表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/33

6話 うふふ……活きのいいのが手に入ったから……鑑賞会の……お誘い……ハルスちゃんもね……

いつも『いいね』してくださりありがとうございます!

とっても嬉しいです!


『ブクマ』、『評価』していただきありがとうございます!


「ほ、ほんと……………に、人間は怖いわぁ…………」




「―――ッ!?」


 すぐそばでボソッと呟かれ、ハルスの肝が縮む。


 気がつくと、目元が見えないほど前髪を伸ばした大層陰気な少女が隣にいたのだ。


 ハルスの姉の第二王女、シーハ・イリカーコモト・セファイルメトス、10才である。  


 彼女は稀有な蟲魔法の使い手で隠魔法にも優れている。

 ハルスに気配を悟られずに近づいていたことからその優秀さは折り紙つきだ。


 実際、後2年もしたら冒険者試験を突破できると目されており、普通に王族としては優秀な部類だ。


 しかし、何かと姉の万能天才姫サーナと比べられてきたので、劣等感に苛まれており、姉と自分を比較する視線を避けるため、普段は伸ばした前髪で視線をカットして、自分はいずれ姉を超えられる大器晩成、いまは雌伏の時、などとぶつぶつと自らを慰める言葉を口にして、周囲の者から嫁の貰い手がつくのか心配されている。


 とはいえそれは普段の素の姿であって、公式な場では、王族として恥ずかしくないように、前髪をかきわけて、とても可愛らしい美少女ぶりを演じることもできる。


 さすが王族というべきか。


 その翌日には反動で●子っぷりに拍車がかかるのだが……


「シーハお姉様、な、何かご用でしょうか……?」


 ハルスが冷や汗をかきながら訊ねるなどそうそうあることではない。

 だが、この出不精な姉がわざわざ足を運ぶなどこれまでろくなことはなかった。


「うふふ……活きのいいのが手に入ったから……鑑賞会の……お誘い……ハルスちゃんもね……」


「ひぃっ……!!」


 そろーりそろーりと退室しようとしてたセーラ(ハルスに扮しているが)はビクンと震え、腹を押さえながら、


「双子の姉といるとお腹が痛くなる病が……」


 仮病を発症する。


「それは……困ったものね……」


 悩ましそうに妹と弟を見比べるシーハ。

 傍から見れば、どちらを呪うか迷ってる貞●でしかない。


 セーラの意図をすばやく察知するハルス。

 つまり、どちらかは贄にならずにすむのだ。

 ハルスはセーラの機転を称賛する。


「どちらを『先に』呼ぼうかしら……」


「「結局どっちも呼ぶんかい」」


 同時に突っ込むハルスとセーラ。

 さすが双子。

 息がピッタリだ。


「あ……そうだ……少し前に何でも病を治すという南大陸原産のゴキ……」


「あ、治った! たった今、この瞬間に完治した! シハ姉の手をわずらわせる必要はもうないぜ!」


 セーラが必死の形相でアピールする。


「本当に……?」 


 わざとらしい様子のセーラをシーハは疑わしそうな目(といっても髪で見えないが)で見る。


「あ! ホントです! 双子特有の共感覚からハルスの病は治りました!」


 ハルスは必死になってセーラを援護する。


 何故なら、その治療を本物のハルスのほうがさせられる恐れがあるのだ。

 事実それで何度か『壊れ堕ち』かけたことがある。


「そ、そうなの……それは残念……三日三晩『漬け』にして効果があるのかためす良い機会だったのに……」


「「み、みっか………みばん……づけ……」」


 顔面蒼白する双子。


 以前、雌のGが人間の雄、雌どちらを好むのか、蟲魔法で100匹近く増殖させた密室空間で試されたときですらガリガリにSAN値が削られ1時間が限界だった。


 それが三日三晩、しかも、『漬け』などという想像したくもないヤバい状況だというから完全に発狂コースだ。


 それに比べたら鑑賞するくらいなんてことない。


 正直、Gは、見るのも蕁麻疹ものであるが……


「で、何を鑑賞させる気だ……?」


 セーラの直球な質問にハルスは内心、感謝を捧げる。

 やはり、心の準備は必要なのだ。


「うふふ……よくぞ聞いてくれたわ……! 蝉の幼虫よ……」


「「あ、あれかー……」」


 興奮げに話すシーハにセーラとハルスは微妙な反応だ。


 蟲好きのシーハは特に蝉が好きだ。

 地中に長い間潜伏する姿に自身を重ねているからだ。


「し、しかも…………17年蝉………た、たまらない…………ぐふふふ…………」


 すでにトリップしている。


 アレじゃなくて、双子の姉弟はひとまず安堵する。

 蝉の幼虫であれば、幼虫のいる地面を半日ひたすら眺めるだけだ。


 といっても地面には何の変化もないのに、「みじろぎしたわ……」、「今、蹴ったわ………」、「よしよーし………」、「ぐへへへ……」と姉の奇声が聞こえるのにイラッとする程度の苦行ではあるが……


 本当に2番目の姉はかなり残念な美少女である。


「それじゃ……」


 ボソッと呟き、シーハは自身の影に沈んでいく。


 隠魔法『影移動』だ。


 シーハはそこに蟲魔法のアレンジを加える。


 影が黒光りのアイツの集合体であると世界に思い込ませ、無数のGとなったシーハが一斉に飛び立って部屋を出ていく。


 城のあちこちから悲鳴があがる。



「…………」


「…………」









「そんなにかたまって二人ともどうしたの?」


 ハルスとセーラの意識が戻ったのは、第三王女の姉に声をかけられてからだった。


























今回の二次創作要素(の一部)を紹介!


・第二王女シーハ・イリカーコモト・セファイルメトス

 『原典』には、これっぽっちも登場しませ〜ん!

 ハルスがG嫌いという設定は『原典』にはでてきませんが、シハ姉が原因です……

 蟲魔法、隠魔法も『原典』には出てきませ〜ん!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