006
「確かにゴーレムが大量に沸いているな。」
ギルドを出た俺はリリと別れて言われた不毛の大地の北部へと来ていた。
空を飛び不毛の大地を見下ろす俺の視界には数えきれないほどのゴーレムがいた。
多くはロックゴーレムだがちらほらと上位種のギガントロックゴーレムもいる。
冒険者ギルドで聞いた通りだった。
「なあ、何か原因は思い当たるか?」
『はい。原因として考えられるのは3つです。1つ目は単純に数を減らすのを怠ったためこの数まで膨れ上がったと言う可能性。2つ目はロックゴーレムの発生原因となる魔力の供給量が増えた可能性。3つ目はロックゴーレムの生息域に強力な魔物が誕生して安全な北部に移動してきた可能性です。』
俺の質問にアディはそう言って3つの可能性を示唆した。
俺はそれらを頭の中で整理する。
「1つずつ詳細を聞いてもいいか?」
『はい。まず1つ目の可能性についてはこれは単純にロックゴーレムの数を減らす要因………この場合ですとアルカの冒険者ですね。冒険者が長らく仕事を行っていなかったためにこうして増え続けていたことが考えられます。』
数を減らさないと増え続けるのは当たり前だな。
もしもアルカの冒険者の尻拭いをしているのなら腹立たしいと感じる。
俺がそんなことを考えている間もアディは言葉を続けた。
『この場合、マスターがゴーレムを討伐することで一時は問題は解消されるでしょう。その後は定期的にアルカの冒険者がゴーレムを討伐するようにすることで解決すると思われます。』
そうだな。
異常な原因で増えたわけではない場合はアルカの冒険者に頑張ってもらうしかないだろう。
『2つ目の原因についてです。ロックゴーレムは岩石に豊富な魔力が注がれることで魔物化します。この魔力が増えたことで多数のロックゴーレムが発生したことが考えられます。』
「自然の魔力が突然増えるなんてあり得るのか?」
『なにも無いところに突然湧き出すことは無いとは言えませんが頻度は低いです。しかし、地脈の流れが変わって一所に魔力が集中することは十分に考えられます。』
「地脈ってなんだ?」
『地脈とは地中を流れる魔力のことです。河川のように一定の流れを伴って世界中に流れています。この地脈からの距離や、地脈同士が重なることで魔力が潤沢な地域とそうでない地域に分かれます。魔力が潤沢な地域では異常な自然環境と魔物発生頻度が多くなることがあります。』
なるほど。
つまり不毛の大地は魔力が潤沢な地域に当たるのだな。
そんな不毛の大地にさらに魔力が増える様なことがあったのだろうか?
「その説明だと不毛の大地は元々魔力が潤沢な地域なんだよな?それがさらに増える様なことはあるのか?」
『無いとは言えません。しかし、こうして観測を続けているうえではなさそうです。』
「そうなのか。」
不毛の大地に満ちる魔力に変化なし。
アディがそう言うのならば間違いないだろう。
俺は納得してアディの次の言葉を待った。
『最後の可能性はロックゴーレムを脅かす強者が現れたことです。マスターもご存じかもしれませんがロックゴーレムはここ不毛の大地北部から中心部に向けて生息しています。北部に集中しているということは中心部で敵対種が現れた可能性があります。』
「そんな存在がいるのか?普段中心部にいるが俺は見たことないぞ。」
『可能性として高いのはマスターです。』
「俺?」
『はい。ロックゴーレムをはじめとする魔物は魔力に敏感です。強大な魔力を持ったマスターが度々不毛の大地中心部で狩りをしていたために北部に移動してきた可能性があります。』
言われて気付く。
確かに何度となくロックゴーレムを討伐していた。
その行為に怯えたロックゴーレムがこちらに移動してきたと言われても納得するしかなかった。
『私としてはこの可能性が一番高いと思います。しかし、この場合対処は困難です。人間の立場ではマスターを討伐することで解決するでしょうがマスターがそれをやるわけにはいきません。』
