第一章 異世界へようこそ
昨日書いてみて、書くのや考えるのが面白かったので、自己満ですが、続きを書いてみました。
…なんだここ?
クレアに促され、部屋の外へ出たハルの目の前には、大木が見える。
そこそこ距離はあるはずなのに、天辺が見えない。
「あれはこの世界の中心、世界樹よ」
「ほんまにでかいなぁ!何ぼほどの高さなん?」
「さぁ?頂上まで登った人は一人もいないらしいから、わからないわ」
昔一度見た富士山よりも高い樹に、驚きを隠せないハル。
「名前は正式に決まってない。けどみんな世界樹や新樹。もしくは世界の中心なんて呼ぶわ」
話半分に聞きながら、見たことも聞いたこともない大樹に、異世界であることを実感する。
「異世界っぽいって、何となしに実感するけど、てか、何で俺を呼び出したの?」
「呼び出す条件として、都合がよかったから」
…都合?
「あなたはご両親が亡くなって、親戚や兄妹もいない、ほぼ天涯孤独」
「たまたま出会った親方さん?のお陰で、3年の修行でも料理の腕はベテランクラス」
「何よりそっちの世界でトップの人を拉致って、世界に混乱を与えるわけにもいかないし」
「消去法的にあなたが最善だったわけ」
「………消去法ですか?てか拉致ってって、俺は攫われたの?」
と、地面に突っ伏すハルのHPはたぶん半分を切ったであろう。
さて、そんなハルをスルーしつつ、クレアは本を開き、指で文字をなぞる。
その指をハルに向け、何かよくわからない言葉を唱えると、指先が眩しく光、ハルの頭に情報が流れる。
「今魔法で、この世界の大まかな常識を擦り込んだわ」
「これでこの世界の文字も使えるし、日常生活は大丈夫でしょう」
魔法の衝撃で白目を向き、気絶したハルの耳にはその声は届いていない。
「…出力上げ過ぎたかしら?まぁ心臓は動いてるみたいだし、そのうち起きるでしょ」
ハルは親が亡くなった時を思い出していた。
突然家の電話が鳴り、両親が交通事故にあったことを伝えられる。
慌てて病院に行くも、両親の顔には白い布が欠けてあるだけ。
静かに眠る親の隣で大声で泣き出す。
(あぁ…またこの夢か…)
ハルは何度も見た夢。いつもここで目覚める。
ハルはゆっくり目を開け、涙の痕を触る。
体をお越し周りを見ると、お城風の部屋。
やっぱ夢やないんかー…
異世界召喚されたことを、現実として受け入れ始める。
とりま料理人の俺が、何でここに必要やったんかとか、色々聞いてみなわからん。
とりまクレアに色々詳しく吐いてもらおうか。
と、クレアを探しに下の部屋へ向かうハルであった。
次回
ハルはクレアに問いただす。
何で料理人の俺が勇者に?
よろしくお願いします。