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009


「ガァアアアアアアアア!!」


俺の目の前には憎きレッサードラゴンがいた。

大きな口を開け今にも俺を食わんとしていたのだ。

しかし、そんなものに怯む俺では無かった。


俺は落ち着いて体内の魔力を操作する。

レッサードラゴンが口内に火を蓄えだした。

魔力を薄く広げ見えない壁をイメージする。

レッサードラゴンがブレスを吐いた。

その火球は俺の生み出した魔法の壁に阻まれ霧散する。

俺は無傷のままそこに立ち尽くしていた。


その様子を見たレッサードラゴンは空高く舞い上がり俺めがけて突撃してきたのだ。

鋭い爪をむき出しにして俺を引きさんと飛びかかる。

しかし、その攻撃も俺の魔法により失敗に終わる。

レッサードラゴンの爪が魔法の壁に当たり大きな音を鳴らす。

その攻撃の強さを示すようであったが壁には欠片の綻びも生じなかった。


その結果ににやりと口元に笑みが浮かぶ。

俺の魔法はレッサードラゴンの攻撃を防ぐに至ったのだと嬉しさがこみあげる。

興奮から喜びの声を上げそうになるのを理性で抑え込み俺は次の行動に移った。


防御の次は攻撃だ。

レッサードラゴンに火はないよな?

ならば風だ。


俺は再び魔力を操作して魔法を放つ準備をする。

次にイメージするのは薄く鋭い刃のような風。

それをレッサードラゴンの首目掛けて解き放つ。


結果は一瞬だった。

レッサードラゴンの頸部に薄く赤い線が引かれたと思った次の瞬間にはその首と胴体は分かたれて地に落ちたのだ。

レッサードラゴンが動く気配はない。

殺したのだ。


「よっしゃぁああああ!!」


俺はその結果を見届け今度こそ喜びの声を上げた。

そう、俺は成長したのだ。

俺の魔法はレッサードラゴンを殺すことができる程に強くなったのだ。



==============================

赤真雄一 / レベル22

 

種族 : 魔王

クラス: 魔王


HP : 430,400/430,400

MP : 448,242/448,390(480,590)


ステータス:

 攻撃力  : 44,920

 防御力  : 42,390

 魔法攻撃力: 51,580

 魔法防御力: 44,670

 器用度  : 37,520

 敏捷度  : 50,680


スキル:

