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3-23 VS愛莉

「裕兄、起きて。遅刻するよ」

「何言ってるんだよ、今日は土曜日だろ」

「何言ってるんだよは裕兄の方だよ。今日は体育祭なんでしょ?」


 あ、そうだった。早く起きなければ。


「すまん、忘れてた」

「いや、忘れてたじゃないでしょ。みかんさん連れ戻すんじゃなかったの?」


 そうだな。それに……


「ほら、早くご飯食べちゃって。私も応援に行く準備しなきゃなんだから」


 はい、早急にいただきます。

 俺は、布団から飛び起きて食卓へ向かった。

 その後は、ササッと朝食を済ませ、身支度を済ませて、乃愛たちと学校に出かける。


「よっ、裕太。それにみんなもおはよう」

「おう、宇佐美か、それと……」


 俺たちが学校に到着すると門の前で宇佐美は待ち構えていた。宇佐美の後ろにはみかんも一緒である。


「約束通り来たよ。そんじゃ、またね」

「じゃ、そういうわけだから俺たちは先行くわ」


 そう言うと、すぐに人混みの中に姿を消してしまった。


「ねぇ、前から気になってたんだけど」

「どうした?乃愛」

「この1ヶ月で私に似てる人と3人出会ったのだけれど……私このまま死んじゃいます?」


 あ、そっか、なんだかんだでみかんと乃愛は初対面だったな。


「大丈夫だ、もしそうなら杏香さんか神子さんの身に既になにか起きてるから」

「そ、それもそう……かしら?」


 開会式の後、競技が開始された。


「わ、凄い神子ちゃん1等賞だよ」

「そこはさすが姉妹ってとこだな」


 神子さんはパン食い競走に出場しておりみんながパンを取るのに苦戦しているなか、1人だけヒョイっとパンをかっさらってゴール。

 彼女は俺たちとは違うチームだが、敵ながら天晴れといった感じである。


 ちなみに借り物競争は午後の競技なので、俺は乃愛と午前中に二人三脚をするだけである。


「それじゃ、俺はそろそろ行くわ」

「うん、頑張ってね」


 現在は俺たちのチーム青組が最下位、神子さんのいる黄色組が2位、愛莉やすみれたちの赤組がトップという状況。

 負けている俺たちとしてはここは勝ちたいところである。


「裕太、意外だね。ボクは借り物競争に出ると思ってたけど」

「乃愛が余ったから掛け持ちでこっちにも出てるんだよ」


 俺たちが集合場所へ行くと愛莉が既に相方の人と紐を結んで待機していた。そして、乃愛も先に来て待っていたようだ。

 愛莉とは、同じレースで争うことになっている。

 正直この運動神経の塊に勝てる気がしないんですけど。


「乃愛、悪いけどこれ勝てそうにないわ」

「え、どして?」

「お前は知らんかもしれんが、愛莉はこの学校じゃ運動神経いいって有名なんだよ。恐らく相方の人も相当できる人だ」

「まぁ、大丈夫でしょ、私たちの相性なら」

「いや、無茶言わないでくれよ」

「裕太って50mの最近の記録っていくつ?」

「……8.2秒だけど」


 遅くて悪かったな。


「あ、思ってたより速い。それなら問題ないわよ」


 もっと遅いと思ってたのかよ。失礼な。

 小学生の時は速かったんだけどな……

 それから全くタイムが更新できないんだよ。


「ま、やるだけやってみるよ」

「裕太は私に構わず全力で走りなさい」

「はいはい」


 もう、黙って言うこと聞いとこ。


 その後、入場を終えた俺たちは順番が回ってくるまで待機。


「それでは、次のペア準備してください」


 係の人に従って俺らは立ち上がる。


「負けないよ。裕太」

「……」


 俺は無言で返す。だって、ここで俺だって!とか言っても勝てなさそうだもん。


「位置についてーー……よーい……」


 バンッ!!

 ピストルの音と同時に俺は乃愛指示通り全力で走り出す。

 って言っても2歩目でつまづくだけだろこれ。


 ……あれ?普通に走れる。

 足元を見ると乃愛は俺に合わせて足を前後させているようだった。


「裕太、しっかり前を向きなさい」


 あ、そうだった。今はレースに集中しないと。


 俺たちはそのままトップでゴール。2着の愛莉たちとは2、3秒の差を離してのゴールだった。会場は1位候補の愛莉が負けたことによって大騒ぎである。


「いや、負けたよ。凄い息ぴったりだったね」

「俺は何も。全部こいつが合わせてくれたんだよ」

「へぇー、シンクロってやつ?」

「へへ、ありがと。でも、いくら私でも裕太とシンクロするのはさすがに無理かな」

「え、じゃあどうやって?」

「事前に裕太の50mのタイム聞いてそれに合わせて走っただけよ」


 それってつまり、50m8.2秒のペースで走ったってことか?

 そっちの方が凄いだろ……


「2人ともおつかれ。凄かったよ。はい、これ」


 と、夏音は俺たちに水筒を持ってきてくれた。


「ありがとう夏音。さて、そろそろお昼だけど涼葉はどこに居るのかしら?」

「あ、それなら校舎側で場所確保してたよ。私たちも行こっか」

「そうだな。愛莉も良かったら来るか?」

「いや、ボクは遠慮しとくよ。すみれと約束してるからね」

「なんならすみれも一緒でいいけど」

「ありがとう、でもみんなでいると杏香さんに捕まっちゃいそうだからってすみれが」


 ほんとにあのファミリーとは相性悪いみたいだなあいつ……


「まぁ、そういうことならしょうがないな」


 ちなみに、競技が始まってから宇佐美とみかんの姿は見ていない。あいつらどこに行ったんだ?

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