれたというのもひとつの理由だ。フートへの教育は欲を捨てさせるものだった。それは悪い面もあるがいい面もある。つまりズルい賢さを教えない。道徳的である。君は素直だ。だが、僕が色々買い与えて行くうちにおねだりしてみようとか考えるようになるだろう。いずれ遅かれ早かれ人は甘くされれば絶対たどる道だ。だが僕は君に甘くしている。そんな中でも素直を通して欲しい。無茶な話だが無理でもないと思う。服が欲しければ欲しいと言えばいい。この願い聞いてもらえる?」
「はい。」
「ありがとう。」
「ごしゅ…兄様に気に入ってもらって嬉しいです。」
「そうそう。お兄様という設定は成長に役立つだろ?つまり、貴族にもらわれた養子。君に似た状況だからな。つまり、僕を家族のように扱っても怪しまれない。」
「そこまで考えておられたのですか。さすがご主人様。…お兄様!」
「ははは、慣れてないな。」
「…はい!」
パールはとても嬉しそうに笑った。
「お兄様!私、服を見たいです!欲しいわけではなく、ただ見たいのです。」
「よおし!じゃあウィンドウショッピングするか!」
「はい!」
おお!心の底からの笑顔だ。パールは民に近づいてるなあ。