・魔王の肉体

・ダンジョン作成

・アドバイザー

・原初魔法

==============================



これが今の俺のステータスだ。

そのステータスは平均10,000のレッサードラゴンを優に超え、ドラゴンさえも凌駕するに至っている。

だからこその圧勝である。

度重なるレベリングと先日の襲撃者撃退を経て俺はこれだけの力を手に入れたのだ。


『お見事です。マスター。』


この成果にアドバイザーも賛辞を贈る。

それがまた嬉しく俺は顔が綻ぶのを抑えられなかった。


「どうだ?これなら簡単には死なないだろう?」


『はい。生半可な攻撃ではマスターに傷一つつけることはできないでしょう。』


「そうだろう。」


『しかし、油断は禁物です。世の中にはドラゴンスレイヤーと呼ばれるものもいます。そう言った方々はドラゴンさえも殺すのです。今のマスターとて安全とは言えません。』


アドバイザーは俺の冗長をそう言って窘める。

ドラゴンスレイヤー。

そんな強者までいるのか。

つくづくこの世界の強さに限りは無いのだと実感させられる。

俺は油断は良くないと気を引き締めるのだった。

まだ、死にたくはない。


気を取り直して俺は不毛の大地を歩くのであった。


--


天高くを飛ぶレッサードラゴンが獲物を見つけ急降下してきた。

誰でもない俺自身を目掛けて。


「ガァアアアアアアアア!!」


レッサードラゴンはその大きな口を開いて俺に吠え掛かる。

しかし、その咆哮ももう怖くはない。

俺の力はすでにレッサードラゴンを越えているのだから当然である。


次も俺の魔法をもって瞬殺………と行きたいところだが今回は別だ。

俺はレッサードラゴンから目を話し足元に向ける。

そこには1抱え程のゼリー状の生物、スライムがいた。


タダのスライムではない。

こいつはスライムの上位種であるエンペラースライムだ。

通常エンペラースライムは巨大な体を誇っているが今は【縮小化】のスキルを使って通常のスライムと同じ程度まで体を縮小しているのだ。


俺はそのエンペラースライムを見る。

俺の期待が伝わったのかエンペラースライムは体を震わせて戦闘準備万端であることを示した。

それに頷き返して答える。

再びレッサードラゴンに目をやる。

レッサードラゴンはブレスを吐き出そうと口の中に火を蓄えていた。

その様子を見ながら俺は落ち着いた声色で呟いた。


「やれ。」


その瞬間、待ってましたと言わんばかりにエンペラースライムは勢いよくレッサードラゴン目掛けて飛びかかった。

そして【縮小化】を解除する。

とたんに膨れ上がったエンペラースライムにドラゴンは驚き怯む。


急ぎ撃退するためにブレスの矛先をエンペラースライムに変えそれを放つ。

しかし、その攻撃はエンペラースライムに飲み込まれ消えてしまった。

エンペラースライムの核はおろかその体を消し飛ばすことすらできない。

当たり前である。

エンペラースライムの体は高濃度の魔素で構成されている。

当然外部からの攻撃に対する防御力は高い。


レッサードラゴンの攻撃を無力化したエンペラースライムは体を大きく広げレッサードラゴンの体を飲み込もうとする。

レッサードラゴンも当然回避しようとする。

しかし、レッサードラゴンが回避しようと動くよりもエンペラースライムの方が早かった。

レッサードラゴンの体全体を覆いこみ、その体内に飲み込む。

飲み込まれたレッサードラゴンは暴れ、脱出を試みるも無駄に終わる。

次第に抵抗は緩やかになっていき、ついには動かなくなってしまった。


これまた圧勝である。

当然である。

エンペラースライムのステータスもまたレッサードラゴンの上位、ドラゴンに匹敵するものなのだから。

その力の前にレッサードラゴン程度では太刀打ちできない。

俺はその結果を満足そうに眺めているのであった。


「さすが俺のダンジョンの最高戦力だな。」


『はい。レッサードラゴン程度では太刀打ちできないでしょう。』


「こいつがいれば並みの冒険者の相手は問題ないな。」


『はい。しかし、エンペラースライムをはじめスライムだけでは偏向的です。それではできることが制限されてしまいます。今後はダンジョンの拡張と合わせて魔物の種類を増やすことをご検討ください。』


アドバイザーのその言葉に俺今のダンジョンの様子を思い出す。

巨大な大迷宮を誇る第1階層にスライムが所狭しと分布している。

確かにそれでは通り一遍な状況だと取れるだろう。

これを打開するためにはスライム以外の魔物を生み出すしかない。


「そうだな。そのうちまたランダム召喚で別の魔物を増やすとしよう。」


『はい。しかし、マスターの場合はそれでもスライムを引き当てるような気がします。』


「そ、そんなことない。」


いや、俺も薄々そんな気はしているんだ。

しかし、そう思いたくなかった。

できれば意思疎通ができる魔物が来てほしいものだ。

会話相手がアドバイザーだけしかいないのは寂しいものだから。

気を取り直そう。


「もう少し狩りをしてから帰るか。」


『はい。マスター。』


その後、俺たちは不毛の大地にいる魔物を狩りつくす勢いで戦いそのすべてに圧勝するのであった。

強くともレッサードラゴン程度しか出てこなかったから当然である。

しかし、不毛の大地にはもっと強い魔物もいるはずなのになぜ出てこなかったのだろうか?

