自重しろどぉ!
ガルバドスが掲げた封魔石から黒い大蛇が召喚される。
一体何メートルあるんだ?
デカイ!頭は軽く人を丸呑みできるくらいにデカイ。
「ギャオォォォォス!!!!!!!」
凄まじい咆哮が響き、今何がおきたのか分からず放心状態の人の意識を一気に覚醒させ会議室は大パニックになる。
怯える者や、剣を抜く者など様々だ。
そして隣を見るとプリスとランスも青い表情をしていた。
「がはははは!!!!これで皆死ぬ!!!死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇ!!!いくのだデビルススネークゥ!!!!」
ガルバドスが高揚に駆られデビルススネークを見上げているといきなりデビルススネークはガルバドスの方に目を向ける。
ガルバドスは訝しげに首を傾げたその瞬間。
バク!!!
な!?
「ギャァァァァ!!!!」
ガルバドスの悲鳴が会議室に響き渡る。
一瞬の出来事だ。デビルススネークはガルバドスに被りついたのだ。
ガルバドスは手足をジタバタさせると、デビルススネークはガルバドスを加えたままガルバドスをテーブルに叩きつけた。
ドガァァァァン!!
衝撃でテーブルは破片を飛び散らせへし折れる。
それを目の前にしていた、戦えない貴族の1人は腰が抜け四股を濡らした。
俺はガルバドスに再度目を向けると、ガルバドスの顔はその一撃だけでへしゃげていた。だがまだ息はある様で、最後の言葉を漏らす。
「だ、‥誰かたすけ‥て。」
バクッ!!ゴックン。
デビルススネークの喉に凹凸となってガルバドスは流れていった。
それを見た場は更なる大混乱と化した。
「うぁぁぁあ!!だ、誰か!!誰か助けてくれぇ!!」
「兵士!!兵士を呼べぇ!!なんとしても此奴をここら出すなぁ!」
「ネイブル卿!!ネイブル卿!直ぐに兵士を!!ここには私の妻や子供もいます!!」
他種類の言葉が飛び交う中、部屋から我先にと逃げ出そうとする者もいた。だがデビルススネークはそれを許さず、尻尾で逃げ惑う人をなぎ飛ばす。
ドガァァァァン!!!
人が人形の様に飛ばされ壁に衝突する。
それを見た父さんが動く。
「くっ!僕が気をひきつける、ターニア卿。皆の誘導を!!」
「か、畏まりました!!」
ヤバイな。これじゃ父さんがもし勝てたとしても更に被害がでそうだ。
隣にいたランスが俺に言う。
「ハル、僕達もここから出よう。」
「そうですわ。ここにいては見えてなくても危険だと思います。」
確かにな。だけど俺は同じ過ちはしない。
「そうだな。じゃぁ2人だけ外に送るよ。」
「え?どう言う‥」
有無を言わさず、テレポートをプリスとランスにかけて、外へと転送させ、この場から退場してもらった。
すると、プータンも俺の隣にあたかも自分も転送してくれと言わんばかりに目を瞑っていたので頭をたたいてやった。
ペシコン!!
