表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第一章:戦場の中で 第二話「酒場での会談」

大分、長めだと思います。最後まで読んで頂けたら幸いです。

2040年代初頭、時代は一変した。

技術革新により、医療・軍事・科学は飛躍的に発展した。

中でも、軍事の分野が著しい発展を遂げた。その結果、全世界の国々が軍事面に力を注ぐようになり、大国であるアメリカとロシアの間で新冷戦が勃発した。また、新冷戦の影響が世界に波及し、各地で戦争が勃発した。その中でも2045年、中東で起こった第4次中東戦争は、中東全土を巻き込んだ大戦にまで発展した。この戦争は、根深い宗教問題と膨大な天然資源を求めたことが原因である。

それは、アラブ・イスラム教スン二派の盟主であるサウジアラビアとアラブ・イスラム教シーア派の盟主となったイランの対立が戦争にまで発展、中東全域を巻き込んだ。しかし、この戦争はわずか3年という期間で終わる。

「平和の象徴」と謳う日本が仲裁したのである。


2043年頃、日本は新冷戦の勃発とともに国際社会で「平和の象徴」という地位を確立するために国際連合に働きかけをした。これは、太平洋戦争で経験した戦争の恐ろしさを日本の政府や国民に至るまで思い知っていたからである。「平和の象徴」の地位を確立することに成功した日本は、新冷戦を起こしたアメリカとロシアの両国の責任を追及し、両国の国際社会での影響力をそぐことに成功した。そして、日本を盟主とする世界安全機構「Guardians」を設立。世界の国々のおよそ9割が加盟した。(アメリカ、ロシア、中国の大国を除く。)その結果、世界各国で起こっていた戦争・紛争が中東を除く地域で消失した。


火薬庫と化した中東では、日々戦死者と難民が増加し大地が荒れ、とても戦争を継続できるような状況ではなかった。そこで、日本を盟主とする「Guardians」がサウジとイランの両国に停戦するように勧告。この勧告に対し、サウジ・イランの両国が了承し、日本を仲裁として二国間で終戦の条約を結ぶことになったのである。しかし、2048年、日本の仲介人として選出された篠原 勉 副総理大臣とサウジアラビア日本国大使 影山 圭吾が暗殺される事件が起こったことにより事態は急変する。二人が暗殺されたことにより、条約締結まであと一歩のところで断念。「Guardians」は事態の収集に専念せざるを得ない状況に陥ったのである。


終戦条約を締結することができなくなったことにより、二国間の仲が悪化の一途を辿った。そして、この二年後、2050年3月に第5次中東戦争が勃発することになる。


ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

2049年3月 サウジアラビア 首都「リヤド」のとある酒場


「やぁ~、ライト宰相どの~、ご機嫌如何かぁ~」

「やぁ、アレック。・・・その呼び方はやめなさい。仕事終わりで飲む酒がまずくなるだろ。」

「さようでございますか、宰相どの~」

「たく、お前という奴は・・・」


ここ首都リヤドのとある酒場で二人の男性が酒を飲みながら談笑をしていた。一人は既に酒に酔っていたのかもう一人の男が来る前から舌の回りが悪くなっていた。その様子に呆れたもう一人の男はため息をはいている。


「あぁ~、そうだライトぉ~、要件があるんだったなぁ~。ちょうど、俺もお前に要件があるんだぁ~。先にお前の要件を済ませようぜぇ~」

「あぁ、・・・例の少年についてだ。」


すると、アレックという名の男が急に鋭い目つきに変わった。周りの喧噪とは違い、この二人がいる場所だけが冷たいオーラで包まれている。


「・・・場所を変えようか。」


二人は酒場の奥にある部屋へと入っていった。その部屋ではしばらく重たい空気が長く続いた後、口を開いたのはアレックという名の男であった。


「あいつは、死神に愛されてやがる。」「・・・死神とな?」

「あぁ、そうだ。死神だ。・・・俺ぁ、傭兵稼業を40年以上しているからわかるんだ。あいつのオーラは死神のそれだ。」


アレックは長年傭兵として幾多の死線を乗り越えてきた歴戦の猛者である。故に、アレックのような猛者たちには、戦場での独特のオーラや個人が発するオーラが分かるのであった。


「彼は、そんなに凄いのかね?」

「凄いとか、そんなもんじゃねぇよ。・・・あいつは半年ほどで細胞に順応しやがった。それだけじゃねぇ、俺たちの技術を1年で習得したのさぁ。」「・・・凄まじいな。」「あぁ、この調子なら実戦に投入しても大丈夫だろうよ。」