そんな疑問を持ちながら俺はダンジョンへと戻るのであった。


--


―カチャ、カチャ


ダンジョンの第2階層。

その居住区画で俺は装備を整理していた。

それは先日の襲撃で殲滅した冒険者が装備していた武器や防具である。


剣、槍、盾にメイス。

都合9人分の装備は豊富な種類を誇っていた。

どの装備もよく手入れされおり大事に使用されていたことがうかがえる。


俺は剣の1つを取って口を開いた。


「なあ、前にも言っていたけどこの装備って結構いいものなんだよな?」


『はい。金属製の装備はアダマンタイトにオリハルコン、ミスリルとどれも1級の金属で作られております。作った鍛冶師の腕も良いようで出来上がった武器は最高級品と言って問題ないレベルです。』


そう言われて俺は再び手に持った剣を見る。

薄く輝いているように感じるその白銀の剣が所謂ファンタジー金属で作られたものだということに俺は興奮が隠せない。


「そのアダマンタイト、オリハルコン、ミスリルっているのはどう違うんだ?」


『はい。まずはアダマンタイトですがこちらは薄く墨を塗ったような鈍色の金属となります。このアダマンタイトの特性はとにかく硬いことです。そのため鎧や盾、鈍器などに使用されることが多い金属となります。』


俺はそう言われて目の前の盾を見る。

確かに薄い黒のような色をしており見た目から硬そうだと印象を受ける。


『次にオリハルコンにつきましては薄い黄金色をした金属となります。この金属の特性は加工技術次第でどこまでも鋭くできることです。そのため刃物に最も適した金属とされています。これらの装備の中ですと剣1本、槍、短剣がオリハルコンとなります。』


言われて俺は槍の穂先に目をやった。

薄く黄金色のその刃は怪しく光りともすれば自分さえも切り裂いてしまうのではないかと不安になる色をしていた。


『最後にミスリルは魔法銀とも呼ばれる白銀色の金属となります。ミスリルの特徴は魔力の伝導率に優れていることと魔力の増幅効果があることです。そのため魔法の効果を1段階上げると言われています。そのため魔法剣士が使う剣などに使用されたりします。これらの装備の中ではマスターが手に持っている剣がそれにあたります。』


俺は手に持った剣に再び目をやる。

この剣は確かあの冒険者パーティのリーダーが使っていた剣だ。

と言うことは彼は魔法剣士だったのだろうか?

確かに監視している間もそれっぽい詠唱をしていたなと思い出す。


『どの金属も産出量が少ないこともありますが、それを扱える職人が少ないことからこれら金属でできた武器は高値で取引されます。』


「へー、それってどれくらいなんだ?」


特に興味があったわけではなかったが話のタネに俺はそう聞いていた。


『ここにある装備を売ればレンフェスト帝国の帝都で貴族街に豪邸が立てられる程度の金にはなると思います。』


言われてもピンとこなかった。

つまりは大国の首都の一等地に家を建てられるということだろうか?

日本で言うと東京の高級住宅街に家を建てる?

そうなると億とかの単位になるのだろう。

それはすごい!


その莫大な財産に俺は驚くのだった。


『しかし、これほどの武器、防具を使っていた冒険者が無名とは思えません。当然、これら装備を売ればどこで手に入れたのか追及されることになります。そのため、使わないのであれば倉庫にでも保管しておくことをおススメします。』


しかし、続くアドバイザーの言葉で俺は意気消沈するのであった。


何だ売れないのか。

それもそうか。

まさか馬鹿正直に殺して奪いましたなんて言えないしな。

はー。


俺は心の内でため息を吐く。


気を取り直して他の装備にも目をやっていく。

装備は金属だけではないのだ。

例えば短剣使いが使っていた革鎧、例えば魔術師が使っていた杖、例えば弓使いが使っていた弓。

これらだって立派な装備であった。


「なあ、こっちの金属以外の装備だっていい装備なんだよな?」


『はい。どれも上級の素材から作られていると思われます。』


「へー。例えば?」


『例えば魔術師が使用していた杖は世界樹と呼ばれる木の枝から作られたものになります。この木で作られた武具の特徴はミスリル同様に魔力の伝導率に優れていることと魔力の増幅効果があることです。特にその増幅率はミスリルを越えます。だからこそ魔術師の素材としては最上級品として扱われます。』


「世界樹なんてあるのか………。つーか、その枝を使ってもいいのか?そう言うものって大事にされているんじゃないか?」


『確かに世界樹はリトレ王国の国樹として大事に管理されております。ただ、年に1度伸びすぎた枝葉を選定するためにそこそこの量が素材として外部に流出します。おそらくはそれらを使って作られたのでしょう。』