『いで!!な、何するど!!?』
「馬鹿野郎。こう言う時こそお前の出番だよ。ほらお得意のやつ宜しく。」
『むぅ。仕方ないど。【スリープ】』
その詠唱で次々その場にいた人達が眠り崩れ落ちていく。
だがビックリする事にデビルススネークには効果が薄かった様で眠るまでに達しなかった。
「うそん!!?寝てないじゃん!!」
『ちっ。デビルススネークは闇属性だからだど。同じ性質の魔法は聞きにくいど。』
「何故それを早く言わん!?」
そうこうしているうちにデビルススネークは意識が覚醒させ、寝落ちした皆を見るなり長い舌をシュルルと動かし涎を垂らす。
ちっ!このままじゃ意味ねぇな。ここでおっぱじめてもいいけど‥。
破壊され荒れた会議室を見回す。
「これ以上散らかしゃれても嫌だち、此奴ごとどっかに飛ばちてやろう。プータン!」
『な、なんだど!?』
俺はプータンを抱き抱え、デビルススネークと俺にテレポートを念じた。
シュン!!!と一瞬で、シャルべ領の外側へ移動。
移動した先は先日に王都へ行くまでに通った、大草原の上だ。
デビルススネークは急に場所が変わった事に困惑している様だ。
そして辺りを見回した所で俺とプータンの存在に気付く。
どうやら#トランスペアレン__透明化__#の魔法は切れてしまっているよう
『どうするど?言っておくが夢を食べていたならまだしも、今の俺様では硬質化も本来の力の半分しか出来ないし、何もできないからな。』
「自分で無能アピールか?」
「なんだど!?オデは無能じゃねーど!」
「はいはい。どうせスリープしか使えないもんな。」
今はプータンに構っている暇はないので軽く流す。
背後で「じやぁ!なんでオデも連れてきた!?帰せ!ここから帰らせろ!」などワーワー叫んでプンスカ怒っているが無視だ。
生身で戦っても俺の力じゃダメージすら与えれないだろうなぁ。
武器も農業用フォークしか無いしな。
これじゃ一撃で仕留めるには無理がありそうなので却下。
なのでやっぱり魔法でいくしかない。
王に借りた本はなかなか高等な魔法が記されていたので、ここぞとばかりに使ってみるか。
幸いここには俺とプータンしかいないしね。
『ギシャァァァ!!!』
そんな事を考えている間に、デビルススネークが襲いかかってきていた。
「ぬぅおぉ!!きたどぉ!!」
慌てるプータン引き連れテレポートでデビルススネークの背後に転移する。
ガブゥ!!と空を切る牙にデビルススネークは困惑する。
俺は至って冷静だ。その様子にプータンが驚く様に言う。
『初めての戦闘とは大違いど。人間はこんなに一瞬で変われるもんなのかど?。』
「ん~。わきゃらん。それは多分だが人による。俺の場合はやっぱり、#天才__てんちゃい__#ってやちゅだゃからだ。」
内心あの時はマジでビビったし、今だってビビってないといえば嘘だ。だけど今は強きでそう返しておく。
それに負ける気がしないのは本当だ。
『す、凄い自信だど‥。けどそれを成せてしまっているハルにこの頃は少し悔しさも感じるど。』
「かかか!お前もようやく俺が分かってきたようだね。」
パシパシとプータンの背を叩く。
「しょうだよ!根拠の無い自信こしょが世を制すのだゃよ!かかか!」
『すぐに調子に乗る所はダメだと思うがど』
プスっ!『ぬぅお!!』
フォークで軽く刺してやった。
「さかりの付いたゲス豚が何か今言ったかい?」
笑顔でプータンにそう言うとプータンは目を逸らし額に汗を垂らす。
『な、‥何もないど。』
おっと、話している間にまたデビルススネークがこっちを見ている。
『シャァ!!ジャシャァ!!!!』
おーおー。やたらと威嚇しちゃってまぁ。と思っていると、今度はプータンがデビルススネークを見て舌打ちする。
俺は首を傾げプータンに尋ねる。
「どうしたんだ?」
『彼奴、オデの事を飼い豚とほざいたど。この幻獣の末裔であるオデ様によくも‥』
プータンは眉間に皺をよせる。
「え?彼奴の言葉分かるの?」
『勿論ど!オデは幻獣ど!因みにハルの事は「ウンコ野郎が!ビビって手も出せないのだろ?早く俺の胃袋に入れ腐れチビがぁ!!」と言っている。』
「ほう。」
俺をウンコ野郎とな?腐れチビとな?
