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8話 まったく……きんr……こほん……まったく……エレg……こほん……まったく……エレンさm……こほん……まったく……エレンさんにはこまったものですねぇ……

本日の2話目です!



「はわわっ!?も、申し訳ありませんっですぅ!!」



 3人の王族姉弟が一切に音のほうを向くと部屋の隅で割れた花瓶を前に涙目になるドジっ娘なメイドさんがいた。


 ミディアムの蒼い髪。きめ細やかな肌、清楚で柔和な気質、楚々と整った顔立ち。


 メイドにしておくにはおしいほどの美貌だが、なぜだか10人中10人が彼女を見て、ドジっ娘メイドだとすんなり認識してしまう、そんな雰囲気が漂っていた。


「た、ただいま、片付けます……ですぅ……いたっ! え、えーと……わわっ! あだっ! いたたたた……」


 花瓶の欠片を掴もうとして指先を傷つけ、今度は掃除道具を取ろうと駆け出そうとして、びたーん!、とこけるメイドさん。


 さすがお城のドジっ娘メイドさんは、格が違った。


 膝を抱えるメイドさんにすかさずハルスは近づき、


「大丈夫ですか!? 治癒、ランク3」


 メイドの擦りむいた膝と花瓶の欠片で切った指先を魔法で瞬く間に治療する。


「ハルス様!! ありがとうございますっですぅ!!」


 ぺこりと頭をさげるメイドさんにハルスは、当然のことだと言う前に、


「まったく……きんr……こほん……まったく……エレg……こほん……まったく……エレンさm……こほん……まったく……エレンさんにはこまったものですねぇ……」


 と、まるで、ドド●アさんに話すフリ●ザ様のような口調でドジっ娘メイド、エレンの横に、如何にも、「わたし、出来ますけど何か?」と言ってそうな、モノクロをつけた如何にも出来る感じのメイドが現れ、叱責を行った。


 ハルスは新たなメイドの出現に内心驚愕し、額に汗が伝う。


 先程まで室内には、ドジっ娘メイドが一人、いそいそと危なげな感じで掃除にはげんでいたからだ。


 いつドアを開けて、入ったのか、気配を一切察知できなかった。


 まだ冒険者試験を受けていないハルスは、ソロウ侯のような武人に敗北を喫することもあるが、基本的にこの城の十指に数えられるほどの戦闘能力を有すると自負するわけでもなく、冷静に客観的に判断していた。


「ニキータメイド長! 申し訳ありません……ですぅ!」


 ドジっ娘メイド、エレンがメイド長に必死に謝るが、お局感満載のメイド長のニキータは、ネチネチと嫌味を言ってそうなので、ハルスは、助け舟をだそうと、


「片付けてくれればそれで大丈夫ですので……」 


 と割れた花瓶が散乱する床を指差すと――――――




「あれ……?」



 見事に一欠片もなかった。

 床には花弁はおろか、水も花もなにもかもなかった。



「わたくしめが片付けました。ご紹介が遅れました。わたくし、メイド長の任を預かるニキータと申します……」



 うやうやしく、礼をするニキータ。


 ハルスは王城で働くものは、兵士であろうが、メイドであろうが、基本的に全員覚えていた。


 ニキータなる人物は初めてお目にかかった。


 ただのメイド長ではないことは、その身のこなしから明らかだった。


 おそらく――――――暗部の関係者に違いない。


 どうして、そのようなものがメイド長なんかに……?