「そうだな。俺だって死にたくはない。」
『はい。ここでマスターが数を減らしても早晩同じように数が増えたロックゴーレムに街は滅ぼされるでしょう。そうしないためにはロックゴーレムの数を減らすため討伐の頻度を今まで以上に上げる必要があります。』
「しかし、それを態々伝えるわけにもいかないよな。」
『そうですね。人間たちが気が付くことに期待しましょう。最悪町が滅んだとしてもマスターに被害はありません。』
確かにその通りなのだ。
その時はその時でリリだけは守ってやろうとは思うがそれ以外の人間は知らない。
自分たちでどう生き残るか考えてくれと思うのだった。
「なあ、何でロックゴーレムだけが数を増やしたんだ?」
『恐らくですがロックゴーレム以外も数を増やしているはずです。問題となっているのがロックゴーレムなのだと思います。』
「そうなのか?」
『はい。先ほども申し上げた通り魔物は魔力に敏感です。魔力の大小で強さを判断しているものもいます。そうなると自分が敵わないほどの強大な魔力を持ったものからは逃げようとするのも普通の行動と言えるでしょう。』
確かにその通りだ。
じゃあ、他の魔物も数を増やしているのか。
こうなると本格的にアルカが滅ぶのは時間の問題な気がしてくるな。
大した冒険者がいないアルカでは増えた魔物に対処しきれないだろう。
対処できなければ町に被害が出るようになる。
そうなれば町を放棄して逃げることになるのかな?
俺には関係ないか………。
「さて、おしゃべりはこれくらいにして仕事をするか。」
俺はそう言うと群れを成しているロックゴーレム目掛けて飛んでいくのであった。
--
―ドォーン
俺の放った魔法がロックゴーレムを吹き飛ばした。
音につられて別のロックゴーレムが俺のもとに近づいてくる。
俺は再び魔法を放ちそのロックゴーレムを粉々にする。
そんな中でふとした疑問が浮かぶ。
「なあ、強大な魔力から魔物は逃げるんじゃないか?なんでこうしてよって来るんだ?」
『はい。確かに強大な魔力の源からは離れようとしますが、直近に危機が迫っている場合はその限りではありません。自分のすぐ近くに危機がある場合はむしろ撃退するために近寄ってきます。そうすることで仲間が逃げる時間を稼ぐことにもつながりますからね。』
「そうなのか。」
『ロックゴーレムは仲間意識の低い魔物ですがここには上位のギガントロックゴーレムがいます。それが群れのボスとなることでこのような行動を起こしているのだと考えられます。』
ギガントロックゴーレムがいるからロックゴーレムは群れを成しているのか。
それなら………。
「じゃあ、ギガントロックゴーレムをすべて倒せばこの群れは霧散するのか?」
『確かにその通りですがその場合に向かうのは人間の住む地域ですよ?今回は人間の生息域に被害を出さないためにこうして討伐しています。ならば地道に数を減らしていくしかないですね。』
その言葉を聞いてげっそりとする。
未だにロックゴーレムの数は数えきれないほどいる。
これらすべての相手をするのは気が重かった。
「何とか簡単に済ませる方法は無いのか?」
『人間の町を見捨てるのが一番簡単な解決方法です。マスターにとっては人間の町が滅びようが栄えようが関係の無いことなので………。』
確かにその通りだが、それならここまで来た意味がないじゃないか。
はぁ。
そんなことを話している間にもゴーレムが近寄ってきた。
俺は魔法でゴーレムを吹き飛ばす。
「地道に討伐していくしかないか………。」
『そうですね。』
俺は仕方なく次のロックゴーレム目指して飛んだ。
魔法を放ちゴーレムを撃破、すぐに次のゴーレムに飛んで同じことを繰り返す。
目につくゴーレムをすべて討伐する頃には日は完全に暮れてしまっていた。
--
「ふぅ。やっと着いた。」
『お疲れ様です。』
不毛の大地北部でロックゴーレムの群れを討伐しつくした俺は翌日の朝アルカの町に戻ってきていた。
外門を通って町の中へと入る。