そうか、確かに草木なら選定の必要はあるよな。

それでそこそこの量と言えるだけの素材が出回るということは世界樹と言うのはどれだけ大きな木なのだろうか。


「ふーん。こっちの弓も木でできているみたいだけどこれも世界樹か?」


俺は弓を手に取ってアドバイザーにそう聞いた。

見た限りは杖に使われている木と色合いが違ったが俺には木の違いなど分からないから素直に聞くに限る。


『いえ。そちらはおそらくトレント種の最上位エンシェントトレントの材料を使用しています。』


「トレントと言うとあの動く木の魔物か?」


俺は前世にやったRPGを思い出していた。


あのゲームにもトレントと言う顔のついた木の化け物が出ていたな。

気持ち悪いというよりはシュールな見た目をしていたものだ。

あんなのがこの世界にもいるのかな?


どうでもいいが顔がついているってことはあの口で物を食べることができるのだろうか?

どんなものを食うのだろう?

草かな?肉かな?

草ならともかく肉となると肉食になるのだろうか?

消化できるのかな?

いや、食虫植物とかもいるからそれは問題ないのだろう。

どちらかと言えば草の方が問題か。

そっちは共食いになるな。


俺がそんな馬鹿なことを考えているとアドバイザーが質問の回答を口にしていた。


『はい。そのトレントで間違いありません。トレント材は丈夫さはもちろんのこと良くしなります。そのため弓の素材としては上々でしょう。ほかにも建材としてもトレント材は使われます。』


トレントと言う魔物はまだ見たことがないが建材として利用されるということは相当数が乱獲されているはずだ。

それは少し哀れだなと俺は思う。


「こっちのローブとかはさすがに普通の布だよな?」


俺はそう言って魔術師が来ていたローブを広げた。

そのローブは肌障りが良く、そしてとても軽い素材でできていた。


『いえ、そちらもおそらく魔物の素材だと思われます。おそらくはスパイダーシルクを使っています。』


「シルクって言うと………絹か。」


『はい。それだけではなく染色している液体も錬金術で加工されたものですね。それもただの衣服と言う訳では無く立派な冒険者の装備です。』


こんな物でも冒険者の装備と言えるのか。

と言うことは他の武器などと同じように魔法を使う上で何かしらの恩恵があったのだろうな。

だからこそ魔術師2人は同じような格好をしていたのだろう。


『他にも革鎧は亜竜………ワイバーンの皮から作られています。こちらも十分に一級品と言われる一品です。』


「ワイバーンとドラゴンは違うのか?」


『はい。形状が似ていることから亜竜などと呼ばれていますが全くの別種です。竜種の起源は龍神と呼ばれる1匹の龍から始まります。一方でワイバーンの方は翼を得たトカゲだと考えられております。そのため、ドラゴンには高い知性がありますがワイバーンはそれがありません。あくまで動物範疇の延長線上ですね。』


「なるほどな。」


そんな話をしながら俺は冒険者たちから得た装備を片付けるのであった。

どうせ使うことは無いだろうし倉庫の奥底に。


--


ダンジョン第2階層の謁見の間。

その玉座に座り俺は膝の上に乗ったエンペラースライムを撫でていた。


こいつのおかげで先日の侵入者は危なげなく殲滅することができたのだ。

それを思うと何かご褒美でも上げたい気持になる。

しかし、スライムの気持ちなど分からない俺はどうしたらいいか迷っていた。


伽藍洞とした謁見の間に1人と1匹。

俺は延々と悩み続けていた。

しかし、いくら悩んでも答えは出てこない。

こんな時は頼れるアドバイザー先生にお願いするに限る。


「なあ、こいつにご褒美を考えているんだけどどうしたらいいと思う?」


『ご褒美ですか?』


「スライムの好みなんて分からないから何を上げていいか迷っていてさ。」


『態々配下の魔物に褒美を与えるダンジョンマスターなんて聞いたことは無いですが、それでもお与えになると?』


俺のその言葉が意外だったのかアドバイザーが聞き返す。

そんなに変だろうか?

