キョウカもかわいいなあ
マコトの方が礼儀正しくて自分を敬ってくれるけど、いきなり距離を詰めようとしてもたぶん壁をつくられる気がする。ならいっそ、ちょっと荒っぽくて怖いとこもあるけど、キョウカと仲良くなる方が簡単なんじゃないだろうか。そう考えて、釣り竿を持って近くの川に向かおうとしていたキョウカに声をかけ、二人で釣りに行くことにした。
「で、何を企んでるの?シアン」
「……企んでいると言うか、キョウカと仲良くなりたいなと思ってね」
「ふーん。純粋な下心?なくもなさそう。誠実そうな顔してるのにね。あっでも二股してたっけ」
「……二股はしてないよ」
もっと不誠実なことを恐ろしい吸血姫に対してしてます。そんな神の声は届かない。
「ああ。そうだったっけ。ごめんごめん」
隙がない女。キョウカ。今まで私が出会った女の子は、みんな素直ないい子だった。キョウカが悪い子と言うわけではないが、すでに社会に出て、自立しているのだ。他人に対する甘えというか、少女らしいゆるさがない。仕方ないので、とりあえずキョウカに作ってもらった木の釣竿で一緒に釣りを始めた。
「おっ?かかったみたいだね」
しばらく待っていると、キョウカの釣り竿がグイッと引っ張られた。
「静かに」
真剣な顔でキッとこちらを睨み、注意するキョウカ。そっとうなずき返した。
「……」
「……」
「……」
「……今だっ!」
そいやっと竿をあげ、華麗に魚を釣り上げるキョウカ。ぱちぱちぱち。拍手を送る。かっこいいなあ。
「どんなもんよ!」
「すごいね。キョウカ。こんなに大きな魚を釣り上げちゃうなんて」
「だろ?あっおい。シアンのも引いてんじゃねーか」
あっほんとだ。慌てて魚の動きに意識を集中させる。
「……今だっ!」
「えっ」
ぷつん。という音を立て、せっかく強化に作ってもらった釣り糸がちぎれてしまった。
「おいおいどう考えても今じゃなかっただろシアン。もっと魚がおとなしくなった時にさっと引き上げんだよ」
「むむ。なかなか難しいね。キョウカの真似をしたつもりだったんだけど。やっぱりキョウカは上手だったんだね」
「……いいよアタシをそんなに持ち上げなくて。照れるじゃんかよ」
頬を赤く染め、顔を逸らすキョウカ。あっかわいい。美人さんだけど可愛いな。キョウカ。
「……よし!今日はアタシがシアンに徹底的に教え込んでやるぜ。釣りのなんたるかをな!」
「お手柔らかに頼むよ」
とても素敵な笑顔で言われてしまったので、こちらも微笑み返した。
釣りって連れて行ってもらったことしかないんすよ。自分で用意とかしたことがないんで、ちゃんとした知識もなく、ハードルが高く感じるんですよね。挑戦の。興味はあるんやけどなあ。




