騒がしい夜
「じゃぁ、色々引き連れちゃってごめんね。」
無事に学校に戻ってきた俺達。
皆、キャラが濃い為、生徒達から注目を浴びる的となるがそれは無視だ。
「いえ。良い体験をさせて頂きましたわ。けれども‥#障壁__バリア__#!」
ガン!と、今にもランスに飛びつこうとした瑠璃丸が障壁により防がれた。
「な!?何をなさるのです!?」
「それはこちらのセリフですの!」
バチバチとまた火花を散らすプリスと瑠璃丸。
やれやれと首を振る俺に対してランスはアワアワとしている。
で、シスカはシスカで俺の袖を握りしめて、同じく瑠璃丸をガルルと睨みつけていた。
いったいなんなのよ?と俺が頭を掻いているとカルラが俺に話しかけてきた。
「そろそろ‥王城にもどらないと。」
「あっ、そうだった。たしかに。」
そろそろ帰らないとな。
気づけば時間も昼過ぎになっている。
だが帰る前に一言ランスにも謝っとこう。
「兄さん。学校サボっちゃったけど大丈夫だった?」
「に、兄さん?」
ランスは何故か引きつった表情でそこを聞き返す。
なんだよその態度!場的にそうなるでしょ?謝ろうと思ったがもうしらん!
俺の心の突っ込みもいざ知らず、プリスが答える。
「大丈夫ですわ。午後からはどちらにせよ私達自習でしたから。」
「そっか。ならよかったよ。」
「ってかハル。彼奴はどうすんだど?」
プータンがアレとばかりに目線を促す先には、謎なまでに一際注目を浴びている肉まんパルルと黒曜だ。
「ぬぅおーー!!ここが人間の学校かよ!デケェ!!マジすっげぇ!!」
「ふふふ。そうだろぅそうだろ!!ここで多種族が集まり、知と武を学び、いずれ我の配下とならんとする為に日々下々が励んでおるのだ!」
「まっ!マジかぁ!!やっぱり黒曜すげぇ!!さすがベンダーワイフという‥むぐ!」
肉まんがそう言うのを黒曜は慌てて肉まんの口を塞ぎ止める。
流石に気付いたか?
「愚か者。それはかつて我が恐れらていた名だ。忘れ去られし暗黒の名は今のこの平穏には必要とされぬ。今一度その名が響けばこの場は一瞬にして混乱の渦となりかねんのだぞ。」
違う意味でな!
そう言って黒曜が指を指した先にはくるくる天然パーマで黒縁メガネのキモオタデブがチラチラと黒曜を見てはモジモジしてフーフー言っている。
あかん奴!!
と、所々の俺の心はさて置き黒曜がチッと舌打ちをした。
「僅かに聞き漏れてしまったようだ。だが、どうやら奴だけで事は治まった。さほど心配する事もなかろう。」
「な、なぁ、彼奴どうなっちゃったんだ?」
「あの者のように名を聞けば皆ああなる。恐怖で正常を保つ事ができなくなるのだ。」
いやいや。アレそんなんじゃないから!ってか明らかに意識してるよあのキモデブ!!
ってか、なんかハァハァ言い出してヘラヘラ笑いだしたぞキモ!ってか何!?
「ぬぅお!!」
ってなんか声だして脱力したぁぁぁぁ!!!!
ぜってぇこいつ彼女できねぇわ!今本当に無理!!!
生理的に無理!
「うわ!なんてこった!名前聞いただけで倒れちまった!俺は!俺は、なんてことを!」
目に涙をうかばせ地を叩き歯を食いしばるパルル。
違うからぁ!アレはそんなんじゃないからぁぁ!!
「うむ。言葉は災いを呼ぶ。以後気をつけろ。」
てめぇだよ!!
