衝撃的な事実
さてさて、今日は珍しく家族総出でシャルべ領の繁華街を歩いていた。
勿論そこにはプータンもいる。
だがプータンは父さんが自ら作ったという赤ちゃんの抱っこ紐で背負われていた。
「いやぁ、ハルには使う事が無かったけど昔はランスに使ってたんだよ。いやぁ~残してて良かったぁ!」
爽やかに言う父さん。
「ふふふ。もう1人赤ちゃんが出来たみたいねぇ。」
母もその光景を微笑ましくみる。
「リリス‥。」
見つめ合う2人。
やめい!!
そして父の背中でニタリと笑うプータン。
歩け馬鹿者!!
で、今日は何故に皆でいるのかというと、ただ単に俺の短剣を買いに出ただけだ。
昨日の晩御飯の時。
「ハル。この前カルラさんに聞いたんだけど訓練頑張ってるみたいだね。そこで提案なんだけど、繁華街にいってハルの短剣を新調しに行かないかい?ちょうど明日は僕も暇だしどうだろう?」
「あら貴方。それなら私も一緒したいわ。」
「え!?じゃぁ僕も行く!!」
「ほう。繁華街か。あそこは美味しいご飯が沢山ど!オデも興味があるど。」
「ははは。よし!どっちみちその気でいたし家族みんなで繁華街に行こう!」
と、まぁこんな感じで俺の有無関係なく話が進みこうなった訳だ。
まぁいいけどね。
やっぱり何だかんだといって俺は男!全ての男がそうとは限らないが剣とか棒は好きなのだ。
しかしだ!
この一年で思ったのだが、俺は魔法に感しては自分で言うのもなんだがスーパー天才で、唱えれば何だってできるんじゃないかと思うくらい凄いと自負している。
だが何故か剣術に限ってはなかやか上達する気配がない。
直ぐにできるだろうと余裕をかましてやったはものの力が無いせいで剣に振り回される始末。
なので訓練中は訓練用の短剣をカルラに渡され、それで訓練している。
そしてカルラはあの寝ぼけ顔の癖にスパルタなのだ。
「素振り‥200」
「ハルゥ!頑張れぇ!!」
隣でシスカの声援を受け短剣を振る俺。
ってか3歳にさせる訓練じゃねぇだろこれぇ!!!
しかし、初めはシスカだけが俺の応援に来てくれていたのだが、徐々に場内にいるメイド達がチラチラと窓から俺を覗き見してはキャーキャーと騒いでいるのがわかった。
「僕、‥僕!!がんばるよ!!!」
「「キャー可愛い!ハル様ぁー!」」
キャッキャ、キャッキャと温かい声援ありがとう!
はははははは!投げキッスをしてやりたいくらいだぜ!
しかし、そんな事をしてキモがられる訳にはいかん!高揚する気持ちを見せるべからず必死さをアピールして短剣を振る。
俺は今!輝いている!
「ハル?」
不意に呼ばれて振り返るとシスカが真顔で此方をみている。
いや、怖いからやめて!
「な、や、やあ!シスカ!今日も可愛いねぇ!」
そう言うとシスカは赤面し「ばか!な、何いってんのよ!」
バシン!と頬を叩かれた。
何故!?
とまぁ、城内にいる時はこんな感じだ。それから訓練は外でする時もある。
勿論俺の転移を使わされ、カルラと外出するのだが、この時だけはカルラと2人だ。
俺はシスカが居る時やメイド達が居る前では訓練をサボる気はさらさら起きなかったのだが、ここで安易な感情を抱く。
それはカルラが極たまに俺の訓練中に寝落ちする時があるのだ。
そのタイミングを見計らって素振りをゆっくりめにして数を多目に数えてみたのだ。
「ふん!1、2345フン!」
「50追加‥ね、zzz。」
「ぬぅぉ!」
恐るべしカルラ魔法剣騎士団長!!
