ルクスの村
客船が海上に戻ると海はとても穏やかになっていた。
なんとかやり過ごしたらしい。
船員達から歓喜の声が上がった。
客室の方からも喜びの声が聞こえてきた。
「それにしてもマオちゃん。なんでレヴィーアのこと知ってたんだ?」
ジークが不思議そうに聞いた。
確かにそうだ。
ジークさん達が住む世界と私達のこの世界、今まで話してきた中で土地名や歴史など共通した部分など1つもなかった。
それなのに何故レヴィーアだけは?
「魔界に昔から伝わる書物に載っていたんだ。その書物には、数々の神が創りし神獣や神具、英雄伝説が載っていたんだ。私はずっと空想上の話だと思っていた」
「英雄伝説ですか?例えばどんな?」
私がマオさんに問いかけた。
「えーと。確か……英雄ファルファーの伝説とか」
その言葉に私と3人のルクス族は驚いた。
「英雄ファルファーの伝説ですか!?」
全員の声がハモる
「あぁ。一体それがどうしたというのだ?」
私たちの驚きをみて、マオさんはキョトンとした表情をした。
「ファルファーはこちらの地では1200年前の全種族とゼノドラグスとの全面戦争での裏切りの騎士として悪名が伝説に語られています。
ある意味世界でもっとも有名な騎士の名前です」
「そうなのか?私の読んだ本ではファルファーの活躍によって、悪しき神々を封印したとなっていたぞ!
結末は忘れたけどな。
まぁ、名前だけたまたま同じだったのかもしれないがな」
偶然…?
それにしては話が出来すぎてる。
こちらの地にいるレヴィーアが載っていて、ファルファーという同じ騎士の名前が出てくる。
その書物は一体…。
その後は安全な航海が続いた。
目的地が同じということもあり、パル、プル、ポルさんともルクスの村まで一緒に旅をすることになった。
3人の賢者の卵はジークとマオさんに魔法の教えを請うた。
めんどくさがりで、私にはほとんど何も教えてくれないジークも、美女3人相手には鼻の下を伸ばしながら丁寧に教えている。
なんて分かりやすい男なんだ…。
こんな男の元で修行していて私は本当に強くなれるのか?
そんな不安が今まであったが、レヴィーアとの戦いの中で、私は目が見えない中でもレヴィーアの攻撃を より鮮明にイメージし、体が勝手に動いた。
以前の私には出来なかった芸当だ。
ジークの修行もまんざら無駄ではなかったのだ。
それから私は今まで以上にジークの修行を真剣に取り組んでいった。
レヴィーアの襲撃から3日。
客船はルクスの村のある大陸に着いた。
本来ならもっと早く着く予定だったが、レヴィーアの襲撃の際に客船の動力部に軽い損傷があり、時間がかかってしまったのだ。
ルクスの村に行けば、ジークとマオさんはもういなくなってしまうかもしれない。
この数日の遅延は私には嬉しいものだった。
大陸に着いた後は、陸路を歩きながら旅をした。
パルさんの話だとルクスの村までは4日もあれば着くという。
その間も旅をしながら、私とリガンは修行を続けた。
毎日30分程度だが、マオさんも相変わらず稽古をつけてくれる。
…のは嬉しいのだが、最近マオさんは今まで以上に容赦がない。
というか不機嫌だ。
まるで何かのストレスを私達にぶつけているかのような気がした…。
「ジークさぁーん。見てくださーい!
苦手だった氷系魔法の威力が上がったんですー」
ポルがジークの前で魔法をみせる。
「おーい!私も魔法属性を武器に付与できるようになったぞー!」
プルもジークに自慢げに魔法を披露する。
「おぉー!2人とも覚えが早いなぁ!
流石は賢者の卵というだけあるな!」
ジークはデレデレしながら2人の魔法を見ている。
もしかして…
マオさんの不機嫌の原因はコレか??
まさかマオさんはジークのこと……。
「私の相手をしながら よそ見するとはいい度胸だ!くらえーーー!」
マオさん強烈な魔法付与のパンチをくらい私のその日の意識は途絶えた。
そんな日々が続き。
4日後ついにルクスの村へと辿り着いた。