彼らが話しているのは一人の少年のことである。彼らは一人の少年の凄まじさに終始ため息をはいている。


「まさか、あの少年が "スネーク細胞"に適応してしまうでけでも驚きであるのに、傭兵の技術まで脅威的な早さで習得してしまうとは・・・

殿下もこのことを聞けばさぞ驚かれるであろう。」

「あぁ、違いねぇ。」


「しかし、大丈夫なのか? あの少年には危うさを感じるのだが?」

「それに関してはなぁ~、大丈夫だ。この前なんか、武装集団50人に対して一人で戦って勝ってたよぉ~。」                                             「いや、戦闘面ではなくて精神面についてなのだが・・・・」

「----まぁ、精神面に関しては・・・・あまり心配すんな! 俺たちがついてるからよ!!」

「はぁ、ならいいんだが・・・・」


ライトは、アレックが全く少年を心配していない様子に呆れつつも、これで自分の主の戦力が増強されたことに対しての安心感も感じているのである。


「では、殿下には、十分戦力に為り得ると伝えておこう。」「あぁ、そうしてくれ。」「・・・じゃあ、帰るよ。」


すると、話が終わったと思い帰ろうとしたライトに向かって、アレックはこう投げかける。


「おい、まだ話は終わってないぞ・・・。宮中の話を聞かせろ。」

「あぁ、すまん。自分の要件が済んだから、ついね・・・」

「ついね・・・じゃねぇよ!全く、お前の普段、宮中で発するあの雰囲気はどうしたってんだ!宮中じゃ、ほんと偉そうにしてやがるのに、いっつも俺と二人の時は何故かおふざけさんじゃねぇか!」

「すまん、すまん。まぁ、落ち着け。いつものことじゃないか。」

「うるせぇー!」「・・・うるさいのは君だが?」「だぁー、何でお前が文句言ってんだよ!」


と、こんな風に会話をしている二人ではあるが、アレックは傭兵団の隊長で、ライトはサウジアラビア王国の宰相であり、皇太子の側近である。実際にライトは宮中では聡明で冷徹な宰相と評判であるのだが、血で血を洗う政争が絶えない宮中で気を許す相手がいないことから、唯一気を許すことができるアレックに対してはいつもこうである。また、ライトにとってアレックは心の癒しの一つであった。


「で、真面目にどうなのよ、宮中は。」

「・・・最悪の一言に尽きる。陛下がお倒れになってルー皇太子が国王代理として政を行っておられるが、ラー第二皇子とその配下の反発が予想よりも大きい。お二人の仲は徐々に険悪になっておられる。それに加えて、イランが動き始めた・・・」

「イランが・・・」

「あぁ、第4次中東戦争が終わって以来、国力を落としていたイランが最近活発化してきているという。どうやら、裏にロシアが絡んでいるようだ。それに "あいつら"も絡んでいるようだ。」

「そいつは、やべーなぁ・・・」

「間違いなく、1年以内には我が国とイランの間で再び戦争が起きるだろう。」「ふぅー、それは不可避なのかねぇ~。」「あぁ、不可避だ。」

「全く、戦争なんて何で起こるかねぇ~。」「さぁな、傭兵であるお前にとっては仕事が増えて喜ばしいのだろうが。」「いーや、俺だってできれば戦争なんてかかわりたかねぇよ。・・・だがな、誰かこんな不毛な争いを一日でも早く終わらせる方法を戦うこと以外に知っているなら教えを乞いたいぐらいだぜ~」「・・・そうだな。結局、戦争が始まってしまったら、現場の人間に任せるしかないからな。我々裏方の人間は政治的駆け引きを行うことしか脳がない。」「だろー」


「あぁ、だからお前たちがいるのだろう。世界でもトップであるお前たちが。

特殊傭兵部隊「スネーク部隊」。是非、戦場で君たちが活躍することを願っているよ。アレック隊長殿。」

「しょうがねーな。・・・んじゃ、もう少し飲んでくか~?」

「いや、遠慮しとこう。家で家族がまっているのでね。」

「ん、じゃあ、家までそこの兄ちゃんたちと一緒に護衛してやるよ!」

「そうか、それは頼もしい。」


こうして、とある酒場でも会談は終わり、首都リヤドの夜は更けていくのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