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3話

 僕を守ってくれた人間の小さな男の子は、名前を、ヒロシって言うんだって。

ヒロシは、あの日から毎日のように、僕の棲み家がある神社に来たんだ。僕の事を、ヒロシは、ポチ。ポチ。って呼ぶ。

だから、僕の名前は、今日から坊主じゃなくて、ポチ。


 ヒロシは、僕のところに来る時に、僕のご飯を持ってきたりしてくれるんだ。

パンや牛乳や、缶詰に入ってるドッグフードを。

どれもが、とびきりに美味しくて、僕は、シッポをブンブン振って全部食べちゃうんだ。


 ヒロシは、いつも僕の事を、暖かい手で撫でてくれながら。


 『ポチごめんね、僕の家は、マンションだからペット禁止なんだ、ポチを飼ってあげられなくてごめんね』


 いつもいつも、僕を撫でながら、少し淋しそうな顔をする。

僕は、ヒロシと友達になれた。ここに居ればヒロシが会いに来て、一緒においかけっこしたり遊んでくれる。ご飯だって持ってきてくれる。だから、僕はマンションが何か分からないけど、いつでもここでヒロシに会えるよ。って、ヒロシの顔をペロペロと舐めてあげるんだ。

そうすると、ヒロシは、くすぐったそうに笑ってくれる。

僕は、ヒロシの笑顔が大好きだから、いつでも笑ってていてね。


 ある日、僕とヒロシは、いつも遊んでいる神社の境内から飛び出して、裏のお山に探検に行ったんだ。

僕はヒロシの後ろを、ヒョッコリヒョッコリ歩く。

意地悪なイタチが、ヒロシに意地悪をしないように、鼻をヒクヒク匂いを嗅いで、イタチの匂いを見逃さないように。


 ヒロシ、意地悪なイタチからヒロシの事を僕がちゃんと守ってあげるからね。僕は、小さな頃に、イタチに足を1本食べられちゃったから、イタチの匂いには、敏感なんだ。まかせてよ。


 探検は大成功だった。いつも神社の境内に居て、たまにベスおじさんの棲み家に行く為に、街には出てたけど、お山にも、美味しいご飯がたくさんある事を知ったから。


 ヒロシが木の根本を掘って見付けた、カブトムシの幼虫が、あんなに美味しいなんて、僕は知らなかったよ。


 ヒロシはちょっとだけ残念そうな顔をしていたけど、僕の為に美味しいカブトムシの幼虫を見付けてくれたんじゃなかったのかな?


 お山の探検の帰り道。

僕とヒロシの前に、アイツが現れたんだ。

母さんが居なくなる前に教えてくれた。見付けたらすぐに逃げなさいって言ってた。イノシシが。


 僕は、母さんが教えてくれた通りに、逃げようとしたんだけど、ヒロシはイノシシがどれだけ危ないのか知らなかったのか、驚いて動けなかったのか、逃げようとしなかったんだ。


 僕は、今までに、母さんやベスおじさんとした約束を破った事は、一度も無いよ。だけどね、僕は、友達を守る為に、大事な大事な約束を、初めて破ります。友達を守る為なんだから、母さんもベスおじさんも、許してくれるよね?


 僕はヒロシの前に飛び出して、イノシシに向かって大きな声で言ったんだ。


 「あっちに行け! こっちに来るな! 来たら噛んでやるぞ!」


 僕は一生懸命に吠えたけど、イノシシはお構いなしに、僕達に向かって走ってくる。


 「ヒロシ! 早く逃げて!」


 僕は、イノシシが僕に、ぶつかりそうになった時に、僕は本当の意味で知ったんだ。

どうして、犬だけが、ずっとずっと昔から、人間と友達になれたのか。僕達犬は、大事な友達の人間を守る為なら、自分の命を捨てても守るって事を。だから、人間もそんな犬を、ずっとずっと昔から、友達として一緒に暮らして来たんだね。


 「ヒロシ守ってくれてありがとう。

遊んでくれてありがとう。

ご飯を持ってきてくれてありがとう。」


 イノシシと僕が、ぶつかる寸前に、僕は、ヒロシに突き飛ばされたんだ。ダメだよヒロシ! そんな事しちゃヒロシがイノシシとぶつかっちゃう。


 その時、ヒロシの体が、光ったんだ。街で見る車って言う危ないヤツが出す光みたいに。

そして、ヒロシにぶつかったイノシシは、光に弾かれて、逆に、はね飛ばされていたんだ。


 僕は、イノシシをやっつけたヒロシが、本当にすごくて、そんなイノシシにも勝っちゃうすごいヒロシと友達なのが、嬉しくて、ヒロシの元に駆け寄ったんだ。


 だけど……。いつもは、触れるヒロシに触れない。

ヒロシも僕をいつものように、抱き上げてくれようとしてるけど、ヒロシのいつも暖かい手は、僕の体に触れない。


 何が起きたのか分からないけど、ヒロシの体が少しずつ消えて行く……。

ダメだよ! ヒロシ消えないで! 僕を置いていないで! 母さんや兄さんみたいに居なくならないで! また僕を一人ぼっちにしないで! 僕も一緒に連れて行ってよ!


 そう言ってたくさんたくさんたくさん、ヒロシに言ったけど、ヒロシも僕を一緒に連れて行こうと、何度も何度も何度も、抱き上げてくれようとしたけれど。


それは、叶わなかったんだ……。

そして、ヒロシは、僕を残して、どこかに消えちゃた……。

母さんや兄さん達と同じように、僕を一人ぼっちにして……。

作者の一方的な都合により、転移する場面が少し無理やりになってますが、まぁ許して下さい。


トラック転生ダメ!絶対!w

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