そして俺はその足で冒険者ギルドへと向かった。
ギルドの中に入ると以前の応接室に通された。
中には以前同様に男性職員がいた。
「今日はどうしたのかな?依頼について何か分からないことでもあったか?」
俺が椅子に腰かけると男性職員が口を開いた。
どうやらまだ俺が討伐したとは思っていないらしい。
俺はそれにこたえるため口を開く。
「いや、依頼が完了したからその報告に来たんだ。」
「な!?」
男性職員は俺の言葉に大げさに驚く。
確かに昨日依頼して即日完了するとは思えないだろう。
しかし、俺には魔法がある。
北部に向かうのもゴーレムを討伐するのも大して時間のかかる行為ではないのだ。
「言われていた討伐証明………ゴーレムの核は取ってあるがここで出すか?」
「そうだな。1つ2つで構わない見せてくれないか?」
男性職員にそう言われて俺は空間魔法でゴーレムの核を取り出し、机の上に置いた。
男性職員はそれを手に取りよく観察する。
「確かにロックゴーレムの核だ。こっちはギガントロックゴーレムのものだな。驚いた。本当に1日で依頼を完遂してきたのか。」
男性職員はそう言って核を机の上に戻した。
そして再び俺の方を向いて口を開いた。
「ありがとう。すぐに換金できるように手配しよう。少し待っていてくれ。」
男性職員はそう言うと部屋を出て行ってしまった。
手持ち無沙汰な思いをしながら俺は部屋で1人待つ。
しばらくすると男性職員が戻ってきた。
隣に女性職員を伴っていた。
「済まないがすべてのゴーレムの核を出してもらえるか?」
男性職員にそう言われて俺は空間魔法でしまっていたゴーレムの核をすべて部屋の中に出した。
女性職員はその核を1つ1つ手に取り確認していく。
俺はそれを眺めていた。
お茶くらい出してもいいのに………。
そんなことを考えていると男性職員が俺の目の前に座り口を開いた。
「確認作業のためしばらく待っていてくれ。その間に質問させてほしいのだが良いか?」
「ああ。」
暇つぶしになるかなと思い俺は男性職員のその言葉を快諾した。
「どうやってこれだけ早くロックゴーレムを討伐したんだ?」
「それは魔法を使ってだよ。俺の魔法の腕は知っているだろう?」
「いや、ここまで早くこなせるとは思っていなかったのだ。参考までに北部に向かった手段を聞いてもいいか?」
うーん、空間魔法も見せてしまっているし問題ないかな?
まあ、問題あっても魔王だと断ずることはできないだろう。
俺はそう考えて男の質問に答えた。
「ああ、飛行魔法だ。不毛の大地北部まで飛んでいったんだ。」
「人が飛ぶなんてできるのか?」
「魔法ならできるぞ。空間魔法は知っているのに飛行魔法は知らないのか?」
俺はふと疑問に思ったそれを聞いた。
その言葉を受けて男性職員は少し考え込むようなしぐさをして答えた。
「私は寡聞にして聞かないな。そもそも空間魔法事態が伝説上のものだ。知っていると言っても君に会うまで実際に目にしたことは無い。」
「それもそうか。」
俺はそう言って男性職員の言葉に肯定の意を示す。
それを聞いて男性職員は話を戻した。
「北部のロックゴーレムについてだが何かおかしなことは無かったか?」
「漠然とした質問だな。数が多いこと以外は普通のロックゴーレムとギガントロックゴーレムだったよ。」
「なるほど。」
「ついでに言うと北部の様子も特に変わったことは無かった。だからもしも問題があるなら北部以外の場所ってことになるな。」
俺のその言葉を聞いて男性職員は考え込む。
彼の頭の中では今頃問題の原因をどう特定するか、そしてそれをどう解決するかでいっぱいなのだろう。
「今回の件は偶発的かもしれないしそうじゃないかもしれない。ならばまた同じことが起こることも考えなければならないだろうな。」
考え込んでいる男性職員に俺はそう言った。
「そうだな。今後も頻繁に数が増えるのならばロックゴーレムの討伐頻度を上げる必要があるな。」
「ああ。しかし、それは冒険者を使え。俺が今回受けたのは特例だ。」
