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人生ってのはクソだとほとほと思う。
結局は運なんだよ、人生なんて。
親が金持ち、才能がある、その才能を育む環境がある、結局は外的要因のはてに成功がある。
これが世の必定なんだ。
クソみたいに汗をかきながら、向いてもいない外仕事を、最低賃金並みの給料で働く。
バカみたいだ。
「おい! 早く運べよ! 使えねぇな!」
社会のあり方から逸れるようなパワハラが横行する現職場ではぐずな俺はすぐに蹴られる。
ただただすみませんって言うしかない現状は、やはりクソだ。
仕事終わりにはもうクタクタなボロ布のような自分が帰路につく。
現職場の唯一いいところは残業が無いことだ。
西陽を感じながら、コンビニ飯が入ったビニール袋を握る。
街中をすれ違う人たちは誰も彼もが幸せそうに見えた。
恋人に、家族に、友人に、誰もが笑顔を作る。
この時間、俺は世界のどこにもいないように感じてしまう。
どこまでも孤独は、人々の中で感じてしまう。
ボロアパートの階段を登る。
すると、俺の部屋の玄関の隣に今日もその少女はいた。
多分隣に住んでる子。あばずれそうな母親をたまに見る。よく男女の喧嘩の声が隣から聞こえてきたりもしていた。
そうしていつも部屋の中ではなく、玄関先で座っているところを見れば色々お察しだった。
いつも少し目があってはすぐに逸らされる。
俺も関わり合いたくないから、いつも何も聞かずに部屋に戻るのだが、その日は少し違った。
大仰な腹の音がしたのだ。それは俺のものではなく隣人から発せられたと気づいたのは、真っ赤な顔をして俯く少女の顔を見た時だった。
「……食うか、これ」
「い、いやそう」
めちゃくちゃ嫌な顔をしたいながらコンビニ袋を差し出すとすかさず少女はそう言う。
「いや、嫌に決まってんじゃん」
俺の薄給で買った飯なんだから。
「じゃ、じゃあいい」
そういって少女はそっぽを向いた。
だっるぅうう。全然素直じゃないガキがこんなにもウザいとは思わなかった。
「はぁー」
俺は雑に鍵を開けてから、何も言わずに中に入っていく。
関わりたくないから、俺はビニール袋を玄関外のドアのぶにかけてから中に入っていった。
ガサガサと音が聞こえたのは、中に入って少し待ってからだった。