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野人転生  作者: 野人
欲望の都市

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重大な問題

コミック十一巻、本日発売です!

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よろしくお願いいたします。

 俺の悩みは杞憂に終わった。


 剣聖の弟子という言葉の響き。この世界では珍しい善人。


 こういった要素から、変に警戒してしまったが……。


 別に、武器を入手しようと思えばやりようはいくらでもあるもんな。


 経歴がクリーンな、似たような体格の人間に武器を依頼させる。


 すでに販売された武器を譲り受ける。


 直接、ベンに装備を依頼しなくても入手は可能なのだ。


 下手にゴネて、裏ギルドに恨まれてもまずい。


 ベンのように、割り切ってしまった方が賢い。


 このクソッタレな世界では、清濁併せ呑む生き方じゃないと生き残れないのだ。



 あの後、ダマスカス模様のナイフについて話し合ったり、エマさんに依頼した防具の調整をしたり。


 いつも通り、楽しく交流できた。


 心の重荷がひとつ取れた。心が軽いぜ。


 今日は気分がいいので、少し奮発しよう。


 俺はいつもの串焼き屋にいくと、半額ではない焼き立ての串を買っていく。


 俺もそれなりに顔が売れてきた。こういう地味なところも気をつけないといけない。


 ケチなんて噂が流れちまうと、人が寄ってこなくなるからな……。




 あれから数日後。


  俺は事務所のソファーに座り頭を悩ませていた。


 組織の仕事としては順調。


 特に大きなトラブルもなく、薬草の納品もつつがなくこなしている。


 名前も聞いたことがない準構成員の奴がひとり死んだらしいが、この町ではよくあることだ。


 酔っ払って喧嘩したり、冒険者と揉めたり。ロートとも大きな抗争にはなっていないが、小競り合いでしょっちゅう死人がでている。


 この町では、今日もどこかで当たり前のように人が死ぬ。


 冷たいかもしれないが、正式な構成員じゃない奴の死に胸を痛めていたらきりがない。


 こうして人は『死』に対して鈍感になっていくのかだろう……。



 業種はともかく、仕事は順調でプライベートのもそれなりにいい感じだ。


 ゲロ吐くほど異性にモテないのは相変わらずだが、侮蔑の目線や露骨な陰口はへった。


 いちいち気にしてられないので無視していたが、ストレスがたまらない訳じゃない。


 そういった嫌な気持ちになる出来事が減ったからなのか、思考もポジティブになってくる。


 パピーは相変わらず可愛くてもふもふで可愛いし、新装備もいい感じになりそうだ。


 まさに順風満帆。この世の春到来! そんな感じなのだが……。


 俺は今、重大な問題を抱えている。


 俺の抱える重大な問題……それは…………。


 金がねぇ! びっくりするぐらい金がねぇ!!


 組織から支給される金貨十枚。最初はすげぇ大金だと思ったよ。


 だけど、出ていく金もすごいんだよなぁ……。




 武士は食わねど高楊枝なんて言葉もある。本来は清貧をとうとぶ言葉だが、痩せ我慢を表す言葉としても使われることがある。


 俺の場合は後者だ。


 大した金もねぇのに、派手に金を撒いて下の人間に奢りまくる。


 こんな出費、大した事ないってツラをして。そして、裏では倹約に勤しむのだ。


 当たり前の話だが、見栄を張るにも金がかかる。


 好かれる上の人間、特に裏ギルドみたいな組織なんてのはシンプルだ。


 やべぇと噂の米国の刑務所なんかでもそれは同じ。


 喧嘩が強いヤツ、ケチじゃないヤツ、チ◯コがデカいヤツ。この中のいくつか、もしくはすべてを兼ね備えたヤツが集団を仕切るのだ。


 俺は悲しいことにみっつ目は絶望なので、前のふたつを頑張るしかない。


 だけど、喧嘩をする機会がほぼないのだ。


 というか、地域のトップが直接戦う機会なんぞ無い方がいい。


 そういったリスクを冒さないよう立ち回るのが上の仕事である。


 もちろん、前に出て戦わなきゃいけない場面は必ず出てくる。


 そこでイモ引くようじゃ話にならない。


 でも、そんな場面に滅多にこないのだ。


 というか、事務所のトップである俺が大立ち回りをして『力』を証明する状況ってことは、ロートと大きな抗争に発展したときぐらいじゃなかろうか……。


 そんなビッグトラブル、正直ごめんである。


 そうなると、あとは気前の良さでアピールするしかない。


 舐められてATMにされないよう立ち回りながら、周囲の人間に大盤振る舞いして求心力を高める。


 そうやって派手に金を使っていると、当然ながら財布には冷たい風が吹く。


 せっかく影響力のある裏ギルドに所属しているのだ。その影響力を使って、自分でなにかシノギをやればいい。


 それはわかっているのだが……ツテがねぇ。


 俺はいきなり事務所のトップになった。裏ギルドの構成員としてやっているであろう下積みや、そのときに築いたであろうコネなんてものがまるきりないのだ。


 冒険者の仕事は薬師ギルドとの取引なので辞めることは出来ない。他人に丸投げすると、俺の影響力が薄くなってしまう。


 そのため、この仕事は自分でやるしかない。


 それは仕方がないことだし、事情を知っている人間は気にしない。


 ただ、俺の立場上しょぼい仕事で小銭を稼ぐなんてマネはできないんだよなぁ……。


 これが足かせになっている。


 なるべく既得権益を侵さず前世の知識でうまいこと商売しようと思うと、馬鹿みたいに規模がでかい話か、小銭を稼ぐチマチマとした商売しか思いつかない。


 これは困った。


 金が無いと見栄を張れない。金のためにせこい商売をすれば見栄を張る意味がなくなる。


 まさに袋小路。ドンづまり。


 反社っぽい商売はいくつかあるが、すでに手下の構成員がやっている形だ。それを奪うのはさすがによろしくない。


 かといって、何か新規事業を始めるには手元に金が無い。それに、複雑に絡み合った利権に足を突っ込むのは恐ろしい。


 いったいどうすれば、うごごごご。




 金欠に頭を抱えていたが、悩んでいる時間がもったいない。


 そう思ったので、パピーと森にやってきた。


 ファモル草の納期じゃないが、他の薬草なんかを採取して薬師ギルドに納品するためだ。


 薬草採取なら小銭稼ぎと馬鹿にされても、薬師ギルドとのつながりを強化するためと言い訳ができる。


 悩んで頭を抱えているぐらいなら、森で採取をした方がよっぽど建設的だ。


 俺の残念な脳をいくらフル回転させたところで、出てくるアイディアなどたかがしれる。


 狭い宿の部屋から出られて、パピーも嬉しそうだ。


 さて、金欠の貧乏人らしく今日も労働に勤しむとしますか。

カクヨム様で先行公開中。

こちらも、よろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
仕方がない事だけど金が貯まらないのは良くないなぁ…
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