其々飛ばされた場所
瑠璃丸と黒曜丸視点。
瑠璃丸と黒曜丸が飛ばされたのは表界の高山地域にある村に辿り着いていた。
そこは大きな円に掘り進められた穴の端端に住居が作られてあり、カンカンカンカンと何処かしこと槌が打たれる金属音が響き渡るモグラ族の村だ。
モグラ族は全長110センチほどの獣属で、皆黒いサングラスをつけている。
「この光景には見覚えがありますね。」
「うむ。モグラの採掘村じゃな。」
採掘村は、その名の通り金属や宝石が採掘される場所で作られ、モグラ族はそこで取れた貴金属を売買し生活している種族である。
そして現在、瑠璃丸と黒曜丸はその採掘村の飲食店で食事をしていた。
「しかし昔とは少しばかり雰囲気が違うのぉ。人がこんなに行き来はしてなかったはずじゃが、あ、イモブタのステーキを追加で頼む!」
「あいよ!イモブタ一丁追加ぁ!」
モグラの店員が奥の厨房に声かけをする。
「見たのは何百年も前です。状況が変わったのでしょうね。それよりもハル様との通信は取れましたか?」
「いや、全くじゃな。契約印が消えた反応はないから生きてはおるようじゃが、場所も分からん。となると‥モグモグ」
「別の世界にいると考えたほうがいいですね。」
「じゃろうな。まぁハルの事じゃ。何とかやりよるじゃろう。お主はどうじゃ?モグモグ」
「ランス様は裏界にいるようですね。私は黒曜のように通信は取れないので場所ぐらいしか掴めませんからね。」
「それで十分じゃろ。とにかく居場所のわかる奴との合流が先じゃな。ランスの方へ向かってみるかの。モグモグ。しかしやっかいな事になってきよったの。これから戦う相手があんな化け物じみとるとはのぉ。あれは邪神よりやっかいそうじゃったぞ。」
「ええ。一度戦っているので、あの強さは肌に染みています。‥と、いうよりも先程から私のお皿から取って食べるのは辞めて下さいませんか?」
「なんじゃ?つれないのぉ。お主と我の中じゃろ?」
ニヘラとする黒曜丸。
「行儀が悪いと言っているのですよ!それにここにフラッと入って食べてはいますがお題は大丈夫なのですか?」
「ふふーん。任せろと言ったであろう。こんな事もあろうかとリリスから貰ったお小遣いがあるんじゃよ。ほれ。」
黒曜丸は懐に忍ばせた巾着を取り出し瑠璃丸に見せる。
そこには小銅貨が3枚入っていた。
それを見た瑠璃丸は凍りつく。
「バカですか貴方ぁ!小銅貨3枚しか入ってないではないですか!!」
「む?なんじゃ?」
「なんじゃ?じゃありませんわよ!ここの食事は銅貨一枚、小銅貨7枚も足りませんわよ!」
「なんじゃと!?」
「ここは任せい!とは良く言えましたわね!貴方仮にも武器屋にいたのでしょ?」
「お、おぉ。」
オドオドし始める黒曜丸を見て瑠璃丸は溜息を一つ吐く。
「もういいです。私も確認しなかったので非があります。ここは正直に店主に話して‥」
瑠璃丸が目線を逸らした隙に何処かへ行こうとする黒曜丸の首根っこを瑠璃丸が捕まえる。
「何処へ行くのです?」
「お、お花をつみに」
「嘘おっしゃい!いきますわよ!」
「ぎにゃぁぁ!!」
〇〇
「お疲れさん。いやぁ嬢ちゃん達なかなか良い働きっぷりだったよ。はいこれ」
モグラの店主が機嫌良さげに銅貨4枚を瑠璃丸に手渡す。
「え?これは?」
「今日の駄賃だよ。嬢ちゃん達のお陰で今日の売り上げは今月1だったんだ。受け取ってくれ」
「まぁ、ありがとうございます。」
数時間前。
瑠璃丸と黒曜丸はあの後、店主に誤りにいき、店主にこっ酷く怒られ、足りない分は働けとエプロンを付けてホールに立たされた。
すると2人共見た目が良いと言う事もあり、人族に人気が出て一気に店は活気ずいた。
挙句に黒曜丸との飲み比べ大会なども始まりお酒がガンガン出た。
「かかかか!!どんどん持ってこい!!我が邪眼はまだまだ開眼までに至らぬぞ!開眼させてみよ!」
黒曜丸がテーブルの上に立ち、訳のわからない発言をする。それが客には受けて黒曜に酒を奢りやいのやいの盛り上がる。
瑠璃丸はその見た目に良いよってくる男共に酒をついでは奢ってもらい、卒なく受け流しては対応していく。
そのお陰で今月からの売り上げを上げる事ができたのだ。
黒曜丸は酔い潰れて開眼どころかテーブルに何かをぶち撒けモザイクがかかっている。
「なぁ、嬢ちゃん達さえよけりゃウチでこのまま働いてくれねぇかい?」
モグラ店主の申し出に瑠璃丸は少し考える。
一日で4銅貨×6日で小銀貨2枚と銅貨4枚
裏界に行くには中々の長距離。それに船を乗らなければ行く事もできないとなると路銀は
必須。
瑠璃丸は決意した。
「わかりました。10日ぐらいしか務めれませんがそれでも宜しければ。」
「おう!やってくれるなら大歓迎だよ。少しの間だがよろしく頼む。」
モグラ店主と瑠璃丸は握手を交わす。
【世界の硬貨】
小銅貨
銅貨
小銀貨
銀貨
小金貨
金貨
白金貨
大白金貨
全て×10で繰り上がり。
〇〇〇〇
ネイブル視点。
ネイブルとリリスが飛ばされた先は裏界にあるカガン地方に位置する海岸。
裏界は表界とは違い人族よりも魔族が中心に多い。
また表界は領土で分けられるるが、裏界は地方で分けられていて、このカガン地方に限っては中央に大きな活火山が存在しており周りは海で囲われている。
「リリス大丈夫かい?」
「えぇ。ここは?」
「多分裏界のカガン地方だね。あの大きな活火山は昔に見た事があるんだ。」
「裏界?何でこんな所にいるのかしら?」
「わからない。けど、どうやら助かったみたいだね。あの場にあのままいたらどうなっていたか‥」
ネイブルはあの悪魔の存在を見ていた。
その存在を思い出すだけで身の毛がよ立ち、身体を抑える事で震えをおさえる。
そして、自分の息子をあんな化け物とぶつけようとしていた自分に恐怖する。
僕はバカだ。いくらハルが使徒だとしてもあんな化け物と戦わせる訳にはいかない。
あれが邪神なのかはわからない。けど、あんな悪魔相手に僕はなんてバカだったんだ。
まるで死にに行けと言っているようなものじゃないか。
なんとしてもハルを遠ざけないと。
ネイブルは強い意志でそう心に決めた。
「ネイブル。これからどうすれば‥。子供達と皆は‥」
リリスは不安で今にも泣きそうになるのをネイブルはささえる。
「大丈夫さ。僕達の家族はきっと大丈夫だよ。」
「あなた」
スッとネイブルはリリスに口付けをしてリリスを起こす。
「たしかあっちの方面に村があったはず。取り敢えずそっちにいってみよう。」
「え、ええ。」




