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7話 あ、ちなみにさっきこの部屋からゴキちゃんが大量にカサカサ出ていったけど、シーハお姉様の『蟲影移動』?それとも『本物の大群』?

本日の1話目です!


 

「…………!? な、なんでもありません、ソレーユ姉様……」


 ハルスは口ではそう言いながらも酷く狼狽えた様子で上から3番目の姉に言ったのだった。


「…………ソレ姉様、何かすごいものの片鱗を見た気がしましたが、きっと何かの気のせいだったと思います…………」


 続いて、セーラも双子の弟の言葉の補足をしつつ、何もなかったと結論づけた。


 そんな双子の妹と弟の祈りにも似た願望を第三王女ソレーユ・ティトーノス・セファイルメトス、御年、7歳は容赦なく、ぶった斬る。


「そうなんだ。あ、ちなみにさっきこの部屋からゴキちゃんが大量にカサカサ出ていったけど、シーハお姉様の『蟲影移動』?それとも『本物の大群』?」



「「ぎゃああああああああっ!!!!」」



 双子の姉弟が頭を抱えて絶叫する。



「あの……わたし、またなんかやっちゃいました……?」



 彼女は、色んな意味で破格の二人の姉のせいか極々普通のお姫様に育つ。

 存在値も王族として平均値で何か特に秀でていない代わりに何か苦手なものがあるわけでもない。


 そのため、政略結婚の良い駒としかみなされておらず、本人もそういうものだと納得していた。


 けれども彼女も一人の人間。


 生まれ時から決められた人生を歩むのは、高貴な血を引く王族としての努めであると分かってはいるが、それでもどこか歪みは持ってしまう。


 その歪みが、年下のいっときセファイル史上最高の神童と褒めそやされたハルスやシーハよりも自由奔放すぎるセーラにこうして向かってしまうのは、仕方ないものだ。


 だって、人間だもの。


 それに、ちょっとからかったりする程度の歪みなので、他愛のないものだ。








「ごめんね……そんなにショッキングな映像だったのね……」


 すこしおふざけが過ぎたとソレーユは反省する。


「ええ……それはもう……」


 ナチュラルに絶対記憶を持つハルスにとってそれは消去すべき記憶だ。


「うう……ソレ姉様のいじわる……」


 少年姿のセーラが上目遣いで目を潤ませる。


 その様子にソレーユの胸にグサグサと罪悪感が突き刺さる。

 ソレーユはどちらかというとセーラ派だった。

 これもハルスファンクラブ初代会長のサーナ、初代副会長のシーハを姉にもつ歪みに違いない。


 中身が、日々の癒やしをショタコン漫画で癒やしていたブラック企業に努めて、過労死した社畜OLの生まれ変わりでない限り、決して、齢7歳にして、ショタコンに目覚めたわけでは…………ない、はずだ…………


「おーよしよし」


 セーラの頭をなでなでするソレーユ。


「セーラちゃん、おつかれさま。今日はどこに行ってきたの?」


 ソレーユは頭を撫でながらセーラに話しかける。


 セーラとハルスの取り替え子(チェンジリング)を見分けるにはサーナのようにブルースリースペシャルか、サーナのように真性の妹弟狂いでなければ本来はできないものであるが、それをまるで当然かのようにやってのけるところは、さすがは王族と言うべきか。


 いや、ただのショタコン(男装幼女であるが)狂いのませたお姫様の可能性も微レ存……


「ソレ姉様、今日はですね……」


 セーラは素の口調で頭を撫でられるのを目を細めてくすぐったそうに今日の出来事を話す。


 セーラは、サーナやシーハ、ハルスに対しては乱暴な男口調だが、どういうわけか、ソレーユ相手には、年相応の女の子らしい口調となる。


 セーラは元々その性別通りの普通の女の子だった。

 普通、ノーマル、平凡、個性のない、と酷い言われようのソレーユを凌ぐほどの普通の女の子であったのだが、双子の弟があまりに破格すぎたために、普通でいられることを赦されなかった。