多大な戦果を打ち立てた家臣に褒美を与えるのは王として当然だと思う。

俺の拙い帝王学がそう言っている。

多分………。


「ああ。」


『………それなら名前を与えてはどうでしょうか?これほどの強者なら今後もマスターのダンジョンで活躍することでしょう。名前があればその際に指示も出しやすくなります。』


名前か………。

確かに今はスライムたちにまとめて命令することしかしていなかった。

それが名前を与えることで細かな指示を出せるようになるのか。

いいかもしれないな。

俺がそんなことを思っているとアドバイザーが話を続けた。


『まあ、ダンジョン機能で支持を出す場合は誰に出すかはマスターが指示を出す際に思い描けばいいだけなので特に名前なんて必要無いですけどね。』


その言葉にずっこけそうになる。

何だよその前言を撤回するような言葉。

まあ、もしも名前付けで利便があるならそうそうにそれを提案しているよね。

そうしなかったってことは必要なかったってことだ。

なら名前付けなんてしても仕方ないのでは?


『それでも名前付けは魔物にとって特別な意味があります。褒章としては十分かと思います。』


俺のそんな疑問を払しょくするようなことをアドバイザーが口にした。

え?

名前付けって魔物にとって特別なの?


「特別な意味ってどういうことだ?」


『はい。名前を付けることでネームドとなります。通常ネームドとなるのは上位者から名前を与えられた場合を除くと多くの人が脅威と思ったときにつけられます。そのためネームドと言うのは一種の勲章のようなものと言えます。』


なるほど。

勲章か。

それなら確かに戦働きに応じた褒賞としては十分であろう。


「なるほどわかった。なら名前を与えよう。」


俺はエンペラースライムに向き直りじっくりと観察する。

と言ってもスライムの特徴なんてあってないようなものだけれども。


「決めた!お前の名前はスーだ。スー分かったか?」


俺のその言葉に回答するようにスーは体を震わせた。

今日からこいつはスー。

エンペラースライムのスーだ。


『………。』


何やらアドバイザー先生の視線が呆れているように感じる。

視線なんてないけど………。

安直なネーミングだと思っているのだろうか?

だってしょうがないじゃん。

スライムの特徴なんてないんだから種族の名前から付けるしかなかったんだ。


それにしてもアドバイザーか………。

こう呼ぶのも慣れてはしまったがこれはこれで味気ないよな。


「なあ。」


『何でしょう。マスター。』


「アドバイザーにも名前付けようか?」


『………はい?』


その声は少し間抜けに聞こえた。

それほどまでに意外な提案だったのだろうか?

俺としては名案のつもりだったんだけどな。


「だって、アドバイザーと言うのはスキル名だろう?おまえ自身の名前じゃない。それってなんか寂しいじゃん。」


『いえ、別に私は寂しいなんてことはないですけど………。』


『それに俺が呼ぶときにアドバイザーって呼ぶのも変でしょ?それならちゃんとした名前を付けたほうがいいと思うんだ。』


『………マスターがそう思うのであればお好きにしてください。』


「よし、きた!」


そうと決まれば早速アドバイザー先生の名前を考えよう。

アドバイザー先生と言えば………こっちはこっちで見た目なんてないんだから特徴なんてないよね。

なら、やることは一緒か。

アドバイザーと言うスキル名から名前を考えて………。


「アドバイザー、今日からおまえはアディだ。」


『また、安直な………。アディ、それが私の名前。』


アドバイザーもといアディは呆れたようなことを言いながらも少しうれしそうな雰囲気を出していた。

きっとアディも喜んでいるのだと俺は信じたい。


………さて、気を取り直して。


「アディ、早速だがこれからどうしようか?」


『そうですね………。』


いまだ俺は侵入者を1度撃退したのみだ。

魔王にとって人類すべては敵。

そうでなくとも異世界人は魔王を倒すために奮闘していることだろう。


俺は死にたくないんだ。

死なないためにはそれらすべてを殲滅するしかない。

俺たちはそのための手立てを講じるのであった。


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