突っ込みを入れまくりたい所だが、ここでの俺のキャラが崩壊しかねん。
なのでこれ以上は恥ずかしいので強制退場をお願いしよう。
黒曜と肉まんに手をかざす。
「【#強制転移__フォスプリステーション__#】」
バシュン!!と黒曜と肉まんはその場から消えていなくなった。
そこらを歩く生徒達は驚き、騒ぎはじめた。
「よし、そろそろ俺達もいこうか。」
「おう。」「うん」「‥」と、プータンとカルラ、シスカを連れて転移した。
そしてその晩。
我が家の食卓は更にガヤガヤと騒がしいものとなっていた。
「うめぇ!!!ってかなんだこれ!!うめぇ!」
「おい!肉まん!!それは俺様のど!!」
「何を言う!!それは我が最後の至福にと残しておいた奴じゃ!」
「馬鹿やろ!!それはオデの皿に盛られて奴ど!!自分のを食べるど‥ってまた食ったど!!止めるど!!」
ワイワイガチャガチャ、ワイワイガチャガチャ。
全く落ち着いて食べれないじゃないか。
父さん母さんも唖然とするが、
「凄いたべっぷりだ。」
「えぇ。子供が沢山いるというのは良いことよね。」
どんなけ良い人!?
しかし、コイツらを連れてきたのは俺だから責任を感じる今日この頃。
食費だってハンパないだろうし、何か恩返しを考えないとなぁ。
「ハル!!僕をあの場に置いていくなんて酷いよ!!」
また喧しいのがきたな。
「ハル様。この瑠璃丸という下衆をどうにかして下さい。これではおちおち屋敷にも帰れませんわ。」
プリスの後ろでバリアをバンバン叩き「ハル様!ハル様ぁ!!!」と叫ぶ美人だけどとても残念で最早引いてしまう伝説の四刀である瑠璃丸。
「た、確かに。だけど四刀には代わりないんだよなぁ。これから色々と情報を聞いたりとか協力関係でありたいから此処に置いといた方が都合がいいんだよね。」
「う、それを言われてしまうと、状況を察している私としては言葉を詰まらせてしまいます。ですが納得はいかないですわ。はっ、それでしたら!」
プリスが覚悟を決めた様にランスに振り向く。
「ランス様。私ことプリス・フォン・ターニアは正式的にこのエステード家へ花嫁修行として同居申請を申し込みます!」
「え、えぇぇ!!!?ぷ、ププ、プリス本気で言ってるの!?」
ランスは慌てふためき動揺するが、顔は真っ赤だ。
「本気ですの。と、言う訳でネイブル様、リリス様。本日はランス様の部屋で泊めさせて下さいませ。」
あまりの突然の出来事に父さんも母さんも困った顔をする。
「いやいや、まだターニア卿に話をした訳では無いのにいきなり決めてしまっては色々と問題が起きるだろ?」
「そうよ。プリスちゃん。そういう事はちゃんと順序が‥」
「リリス様。アレをご覧下さい。」
プリスが指差すアレとは勿論、バリアに顔を貼り付ける残念な瑠璃丸である。
「あぁ!こんなに近くにいると言うのに触れぬもどかしさが更に私を!!」
おいおい。キャラ崩壊が激しいな、
父さんも母さんも引きつった表情を見せる。
「いいですか!御子息様の貞操が危うい事態なのですよ!」
「た、確かにそうだけど、言伝が、」
「ご心配なく。既に付き人に言伝を頼んでおります。事が事なのでお父様も絶対にご納得頂ける筈です。」
「用意がいいね。」
「勿論です。近いうちに父上を来させますのでお時間都合の良い日程を作ってくださいませ。」
プリスのあまりのしっかり様に父さんは呆気にとられたように頬をかいた。
「分かったよ。明後日にでもターニア卿と話をする時間を作るよ。けど」
「プリスちゃん。事は正式に決まってから起こすのよ。」
「わかりましたですの。」
いや!子供に何言ってるの?
この世界の教育がわからん!
