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幻獣王シャドー

ハル視点。


「うぇ~。これ結構絶望的だよなぁ。」


「確かに。こんなに歩いて飲まず食わずはきついど。と言うより‥。いい加減オデの背中から降りるど!」


 その通り!俺は素っ裸でプータンの背に転がっている。


 チン〇ンが風に染みるぜ!


 冗談はさておき、


「そう言うなよ!俺とお前の歩幅が違うんだ。それにお前だったら俺を乗せてようがなかろうが関係ないだろ?」


「気持ちの問題ど!」


「強い奴はそんな細い事言わねぇぞ。俺はお前を高く評価してんだぜ。」


「む?本当かど?」


「おうおう、さっきの戦い方も見事なもんだった!お前がいなきゃ、お前とだからこそ乗り越えれたんだ。本当に感謝してるぜ。」


「グフっ。そ、そうか?そんなにオデ頼りになるどか?」


「なるなる!プータン様最高!!」


 そう言うとプータンは鼻をフンとならしてデレっとした表情に変わる。


「グフフ。悪くないど!」


 扱い安い奴だ。


 だが実際にさっきのやつにはプータンありき

だった。本当に感謝しています!


 さて、たわいもない話はこれくらいにしてこれからどうすっかねぇ?


 この鉾もさっきの戦い以来反応を示さないし、何時間歩いても日の明かりが変わらないこの景色も飽き飽きだ。


 「だぁ!」と意味のない声をあげてプータンの上でゴロンと寝返って遠くに目をやる。

 すると、なんと先に人が住みそうな建造物がみえた。


 見間違いかと目を擦り、もう一度確かめると確かに見える。


「プータン!建物だ!」

 

鉾で目的地を指し示す。


「やっとどか!やっと飯が食えるど!」


 急ぎ足で俺達は建物に向った。


 建物は、一軒家ぐらいの大きさの岩をソフトクリームみたいにけずりとったような形をしている。


 目の前にたどり着くと、頭頂部の尖りがパカッと開いた。


 そしてそこからヒョコッと黒い生き物の顔がとびだした。


 真っ黒の頭に大きなクリクリした目玉が二つある謎の生物だ。


 ってかそこが出入り口なの?

 常識的な部分に扉のような物はなかつた。


「お前達は何者だ?」


 その問いにプータンが我先にと「オデ様‥」と訳のわからん事を言いそうになるのを手でふさぎとめ耳打ちする。


(ここは下手に刺激しないよう丁寧にしたほうがいいと思う。俺に任せろ。)


(わ、わかったど)


「えーと、僕はハルといいます。訳あってこの場所にたどり着いたのですが、、」と話そうとすると、その黒い生き物は話を遮るように声を被せる。


「何故人間がここにいる?そしてその生き物‥。ふむ。興味深いな。」


 ジーと俺達を見つめる瞳。


 さっきは俺の言葉を遮ったが一応俺達には興味を示してはいるようだ。


「えーと。僕はハル。こいつはプータンです。僕達は人間界から何故かここに飛ばされた者です。貴方は幻獣界の方ですか?」


 黒い生き物はにょろっと姿を表した。


 大きさは小型犬ぐらいでツルッとしたナマコのような形の先にクリっとした目が二つある生き物だ。


「ふむ。何かと訳ありのようだ。ここは幻獣界の最果てエンドランドだ。そして我名は幻獣王に位置するシャドーという。我に何様か?」


 なんじゃこの生き物は?


 っつかやっと食料にありつけると思ったのに、明らかに生物が違いすぎる。


 こいつ飲んだり食ったりするのか?


 だけど、やっと話せる相手が見つかったんだ。


 生きる為が最優先!


 ふと横目でプータンをみるとプータンは冷や汗を流して口を開けていた。


 どうしたんだ?まぁいいや。とその事を流してシャドーに本当の事を言う。


「僕達は今、右も左も分からない状況で、できれば食料を分けて頂き人間界に戻る術を教えては頂けませんか?」


「よかろう。」


 余りの即答に俺は戸惑った。


「え?いいんですか?」


「断る理由もない。どうせ暇だ。それに会話をするのも随分と久しぶりだ。中に入れ。」


シャドーはそう言うとシュポンと家の中に入った。


 あまりの即答にキョトンとした俺とプータンは目を見合わす。


「わ、罠かな?」


「いや。そんな感じではなかったど。そんな事よりあいつは、いや、あの方は幻獣王シャドー様だど。」


「はい?」


 いや、そういえばそんな事さっき言ってたかも


「そんなに凄い方?」


「すごいも何も、幻獣王と呼ばれる最高位七幻獣の幻獣様だど。怒らせでもしたらオデ達は一溜りもないど」


「マジか!あの見た目でか!っつかそんな奴にオデ様とか訳わからん事言おうとしてたのかお‥」


 バシン!「ぶへっ!」


 プータンの鼻叩きが俺の頭に炸裂した。


「バカ!聞こえたらどうすんど‥」グサッ!


「ぬぅお!」


 プータンの目に指を刺してやった。


「何するど!!」


「俺の頭を気安く叩いてんじゃねえよ。」


「うわ!サイッテーな顔してるど!」


「なーんてな。冗談だよ。ほらいくぞ!」


 ヒラヒラとついてこいと手を招き渦巻きをよじ登っていく。


「いや、今のは絶対冗談じゃなかったど」


「冗談だよ。はやくこいよ!」


「うぅ。なんて奴だど。」


 プータンはブツブツいいながら俺の後に続きピョンピョンと登ってきた。


 そして二人して入り口を覗き込むと、意思関係なくプータンと俺は穴に吸い込まれれる。


 そしてドテーン!!と尻餅をついた。


「いったぁ」


「こんなのばっかりど。」


 尻をさすりながらあたりを見渡すと、なんと日本の和を感じさせる懐かしい部屋だった。


 な、なんじゃこれ?


 部屋の中央には囲炉裡があり、床は畳に扉は襖だ。


「めちゃくちゃ和だ。」


 その言葉にシャドーが反応する。


「お前、今何といった?」


「いや、ちょっと知っている雰囲気に似てまして、和と。」


「知っているだと?おかしな事を言う。この部屋の物はすべてこの世界の物ではない。過去に我と契約を結んだ転移者から得た知識で作られたものだ。何故しっている?」


転移者?もしかしてこの和の雰囲気からして、いや偶然か?でも繋がる。


「もしかしてその方はオキタという方では?」


 そう言うとシャドーは目を丸くした。


「お前、オキタを知っているのか?」


「いえ、正確には歴史の人物で知っているといった方が正しいです。それにこの和の内装は僕の前世の世界にもあった物ですから。」


「なんと!!ではお前はこの世界の事に詳しいのか?」


「えっと、そうですね。」


「おぉ!!これはなんという巡り合わせか!」


 シャドーは目をキラキラさせて歓喜しはじめた。


 その光景にプータンは首を傾げる。


「これがなんだど?というか前世?ハルは別の場所からきたどか?」


「そういや言ってなかったな。そうだよ。俺は前世の記憶を持つ言うなれば転生者というやつなんだよ。」










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