危機一髪
ジークとマオさんはレヴィーアの魔法で弾き飛ばされて、甲板の上に横たわっていた。
ダメージは少ないようですぐに立ち上がるが、レヴィーアとの実力差に、この窮地を抜けきる策が思いつかないのか、2人の表情は険しい。
この2人でも歯が立たないなんて…。
これはもうダメだと誰もが思った。
その時
「私達に案があります。力を貸してください!」
先ほど手助けをしてくれた謎の女性3人がジークとマオさんの元に駆け寄った。
「さっきも助けてくれたけど、あなた達は…?」
マオさんが問いかける
「話は後に!まずはこの状況を切り抜けるのが優先です」
3人の女性のリーダーのような人がそう言った。
「で、案ていうのは??」
ジークが問いかける。
「あなた達、浮遊魔法が使えるのですよね。
私達も微力ながら浮遊魔法を使えます。
あなた達が先ほど戦ってくれている間にこの船の甲板に魔力増幅の5芒星の魔法陣を組みました。
まずは私が光魔法を攻撃ではなく、目くらましとして使います。
一瞬ですが、レヴィーアは私達を見失うはず。
その間にあなた達2人と私達3人でその5芒星を囲み、浮遊魔法を魔力増幅しながらこの船をレヴィーアの目の届かない上空まで浮かします」
「それで凌げると思ってるの?
私達の魔力を増大させたとしても、私達の残りの魔力じゃ、これだけの大きな船を上空に浮かせるのはせいぜい20分ぐらいが限界よ?
レヴィーアがこのままここを離れてくれなければアウトよ?」
マオが反論した。
「確かにおっしゃる通り。
これはある種の賭けです。
もしレヴィーアが見失った私達を探して、この場に留まれば私達の負けです。
しかしレヴィーアは恐らくこの場をすぐに離れるはずです。
レヴィーアは神が創りし生物で、額の宝玉からエネルギーを無尽蔵に蓄えているために、食事などは摂る必要がないので獲物に対する執着は弱いのです。
それにあなた方の攻撃もまるで効いていなくて、怒りに触れるようなこともなかったので、レヴィーア程の絶対強者であれば、私達のことなど気に留めることなく、この場を去るでしょう。
とにかくこれが、唯一の手段です」
その言葉にジークとマオさんは目を合わせ、コクリと頷いた。
ジークとマオさんは甲板の上に大きく描かれた魔法陣に向かった。
それを見て3人組の女性は同時に呪文を唱え始める。
すると3人から閃光のような眩い光が発せられた。
あまりの眩しさに私も視界が遮られ、しばらく視覚を失った。
3人の女性の走る音が聞こえる。
魔法陣に向かっているのだろう。
その時
ブシャアァーー
その3人に向かって、何かが飛んで行くのを感じた。
これは……水の矢のような物が飛んで来ている!
目が眩んだ瞬間にレヴィーアが苦し紛れに放ったのだろう!
目が見えないが確かに感じ取れる。
まずい!
あの3人の誰かにこれが当たれば浮遊魔法は完成しない!
私は咄嗟に剣を抜きながら体を投げ出して、水の矢の前に立った。
剣で水の矢を受けるがあまりの威力に剣は弾き飛ばされ、私の腹部に直撃し、私はまたも吹き飛ばされた。
なんて1撃だ。
剣で一度は防いで威力が弱まったはずなのに、腹を内臓ごとえぐり取られたかのような苦しみが襲ってきた。
口からは唾液と胃液が意思と関係なく吐き出されてゆく。
苦しい……痛い……
だが、あの3人は守り切れた。
「クリス!!!よくやったぞ!!」
ジークの声が聞こえた。
その声と同時に先ほど見た五芒星の位置から眩い光が発せられた。
甲板の上に倒れながらも、船が宙に浮いていくのを感じた。
レヴィーアの雄叫びも少しずつ遠ざかってゆき、それと同時に少しの安堵感が胸に広がってゆく。
しばらくすると周りが霧がかってきた。
雲の中に入ったのだろう。
船はそこまで上がると、その場で止まった。
「なんとかここまでは上手くいったな」
ジークがとりあえず安堵の声を出した。