〇〇
晩餐を終えて皆が寝室に入る。
「さぁ!枕投げを始めるぞ!!」
「馬鹿やろ!!オデは枕じゃないど!!ってうぉーーー!!」
「あぶね!」
肉まんがプータンを避けたのでプータンは壁にドンっと直撃する。
「いくら黒曜とはいえ、そっちがその気ならこっちも容赦しないぜ!必殺!!【枕の中の羽毛の舞】!!」
羽毛がばら撒かれる。
「なぁぁ!!何してんだコノヤロォ!!」
「む?ハルも参加か!容赦はせんぞ!」
「おうおう兄ちゃん、こっちの世界は甘かねぇぞ。」
「どっちの世界だよ!ってか暴れんじゃねぇよ!」
「隙あり!!」
バフっと俺の頭に枕が直撃する。
‥。
「ざけんじゃねぇぞタコ共がぁ!!!」
部屋にある枕全部をレビテーションで浮き上がらせ流星群のようにパルルと黒曜に飛ばしてやった。
「ぎやぁー」バフ!「ぐえ!」
「目覚めよ!第3の‥」ボフウ!「ぐぁ!」
バフ!ボブ!バフ!バババババ!!ボフウ!
二人共戦闘不能。
ユーアーウィン!!!「しやぁー!!」
ガッツポーズをとり喜んでいると、プータンは呆れた表情で「全くなんで同じ寝室なんだど?喧しくて寝れないど。」と真面目くさったことを言い出した。
何か言い返してやろうかと思ったが今回はプータンのほうが正しい。
くそ!最近何故かコイツが妙に真面目くさって腹がたってくるぞ!本質は変態野郎なはずなのにぃ!!いー!
あれやこれやと考えながらも動きを止めたパルルと黒曜をレビテーションでメイド達が用意したもう一つのベットへ乗せる。
ふぅ。なんにせよ取り敢えずこれで俺も寝れそうだ。
自分のベットへ向かうと、布団がこんもりとしていた。
なんだ?と掛け布団を持ち上げると、最早裸に近い白いローブを纏った瑠璃丸がベットの上で俺を艶めかしい表情で手招きしていた。
「ハル様。どうぞこ、ち、ら、へ」
ブゥォ!と、鼻から火山が噴火しそうになるのを抑える。
ってかコイツもはや幼かったら何でもいいんじゃないのか?
ってかこんなのが隣に寝ていたら寝れないし、シスカに何を言われるか分かったもんじゃない。
いかんぞこれは!俺の貞操も危うい!
コイツの性癖を抑える様なクリエイティブ。
例えば‥
「【 #性的牢獄__セクシャルプリズン__#】」
そう言うと、瑠璃丸の背後に女型の彫刻が彫られた棺桶が現れ瑠璃丸を捕らえた。
「なっ、なんですこれは!?」
そしてそのまま、棺桶は瑠璃丸を閉じ込める様に蓋を閉じた。
しかし、何故か胸の部分だけ開いており、瑠璃丸の大きな胸だけが曝け出されていた。
ぶぅー!!
なんて魔法作っちまったんだ俺ぇぇ!!
そして、その棺桶は小刻みに震えて、最終。
「きゃぁぁぁぁ!!!ああぁ‥あ。あ、あ!あ!あ!あぁぁぁぁあん!!」
瑠璃丸の断末魔のような艶めかしい声が響き渡り、最終尽きた様に動かなくなった。
いったい中で何が?
興味はあるが、恐ろしい。
ってかこれは目に毒だ。とりあえず布でも被しておこう。
「いい趣味してるど。」
プータンがジト目で俺を見る。
「馬鹿やろ!こりゃ事故だ。」
〇〇
一方ランス側。
「ランス様。どうされたのです?」
「えっ、い、いや、ちょ、ちょっと。」
ランスは耳まで真っ赤にした顔を見られまいと顔を背ける。
「ふふふ。可愛いですの。ですが、まだその時ではございませんの。明日は早いですし、先に就寝させて頂きますわ。」
そう言ってプリスはランスの方を向いたまま目を瞑った。
ランスはホッとすると同時に少し残念な気持ちも抱えつつ、プリスに背を向け、横になった。
すると、ランスの背中にプリスの手が触れる。
「ひゃう!」と思わず情けない声を漏らすランス。
「ランス様?もしかして私の事、‥嫌い?」
「そ、そそそそんな事ない!いや絶対ない!‥よ。」
ランスは慌てて上向きになった。
プリスの吐息が近すぎてプリスの方を向く事はできないので、精一杯の誠意を示す態度だ。
「そう。嬉しいですの。」
プリスはそう言って笑顔を見せると、ランスに寄り添う様にして目を瞑った。
(寝れない!!!!)