 いっときは、齢3才で自死を考えたほどだが(王族であればそのくらいの年でその判断ができてしまうのは、普通である)、それを救ってくれたのが、一つ上のソレーユ姉様だ。


 ソレーユもまた優秀な二人の姉に苦い経験をしており、セーラの悩みの良き相談相手にもなったし、逆にセーラがソレーユの愚痴を聞いてくれる良き相談相手にもなってくれて、セーラは自身の悩みが自分だけじゃないことに安堵して、ソレーユに懐き、素の自分をさらけだすことのできる唯一無二の存在となったのだ。


 半身であるはずのハルスは、姉の苦しみを助けられない、むしろ、さらなる苦しみ植えつけてしまうことに忸怩たる思いを抱いており、同時に、こうして、素直に甘えられる存在がいることに、羨望を感じてしまう。


 ハルスがもしも『それ』を願った場合、おそらく、容易くかなってしまう。


 それは、ソレーユ第三王女が、ハルスファンクラブ、初代書紀として登用される形で……


 何故なら、ハルスは、生まれた時から『神から祝福される存在』だからだ。


 スペシャルを無数に持って産まれてきたし、日に日にそのスペシャルはのぞむのぞまざるとに関わらず増えていった。


 ドリームオーラは意識せずとも常時展開中だし、この世界を初めて目にした時からサードアイ越しだし、目にしたものを虜にする愛され体質プラチナスペシャル『九十九十九(外されたサングラス)』もパッシブスキルとして常時発動している。


 そのため、ハルスとして活動中は、誰からも愛され、セーラに扮してからは、セーラが愛されるようになっていったのである。



 ちなみにセア聖国の未来の代表プッチは、『連続無差別貴族猟奇的殺害事件』の被害者『サーバンチチ侯』の葬儀に呼ばれた際に、王城でセーラに扮したドレス姿ハルスに一目惚れし、性癖を歪ましてしまう(つまり、幼女魔王リーンの良き理解者に……ゴート「…………」ゴゴゴゴゴゴ……)。


 それまでは色恋沙汰に興味など一切なく、親から見合い相手を紹介されても、聖職者の身故、生涯独身を貫くと断り、周囲も諦めていたほどのガチガチの厳格なる聖職者だったのに……


 それほどまでにハルスの愛され体質は、彼我の存在値を無視して貫通する、破格も破格、異常すぎるチートだった。


 何故か双子の姉には効かなかったことがせめてもの救いだった。


 いや、サーナのように、赤子のハルスとセーラにべったりしまくったことで自ら異常と疑問に思うことさえ赦されない、魂魄にガッチリ鎖の如く絡みつき、本来の親愛の情か、はたまた、スキルによるものか、判別不可能な狂愛を抱かされたほうが、あるいは、幸せだったかもしれなかった。


 そう思うこそ不遜以外の何者でもないが、サーナは今後、ハルスがどれほど悪逆非道になろうが、どれほど醜悪な下衆になろうが、どれほど身をやつそうが、嫌悪の情を抱くことはない。


 ハルスはサーナの笑顔を見るたびに絶えず罪悪感に駆られ、『ハルス♥こっちみて♥』、『ハルス推し♥』、『ハルスを一日休日にさせてあげる権利♥』などと書かれたうちわや証書を火に焚べるのが、ハルスのできる数少ない、うざ……哀れな姉への……ストレス解しょ……贖罪だった…………


 ちなみに、ハルスたちにはもう一人弟、第二王子イルス・イスウンカイザンソ・セファイルメトス(3才)もいるのだが、優秀すぎる姉、兄の悪影響を恐れた母親によって交流は、ソレーユのみとなっている。









 だからこそハルスは、ソレーユとは一歩置いた関係を取る。


 セーラからこれ以上奪うわけにはいかないのだ。


 でも……


 ハルスはまだ5才。


 だれかに甘えたいざかりのお子様全盛期。


 本物の愛情でもって、頭を撫でられるセーラが酷く羨ましいのは、どうしようもなく、嘘偽りのない、本音。


 そんなチラッチラッとこちらを伺う視線に気づかないソレーユ姉様ではない。



「ハルスちゃん、こちらに来なさい」

 とソレーユに手招きされ、

 ハルスは逡巡するものの、


 セーラからも、

「こっちに来てよね」

 とツンデレな感じで誘われるので、 


 曇り空の下に日差しが差し込んだように

 ハルスは満面の笑顔を浮かべ、

 とことこと、二人の姉に近づき、頭を差し出し、


 慈愛に満ちた笑みを浮かべたソレーユが

 その頭に手を置こうとした―――――――――

 

 ―――――――――その瞬間――――――――――























 パリーン!!