とまぁこんな感じで俺にとってはこの世界に来て以来初めてと言える一番の努力を行なっているという訳だ。
で、今の話に戻る。
俺達家族は露店などが並ぶ賑やかな繁華街を歩く。
今考えると家族で歩くなんて初めてだった。
ってか目立つな。
そう、俺達は言うまでもなく、ここの領地を任されたエステード 家だ。
それに母さんも父さんもランスも超がつく程綺麗な顔立ちをしている。
一応バレないように質素な服を着こなしてはいるが、明らかに普通とは別次元だ。
そんな風に周りからの視線を受けながら人通りを過ぎていくと、一際大きな店の前で止まる。
どうやらここが武器屋の様だ。
中に入るなり「らっしゃい!!」とおおきな声が聞こえ、奥から体格の良い色黒の親父が出てきた。
「やぁ、ダルブさん。久しぶりだね。」
父さんが笑顔でそのオヤジに挨拶すると、母さんもその人物を知っている様で笑顔で頭をさげる。
それを見るなりオヤジは目を丸くし、大きく反応する。
「おぉう!!ネイブル!ネイブルじゃねぇかよ!それにリリスちゃんも!元気してたのかよ!!」
ネイブル?リリスちゃん?仮にもここの領主だと思うのだけど、昔の知り合いとかかな?
「ははは。この通りさ。あっ、ハルとランスは会った事がないよね。この人がこの店のオーナーでダルブさんだ。父さんが昔良くお世話になった人なんだよ」
ほうほう。父さんの昔仲間か。
そう言えば父さんは確か平民からの成り上がりで今の地位についているだっけ?
ん?そう言えば父さんの昔話とか聞いた事ないな。
王とも仲が良さそうだし、以外と謎が多い。
「貴方、こんな事なら教えてくれても良かったのにぃ。」
「ははは。ごめんごめん。驚かそうと思ってね。」
どうやら母さんはこの事を知らされていなかった様だ。
「で、今日は何用だ?ん?」
ダルブは父さんの背中に視線が向く。
「なんだ?もう1人いんのか?」どれどれ?とダルブは抱っこ紐に入るプータンを見るなりギョッとした表情を見せる。
「お、え?」
「あぁ、この子はハルの召喚獣のプータンだよ。」
「お!あ、そ、そうかそうか!そうだよな!宜しくなプータン」
「宜しくど」
「喋れんのか!」
更に驚きお決まりの会話後、額の汗を拭いホッとした様子を見せるダルブ。
いったい何を想像したのやら‥w
「で、ここの領主がここに来たとなっちゃ何かあんだろ?いっとくが俺は悪い事はしてないぞ。」
「ははは。そんなんじゃないよ。昔の知人がついにこの地で店を出したと聞いてね。それの貢献さ。それに今回は内の息子2人の剣を見繕ってほしいとも思ったからね。」
その言葉にランスが反応する。
「え?僕もいいの?」
「当たり前さ。ここの剣はそんじょそこらの剣とは違うよ。きっとランスにも良い剣が見つかると思うよ。」
父さんが爽やかな笑顔をランスに向けた。
「ありがとう!」
「よし、じゃぁ早速見てやるか。えーと‥。」
「ハルです。」
「ランスです。」
「よし!じゃぁランス。お前から見てやろう。手を貸してみな。」
その言葉にランスが首をかしげると父さんが説明する。
「ダルブはね、その人の手の形に合わせて取っ手を作る数少ない職人なんだ。ちなみにこのレイピアもね。」
父さんは自分の腰についたレイピアを抜き取り俺達に見せた。
何度か見た事はあり、見た目はシンプルではあるけれど、よく見れば淡く光が放たれている。
「光ってる。」
「よく気がつきました。この光はね、芯の部分に魔鉱石を使ってるんだよ。ねぇダルブ。」
「おうよ!俺の作る武器には全部入ってるぜ!そうする事で金属がさらに強固になって、更に加えると魔法が剣に伝わり易いようになってんだ。」
ほう、魔法を剣に伝わらすとな。それは興味深い。
おそらく魔法剣術というやつだな。
実際に見た事がないが、剣に火や雷といった魔法を乗せて戦う技術だ。
今度カルラに教えてもらおう。
おっとランスの査定が終わったようだ。
「ふぅむ。やはりネイブルの息子だけあってかなり大したもんだ。こいつぁなかなかの才能だぞ。ひょっとしたらお前を超える逸材なんじゃねぇか?。」
ダルブはランスをえらく気にいったようで満足気な顔をしている。
「それは嬉しいことだね。」
父さんがそう言うとランスも嬉しそうな表情をしていた。
「よし、じゃぁ次はハルだったかな?見せてみろ。」
いったいどんな短剣ができるのだろうか?俺はワクワクしながら手のひらをダルブに見せた。
するとダルブの反応が止まる。
その様子に父さんや母さん、ランスも訝しむ表情を作る。
「な、何か問題でも?」
恐る恐るそう尋ねると、ダルブは俺を見る。
「悪い事は言わねえ。お前から武器の才能は感じられねぇ。」
その言葉に皆の時が一瞬止まる。
なんですとぉ!!!!!!!??