「分かっている。アルカの冒険者に出す不毛の大地北部の調査頻度を増やすことにしよう。」
「そうしてくれ。」
そう言って俺は女性職員の方に目を向ける。
鑑定作業はまだ時間がかかりそうだ。
そんな俺に男性職員が再び口を開いた。
「本当に原因に心当たりは無いか?」
俺はその言葉に少しドキリとするのだった。
アディと話していたことで俺には少し心当たりがあった。
しかし、それを正直に言うことはできない。
適当な話でお茶を濁すか………。
「さぁ、分からないな。不毛の大地は帝国側の冒険者も活躍しているだろう?そちらに確認を取ることはできないのか?」
「確かに問題があるのがこちらだけとは限らないか。しかし、国家をまたぐ連絡となると相当に時間がかかる。」
「それでもやるしかないだろう。もしも帝国側………つまりは不毛の大地西部に問題があった場合こちらでその原因を取り除くのは難しいのだろう?」
「ああ、そうだな。」
「そうなるとアルカとしては長期的に問題に対処しなくてはならない。その心構えができるとできないでは大きな違いがあると思うが?」
「………正論だな。」
俺のその言葉を聞いて男性職員は頷いた。
そして再び口を開いた。
「分かった。俺の方から帝国側のギルドに状況の確認を依頼しよう。」
「そうしてくれ。」
「ああ、何から何まで助かった。ありがとう。」
男性職員はそう言って頭を下ろした。
俺はそれを眺めながら女性職員の様子を確認する。
どうやら鑑定作業が完了したようだ。
「あのぉ。」
女性職員がおずおずと声をかけてきた。
それを聞いて男性職員もそちらを確認し作業の完了を知った。
「鑑定作業を完了いたしました。ロックゴーレムの核が276個。ギガントロックゴーレムの核が29個となります。」
どうやら300体を超えるゴーレムを討伐していたようだ。
俺は女性職員の言葉を聞いてそんなものかと思うだけだったが男性職員はそうではなかったようだ。
彼の表情には驚きの色が濃く出ていた。
「そんなにか。すべて北部のものなのか?」
「何処で討伐したかはわかりませんがどれも討伐されてから時間はさほど立っていないように思えます。」
女性職員のその言葉を聞いていっそう男性職員は驚いていた。
俺が討伐したということを疑っていたのだろうか?
それともその数が発生していたことに驚いているのだろうか?
恐らく後者だろう。
前者なら先ほどまでの問答は意味がなくなる。
その後、女性職員から鑑定の結果とその取引金額を知らされる。
俺はそれを聞いて了承の旨を口にした。
女性職員が一度部屋の外に出ていきお金の詰まった袋を持って戻ってきた。
そしてその袋を俺の目の前に置き口を開いた。
「では、こちらが支払いになります。ゴーレムの核を納品した代金以外に依頼達成の報酬も含まれます。」
俺はそれの中身を確認せずに空間魔法にしまい込んだ。
お金はあって困ることは無いが別に特別金が必要な生活をしているわけではない。
だからこそ態々確認する手間を取る必要を感じなかったのだ。
「これで依頼完了で良いな?」
報酬を受け取った俺は男性職員にそう言った。
「ああ。本当にありがとう。」
男性職員はそう言って再び頭を下げた。
俺はそれを見ながら席を立った。
「じゃあ、俺はこれで失礼する。」
そう言ってその部屋を出ていった。
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冒険者ギルドの応接室を出た俺はギルドのロビーへと戻ってきていた。
そこで見知った顔を見かけた。
「む、そこにいるのは………。」
ベルナンドだ。
向こうもこちらに気が付いたのか俺の顔を見ると近寄ってきた。
また、やり合うことになるのかと俺は眉を顰める。
しかし、俺の目の前に来たベルナンドが発した言葉は俺の予想とは異なるものであった。
「先日は申し訳なかった。」
彼はそう言って頭を下げたのだ。
俺はその行いに困惑する。
何が起こったのだ?