俺は再びデビルススネークに視線を向け、息を大きく吸い込み、そして大声を張り上げる。
「いいかよく聞け!!!腐れ蛇野郎!!!お前の言うウンコ野郎ってのをお前は今から食おうとしとるんだぞ!!わかってるのか!?それはお前がウンコ食べてるのと一緒って事なんだ!お前がさっき食べたのだってウンコめちゃくちゃする人間なんだからな!!!あと俺は腐れチビじゃねぇ!!このウンコミミズ!バーカ!ベロベロベロベー」
俺の発言にプータンは青ざめ引いた表情をする。
『なんて‥なんて幼稚な返しど』
「うっちゃい!言われたら言い返しゅんだよ俺は!」
『ギシャァァァ!!!!!』
尻尾が飛んできたがプータンを抱えたままレビテーションでヒョイっとかわす。
『怒らせた様だど。で、どうするんだど?』
プータンがそう尋ねてきたので、俺は自然と口角が上がっていく。
『な、なんだどその笑みは?』
プータンは引き気味に俺に聞く。
「まぁ、見てな。」
俺はデビルススネークに手の平を向ける。
【#彗星__コメット__#】
‥ ‥。
「アレ?何も起こらん。」
「ん?何かしたどか?」
困惑している隙を狙ってデビルススネークの牙がまた目の前まで迫り来ていた。
だがしかし大丈夫。
再びテレポートで背後に移動し、それを躱した。
しかし、デビルススネークも阿保では無かったらしく、背後に回ったであろう俺にがむしゃらに尻尾を振り回してきたので今度はレビテーションで上空へ移動。
「かかか!。上空に逃げれば手の出しようがあるまい!!」
デビルススネークが俺を見上げる。
「ってか何で出にゃかったんだ?今まで出来なかった魔法にゃんて無ゃかったのに‥」
腕組みをし、相手が襲って来ないと鷹を括り余裕ぶって考えると、プータンが尋ねる。
『何をしたんだど?』
そうか。念じたからプータンには何をしたか分からなかったのか。
「あぁ。コメットの魔法を使ったつもりだったんだけどな。」
それを聞くなりプータンは口を開け驚愕する。
『こ、こここコメット!!?それは古代魔法ど!?ハルはそんなのが使えるどか!?』
「いや、使った事ないけど、いけるかなぁ?的な感じでいつも通り念じたゃけど発動ちなかったみたゃい。あっ、これは無詠唱じゃダゃメって事なのかな?なら言葉でやってみるか」
俺は軽いノリでそう言うと『ま、待てハル!!』とプータンは焦りを見せたが俺はお構い無しに上空からデビルススネークに手を向ける。
「【#彗星__コメット__#】」
すると後方からグオオォオォオ!!!!と地鳴りする様な音が聞こえ始め、プータンと俺はそちらへ目線を向けると、空から何かが飛んでくる。
なんだアレ?
俺は訝しむがプータンは青ざめていた。
そして俺の顔も徐々に青ざめ、次の瞬間。
馬鹿みたいに巨大な隕石が彗星の如く俺達の真横を過ぎ去りデビルススネークに落ちた。
!!!!!!ドッ、ゴァァァァァアン!!!!!!!!
凄い爆音と爆風で俺とプータンは同時に弾き飛ばされる。
「うぉぁぁぁ!!!
『ぬぅおあぁあ!!!
な、なんじゃこりゃぁぁ!!えらいこっちゃぞ!!と、兎に角このまま飛ばされたままじゃまずい!!!離れないと!!
俺は直ぐにプータンを連れてレビテーションフル魔力を使い、その場から飛んで離れる。
フルで使ったレビテーションの速さは驚く程早く、あっという間にかなり離れる事が出来た。
だがそれでも熱気はここまで飛んできている。
そして後ろを振り返ると、先程落ちた隕石の場所には大きなキノコ雲が立ち上がっていた。
「し、死ぬかと思った。」
俺の発言にプータンがかぶせる。
『こっちが言いたいど!!!なにもあんな魔物にあんな高等魔法を使わなくたって良かったど!!』
「だ、だって、使った事なかったから容量がわかんなかったんだよ!!」
「ただの言い訳ど!!ちょっとは自重しろど!!」
う、豚のくせに、今は言い返す言葉が無い。
口を噤んでいると、また空からグオオォオォオ!!!と地鳴りの響きが聴こえてきた。
「えっと、‥まさかだよね?」
俺とプータンはまた恐る恐る空を見上げる。
「そ、‥そのまさかど。2発目が来るどよぉ!!」
「逃げろぉ!!!」
!!!!!!!!!ドガァァァァアン!!!!!!!!!!!!!!