 ハルスの脳裏に浮かぶ、とある単語。




『連続無差別貴族猟奇的殺害事件』




 未だに解決を見せないこの凶悪犯罪は、今のところ、王族に被害者は出ていないが、その大胆、複雑怪奇、奇天烈な手口にいつ、だれが被害者となってもおかしくない。


 その被害を未然に防ぐために配置されたのだろう。



 この時、ハルスの中で超えるべき明確な壁ができた。


 それは、現時点では、彼我の存在値、戦闘力が見通せない、遥か格上のニキータメイド長だった。


 ドジっ娘メイドのエレンにも、ハルスは見覚えがなかったのだが、そのあまりにもどんくさい身のこなしから、ただの『平凡』で『普通』で『何の変哲もない』、『ただの』『新人ドジっ娘メイド』『以外の何者でもない』と結論づけた。


 ハルスは、いつだって、真実を見抜く慧眼の持ち主。





「んん……………?」


 ハルスはとある違和感に気づく。


 何かがおかしい。


「どうされました、ハルス王子?」


 片眼鏡クイクイっとするニキータメイド長。


「あの……石像のポーズが変わっているような……?」



 ハルスが指差す先にあるのは、この世界で広く信仰される女神の従属神が一柱、『我の肉体美を見よ』と一部のガチムチお兄さんから熱い視線を注がれるマッスルビルダー、『ホルスド・ガオン』の石像であった。



 たしかハルスの記憶では、この石像は、家庭教師との勉強中では、『サイドチェスト』だったはずが、今は『フロントダブルバイセップス』のポーズで、手には、モップとちりとりを掲げていた。



「ブホッ」

 吹き出すニキータ。


「ですぅ?」

 首をひねるエレン。


「セーラ、まさか……そんな趣味が……」

 鼻血だらだらのソレーユ。


「ハルス、疲れているんじゃないか? あれ?石像なんてあったっけ?」

 石像の存在に訝しむセーラ。





 こうして、セファイル城『ザラナイル宮殿』に、夜な夜な男性神の石像が決めポーズを変えるという『ザラナイル七不思議』の一つが生まれたのであった……














 その夜、ハルスは寝台の中で唐突に思い出した。



 あのドジっ娘メイド、エレンが花瓶を割った瞬間、ソレーユ姉様が一瞬凄まじい形相で、哀れなメイドを睨んでいたことを……  

  


 そして、そのドジっ娘メイドの怪我を治した際にどうしてメイドは自分ことをハルスと呼んだのだろうかと……



 けれども、あんなに優しい顔でセーラの頭をなでるソレーユ姉様があんな顔をするなんてきっと見間違いだとハルスは思い直し、ドジっ娘メイドが姉たちとの会話を聞いていただけだと考え直し、その疑問すらすぐにやってきた微睡みとともに、記憶の奥底へと沈んでいった……

 

 



今回の二次創作要素(の一部)を紹介!




・ドジっ娘メイドエレン

 『原典』には(ry……

 ただのドジっ娘メイド。

 それ以上でもそれ以下でもないので、覚えなくていいです……

 かわぃぃょ……

 果たしてその正体とは……!?


 ちなみに彼女が着ているメイド服は、『壊滅的な家事を少しドジっ娘メイドですませるメイド服』というミニスカ・ニーハイ絶対領域と露出は多いが、その耐久値は破格で、どんなにしつこい汚れを受けようと容易に分解・殺菌し、主を飾る染みの一つに変えてしまう、まさしく頑張り屋さんのメイド服。脅威のクオリティ14。世界で3番目に尊い神器。ですぅ



・出来る女、メイド長ニキータ

 『原典』には(ry……

 ただの出来る女な感がプンプンするけど実はポンコツ疑惑のメイド長。

 それ以上でもそれ以下でもないので、覚えなくていいです……

 紅一点……?

 逆から読むと……?

 


・時々動く石像『ホルスド・ガオン』

 『原典』には、女神エレガ・プラネタの従属神の一柱として、『ホルスド・ガオン』なる男神(笑)が登場します。

 同僚に『ダーキニィ・パラフューム』なる女神(笑)がいます。

 二人は仲良しな気がします。 


 女神御一行は、『表』の戦力では太刀打ちできない『壊れ落ちたモンスター』とかの万屋トラブルシューターなので、たまーに、表の住人に『サイドチェスト』する『ホルスド・ガオン』が目撃されていてもおかしくないですねぇwwwww


 こちらの勝手な二次創作設定では、ホルスドさんは、『アクロマギア神殿』でもっとも女子力が高い設定です。ギャップ萌え〜



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