「「「!?」」」



 何か割れる音がして、ハルスの頭なでなでが中断される。



「はわわっ!?も、申し訳ありませんっですぅ!!」



 3人の王族姉弟が一切に音のほうを向くと部屋の隅で割れた花瓶を前に涙目になるドジっ娘なメイドさんがいた。


 ミディアムの蒼い髪。きめ細やかな肌、清楚で柔和な気質、楚々と整った顔立ち。


 メイドにしておくにはおしいほどの美貌だが、なぜだか10人中10人が彼女を見て、ドジっ娘メイドだとすんなり認識してしまう、そんな雰囲気が漂っていた……



今回の二次創作要素(の一部)を紹介!


・第三王女ソレーユ・ティトーノス・セファイルメトス

 第三王女なんて、『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!

 第四王女を登場させるために第三王女を作ったのはここだけの話。なので、この物語には、特に関係のない人物なので、覚えなくていいです……

 ちなみに、『B章1話』のあとがきの『セイラ』の姉の名前は『ソレイユ』という二次創作設定でした〜。これも覚えなくていいです……どう繋げるのか今の時点では何も考えてないので……



・第二王子イルス・イスウンカイザンソ・セファイルメトス

 第二王子は、『原典』でもでてきますが、名前は出てきません。

 ハルスが17才の時点で『王族認定』されているので、腹違いを含めて考えると17才以下で『冒険者試験』を突破する才能はあるようです。


 たしかセファイル王国には王族の冒険者が5人しかいないようなので、冒険者になった時点でかなりの強者です(裏番付や上位世界人からみれば、鼻で笑われるレベルかもしれませんが……)。


 名前は、ハルスをもじって、マルスか、逆さまにして、スル●にしようかと悩んだ末にイルスとなりました。はい。居留守とかけてます。


 今さらですが、『ハルス』にも『スル(ソル)』や『サテライト・エクスカリバー二式』の『サテライト(太陽)光』、『カースソルジャー』の『魂魄への呪い』というように、『ソル(太陽)』、『ソール(魂)』のキーワードが隠されていることに気づきました。


 『ソルさん』が『管理人室』から追い出されなくても『スルス』は、結局、『不幸な娘のため』に、世界に不幸を撒き散らしていそうなところが、『魂魄処理機構』のポンコツなところ……


 

・プラチナスペシャル『九十九十九(外されたサングラス)』

 『原典』にはそんなスペシャル登場しませ〜ん!(似たような効果はありそうかも)

 ちなみに(5才の)ハルスの顔は普通に美少女ですから!




・セア聖国 プッチのロ●コン疑惑の真相

 『原典』には原因は書いてないのですが、二次創作的に『ハルスの美幼女っぷり』×『九十九十九』×『聖なるオーラ』の三連撃でプッチさんの性癖が歪んだなんていう可能性もありかと…… 


 まぁ、『魂魄処理機構』的には『ヒャッハー!ロリ●ン万歳だぜぇ!』だったりするのでホント『ヌル』さんも『激おこぷんぷん丸』になっちゃいますし、『超苺』も『俺、最弱だけど女の子のためなら頑張れるかも』と激熱演出突入して、『クロート』が『さすが俺たちの超苺!』と褒めそやかすのですね……




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― 新着の感想 ―
[一言] 閃幽零(元ミリオン)パイセン曰く 自分の容姿で相手を魅了しやすくするスペシャルは あるそうです ぶっ壊れて、歪んで、目覚めて 大切な物を失くしちゃったんですね。
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