俺には何がなんだか分からなかった。
仕方なくベルナンドに声をかけた。
「何を謝っているんだ?」
「ああ、イーゴリにもう一度しっかりと事情を聞いた。すると絡んだのはそなたでは無くイーゴリと言うではないか。それなのに俺はそなたの言い分も聞かずに決闘を起こしてしまった。本当に申し訳なかった。」
そう言って頭を下げ続けるベルナンドを見て俺は考えを改めた。
こいつもイーゴリ同様にどうしようもないやつなのだと思っていたがこの行いを見る限りはそうでもないのかもしれない。
確かに人の話を聞かない頭の固さはあるようだがそれでも誠実にあろうとするその姿勢は素直に尊敬できた。
だからこそ自然に言葉が出た。
「頭を上げてくれ。」
俺のその言葉を聞いてベルナンドは頭を上げた。
その表情から今の言葉に嘘は無いことがはっきりと分かった。
俺はそんな彼の目を見て口を開く。
「確かに他の人の言葉に耳を貸さずに剣を抜いたおまえの行いは褒められたものではない。しかし、仲間のために何とかしようという気持ちはよく分かった。」
「ああ。だがそれで誰かを傷つけていいというわけではない。」
「そうだな。それがわかっているならいい。」
そう言って俺は話を終わりにしようとする。
しかし、ベルナンドは気が収まらないのかなおも口を開いた。
「しかし、それでは………。」
「おまえの気持ちが収まらないか?」
「ああ。」
「正直おまえ個人に対して思うところはない。しかし、それでも何かしらけじめをつけたいというのならそうだな………。」
俺は考え込む。
今回の事の元凶はイーゴリだ。
あいつに責任を取ってもらうことにするか。
「今回の事の元凶、イーゴリとその周りにいた仲間に罰を与えろ。」
「な!?しかし………。」
「責任はリーダーである自分にあるとかいうなよ?例えそうだとしてもイーゴリたちが全く罰を負わないのは筋違いだ。」
確かに組織においてリーダーには下のものを管理する責任がある。
その点だけで言えばベルナンドにも責任はあるだろう。
しかし、リーダーが責任を取ったから下のものがとらなくてもいいとはならないはずだ。
特に今回のような場合においては………。
「………分かった。イーゴリたちにはしかるべき罰を与えよう。」
俺のその気持ちが通じたのかベルナンドはそう言った。
「それでいい。」
「しかし、やはりそれでは私にとって罰とはならない。何か償いをさせてくれ。」
「さっきも言ったがおまえ個人に対して思うところはない。だから何か償いをする必要はないさ。それに罰と言うのならば仲間を大事にするおまえに仲間に罰を与えさせるという行為そのものがおまえにとってのバツとなるだろう?」
俺の言葉を聞いてベルナンドは考え込む。
そして意を決したように俺に向き直り口を開いた。
「分かった。」
俺はベルナンドのその言葉を聞いて冒険者ギルドを後にした。
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冒険者ギルドを後にした俺は宿屋へと戻った。
リリと合流するためだ。
リリには俺が町を出ている間できるだけ宿屋にいるように言っていた。
未だ町の中はリリにとって危険が多い。
だからこそ俺が助けに行けない状況では隠れていてもらおうと思ったのだ。
しかし、宿屋の部屋を訪れたが中はもぬけの殻だった。
俺はその事が気になり宿屋の店員を捕まえてリリの行方を聞いた。
「なあ、リリがどこに行ったか知らないか?」
「ひっ!!え、えっとお連れ様ですか?し、し、しりません!」
店員はそう言うと脱兎のごとく俺の目の前から消えてしまった。
何故あんなに怯えているのか分からなかった。
俺は仕方なく自分の足で探そうと宿屋を出るのであった。
町の中に出ると昨日よりも喧騒に満ちていると感じた。
商店通りでは人々が何やら井戸端会議に精を出している。
皆口々に「噴水広場が………。」や「魔族が………。」と口にしていた。
何か嫌な予感がする。
俺は足早にリリの行方を探した。
商店通りを抜けて噴水広場に辿り着いた
何やら人だかりができている。
周りにいる人々の表情はどこか嘲わらうようなものであった。
駄目だ。
嫌な予感がぬぐえない。
俺は人垣を避けてその中心にたどり着く。
そこで俺が目にしたのは………。
ボロボロになって横たわるリリの姿だった。
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