第10話 バトルロワイヤル4
「なあ、一つ聞いてもいいか。お前は本当に俺を殺そうとしたのか?」
男は涙を拭き答える。
「んなわけないだろ。初めはお前たちを脅して食料を確保できればいいなと思っただけなんだよ。初めから殺すつもりなんてなかった。だがな、お前が俺の仲間を殺した瞬間に俺はお前を本気で殺そうと思った。」
俺は普通の人生を生きてきた人間の人を殺すことに対する気持ちを知りたくなり少し話を掘り下げていく。
「だが、このゲームはバトルロワイヤルだ。ルールは記載されていなかったが最後のチームになるまで終わらないことくらい分かっていたはずだ。お前らが最後まで生き残れば当然残りの19チームは死ぬことになる。それは殺人と変わらない。それを承知でこのゲームに参加したんじゃないのか?」
「お前みたいに人を何のためらいもなく機械的に殺す奴には分からないだろうけどな、直接人を殺すのと間接的に人を殺すのでは気持ち的に天と地ほどの差があるんだよ。」
なるほどな、おそらく勇人たちもこいつらと同じような気持ちでこのゲームに参加しているのだろう。
「貴重な情報感謝する。」
俺はそう言って男に手を差し出して無理やり立たせた。
「なんだ。殺すんじゃないのか」
「ああ、後で殺す。だが、お前のその回復の能力は使い道があるし俺の能力の練習に付き合ってもらう」
「はあ、お前は俺の友達を殺した。それに俺はどのみち死ぬんだろ、お前に協力するメリットがない」
ここで拷問して無理やり従わせてもいいが、時間の関係上こいつに一つ提案することにする。
「分かった、それならこいつらを埋葬する時間をお前にやる。お前が断ったらこの辺にいる動物に大事な仲間の死体を食われることになる。」
「クッソ。分かったよ」
男はそのあと何も言わず地面を掘り友人の死体を一つずつ埋めた。
その後30分ほどで3人の死体を埋め終わった。
「終わったか」
「ああ、それで俺は何をすればいんだ?」
「お前は何もしなくてもいい。とりあえずそこに立っていてくれ」
俺は男を使って色々と空間を操る能力について実験した。
一時間ほど実験したが成果は主に2つあった。
一つ目はこの能力の範囲はあまり大きくないこと。
人一人分の空間の座標を移動させることは出来たがそれ以上は出来なかった。
2つ目は人体の中には効果が無い事。
近くに落ちていた少し大きめの石を能力を駆使して男の体内に入れようとしたが発動しなかった。
これが出来たら俺の能力は本当に最強になってしまう。
まあ、出来なくてもかなり強い部類の能力だと思うが。
他にも実験の成果はあったがこの2つが特に重要だろう。
「実験は終了だ。」
「そうか。じゃあ早く殺せ」
男はまっすぐ俺を見つめながら言った。
どうやら死ぬ覚悟が出来ているらしい。
「いや、お前の役目はここからが本番だ」
「どういう事だ、実験は終わったんじゃないのか」
「実験は終わった。だが、お前はまだ能力を使っていない」
「確かにお前は俺の能力に使い道があるといったが、いつ使うんだ?」
「まあ、後で分かる。とりあえず着いてこい」
そういって俺は男を連れて拠点に向かう。
「なあ、お前の回復能力はどの程度まで回復できる?」
俺はこの後起こるであろう事象のために一応聞いておく。
「死んでなかったらどんなケガだって治ると思う。」
「それは便利だな、ちなみに触れてないと使えないのか?」
「いや、触れなくても使えるが極端に回復力が無くなる」
なるほど、味方に欲しいと思えるほどの能力だな。
だが、バトルロワイヤルの性質上いずれはこの男を殺さなければならない。
「あと、このゲームの役に立ちそうな情報は持ってないか?」
男は顎に手を当てて考えている。
「お前も気づいているかもしれないが、端末を開くと残りの生き残りチームと人数が表示される」
そういって男は自分の端末を開いて見せた。
「!!」
「どうかしたか?」
男は驚いたのかその場に立ち止まった。
「これを見てくれ」
男が俺に見せた端末には残りチーム3、人数9人と書かれてある。
面白ければ評価、ブックマークをお願いします。




