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3-17 遂に始まったんだよ。俺のラブコメが

「あ、その……それでね」


 3人だけとなった教室で夏音がモジモジし始めた。なんだ?トイレか?


「どうした?」

「そ、その……改めて、コホンコホン」


 わざとらしく咳き込む夏音。後でのど飴でもあげた方がいいのかな?


「私は裕太くんのことが好き。裕太くんが覚えてかは分からないけど、公園で初めて出会ったあの日からずっと好きだった」


 ですよねぇ……あえて、その話題には触れないようにしてたんだけどなぁ。


「裕太くんの家庭の事情は分かってる。だから今すぐ答えを出してとは言わない。でも、これからも、いや、これまでよりも私のことを見てて欲しい」

「あらあら裕太さんこれは断れませんねぇ」


 コラコラうるさいぞ宇佐美。

 だが、言ってることはその通りだなぁ……


「そうだな、俺も許嫁の件、さっさと片付けないとな」

「でも、意外だなぁ。愛莉ちゃんにしては随分丁寧な言葉づかいの手紙だったけど」


 ん?なぜ手紙の内容を夏音が?

 まさか、昨日、俺の部屋で寝た時に漁られたか?


「夏音……いつ、手紙を読んだんだ?」

「涼葉ちゃんに見せてもらったんだけど?」


 あー、そういや収まりきらないからって涼葉の部屋にも一部収納してあったな……

 あいつ、勝手に他人の手紙見せやがって……いやいや、問題はそこじゃないだろ。


「もしかして、俺たちの話聞く前から知ってたのか?」

「うん。そうだけど」

「ちなみになんで?」


 涼葉ちゃんに聞いたからとかだったら、いくら妹とはいえタダじゃ済まさんぞ。いつもの3倍の癒しを請求してやる。


「なんでって、いくら私でもあれだけコソコソ話してたら気づくよ。姫香ちゃんの家に行こうってなった辺りからうすうすとね。一応、隠してたみたいだから触れないようにしてたんだけど、そのお手紙がどうしても気になっちゃって涼葉ちゃんに頼んで見せてもらったんだ」


 あー、つまり俺たちの隠し方が甘かったのね。


「なんか、ごめんね」

「いや、いいよ。俺もお互い様だし」

「お互い様って?」

「簡潔に言うとだな……入学式の日、俺も跳び箱の中に隠れてたんだよね」

「えっ、そうなの?」

「ごめん!!本当は夏音の気持ちには気づいてたんだけど、それを弄ぶような形になって……」

「……フフ……」


 ん?どした?


「アハハハハハハハハハハッッ」


 夏音はこれまでにないくらいに大笑いした。また、ネジが緩んだのだろうか……


「そうだったんだね。でも、これでスッキリした」

「それは何よりで」


 俺の事を束縛していた許嫁の圧も夏音の笑顔で少し振り払われたような気がした。


「あのぉー……いい感じのところ申し訳ないんだけど、そろそろ帰らないと時間ヤバいぞ?」


 宇佐美の忠告を受けて時計を見ると時刻は9時前。確かに、この時間に学校に居るのはマズいな。


「それじゃ帰ろうか」

「うん」


 学校からの帰り道、宇佐美とは2つ前の駅で別れて今は夏音と2人で電車に揺られている。


「そういえば、なんで学校に来てたんだ?」

「あの後、乃愛ちゃんに一緒に寝るのは心がもたないから勘弁してってお願いしたら、裕太くんを迎えに行く案で妥協されました」


 そのわりには、がっしりしがみつかれてたんだけど、俺。

 すると、俺の肩に夏音の体重がかかってきた。どうやら、寝てしまったらしい。えーと、まだ降りる駅までは少し時間あるな。


(このまま、寝かせてやるか)


 肩に眠り姫を乗せたまま、俺はしばらく電車に揺られるのだった。

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