1.嫌われ魔法
我が一族は、代々優秀な魔術師を輩出している。
固有魔法の使い手も多く、ご先祖様には、人をカエルにする魔法の使い手までいたそうだ。
かくいう私も固有魔法を持っている。
しかも、三つも。えっへん!
一族始まって以来の天才だと、おだてられている。
まず一つ目、『おできができる魔法』
笑わないでほしい。
最初は私もがっくり来たけれど、一生懸命使い方を研究したのだ。
剣を使う盗賊にかけると効果てきめん。
瞬時に大量のおできを手のひらに発生させるのだ。
痛くてとても剣を握っていられない。
今では、盗賊団の討伐には必ず同行している。
領地の騎士団長からもすごく感謝されているんだから。
二つ目は、『おなかが急に痛くなって、こわしてしまう魔法』
これも泣きたくなるような魔法だったけど、いろいろ試行錯誤した結果、
騎士団の人たちから重宝されている。
この魔法をかけられた人は、ちょっと人としての尊厳を失うというか......。
気の毒なことになる。
さすがに犯罪者でも気の毒だったので、派生魔法として上から戻す魔法も考えてみた。
そっちの方が、恥ずかしさも少ないみたい。
どちらの魔法も相手を戦闘不能に陥らせる。
逃走する犯人を追跡するときにも便利みたい。
近くのトイレで待ち構えていれば、大抵飛び込んでくるから。
派生魔法も併せて、騎士団内では略して『げりげろ魔法』と呼ばれている。
あんまり聞こえは良くないけど、対人効果は抜群だ。
「掃除する騎士団の身にもなってください。」
と苦情が来たので、水魔法まで練習して、自分できれいに片づけている。
三番目は、割とまとも。
『隠している秘密をしゃべってしまう魔法』
これは、尋問の時とかに使われる。
口を割らない犯罪者がいると、騎士団からお呼びがかかる。
私の出番だ。
昔、兄とけんかした勢いでこの魔法をかけたら、おねしょのことがばれて叱られていた。
兄にはちょっと恨まれているかも。
それ以来、犯罪者以外にはかけていない。
そうやって犯罪者の逮捕、尋問に協力していたので、
「すごい!天才だ!」
「一族始まって以来の大魔術師だ」
なんて領地では、褒められ、おだてられていた。
だから王都の学園に入学するまで気付かなかった。
私の固有魔法は――普通の人から嫌われる魔法なのだと。




