龍の秘宝なのじゃ
私とキョウカが釣ってきた魚をユキがとってきた香草で一匹一匹丁寧に包み、真琴が集めてきた落ち葉と枝で焚き火を作って焼き始めた。ヒビキは何やらデザートの果実を集めてきたようだった。実は木登りが得意らしい。すごく意外な特技だった。
「あぐあぐあぐあぐ。うむ悪くない。褒めて遣わすのじゃ。あぐあぐあぐあぐ」
「あんた、もうちょい遠慮ってものはないわけ?人様の食事をわけてもらっておいて」
「テメーは相変わらず心がセメーなあ。いいじゃねえか。アタシが釣ってきた魚だ。どんどん食えクソガキ」
「あれだけ美味しそうに食べてるのを見ると、こっちまで嬉しくなっちゃうもんね」
「……ところで、ネブラちゃんだったかな」
「ネブラ様とよぶのじゃ」
食べながら訂正してくるネブラ様。
「……ネブラ様。こんなところでどうしたんだい?いくら君が偉大なドラゴンだったとしても、こんな森の中で一人っきりでいたら危ないよ」
「ふむ。よかろう。腹も膨れたことじゃし、其方の質問に答えてやろう。その、なんじゃったか」
「シアンだよ」
「うむ。シアンよ。お主は龍の宝玉というものを知っておるかの?」
「知らないかな」
「ふむ。まあそれも仕方なかろう。龍の秘宝は我らが一族一匹ずつに与えられる一族の証。ドラゴンの王たる証なのじゃ!」
「そのドラゴンの王の証がどうかしたの?」
「……まあ、その。なんじゃ。実はこの辺りに最近観光に来ての。ほれ、もう少し西に行った先に、エルードという街があるじゃろう。そこにうちの姉様と一緒に特上のモンブランを食べに行っての。わざわざ国外に宣伝しているだけあってこれがまた絶品だったのじゃが……」
話がナゲーよ。もしかしたら街ですれ違っていたかもね。モンブランいいなー。なんて声が後ろから聞こえる。でもちょっと話が脱線してる気がするな。
「あとそうじゃ、たまたま寄ったマカロン屋にとてもめんこい娘っ子がおってのお」
「ネブラ様。街の話は一旦おいておいて、結局龍の秘宝がどうしたの?」
「……ん?ぁあ。うむ。まあ。要はな。失くした」
「……失くしたの?聞く限り結構大事そうなものだけど。大丈夫なの?」
「いや。まあ。結構まずいのじゃ」
「そういえば一緒に着てたお姉さんは……」
「姉様の話はやめるのじゃ!……ちーとばかしこっぴどく叱られての。一人で探して、見つけ出してくるまで帰ってくるなと言われてしもうた」
ここまで会話には入ってこず、横でなんとなく話を聞いているだけの四人だったが、
「その龍の秘宝ってのを探しゃいいんだろ?アタシ達が手伝ってやるよ」
「ちょっ。何勝手に言ってんだテメー」
「まあ話をきちゃった以上、無視していくのもね。私はキョウカちゃんに賛成かな」
「私はなんでもいいぞー」
「ちょっとユキ。ヒビキまで」
「……私もネブラを手伝ってあげたいな。だめかな?マコト」
「ネブラ様じゃぞ」
「シアンさん。……シアンさんがそういうなら。アタシは従うまでです」
「なーにシアンに見つめられて真っ赤になってんだよ。ハズカシーやつだな」
「黙れ」
新たな出会いを得て、さらなる寄り道をすることとなった一行。まあ別に急ぐ用事もないしね。困ってる子を放ってはおけないよ。
のじゃです。当然ヒロインではありますが、まだ顔見せ段階です。バンド編まだ続けるつもりですしね。




