表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/670

カナの告白

学院長室に、重苦しい沈黙が落ちていた。

セレスタンは深く息をつき、エリアスへと厳しい視線を向ける。


「……てんせい? とは……何のことですか?」


その問いに、エリアスはカナへ視線を向けると、頷いた。

カナは一瞬息を呑んだが、やがて、決心したように話し始めた。


「……エリアスさん……お話しても、良いんですね。

信じられないことかもしれませんが……」


その声は、小さく震えていた。


セレスタンとレイナルトがカナに目を向ける。

カナは両手をぎゅっと握りしめ、絞り出すように言った。


「私は……違う国で、違う名前で……そして違う世界で、普通に人間として生きていた者です。

前の世界で何をしていたのかも、家族の記憶も、ちゃんとあります。

……気づいたら、この世界に来ていました。

前の世界での私の名前は、深水加奈(ふかみかな)、と言います。

この世界の言い方で言うと、カナ・フカミです……」


セレスタンとレイナルトが息を呑んだ。

カナは小さく頷くと続けた。


「気づいたら、精霊の森にいたんです……。

そこで、風の精霊、シルヴィアと出会いました。

彼女が導いてくれて、森を出て……村へ行って……そこからのことは……。

お二人もご存じのとおりです」


エリアスは静かに頷いた。


「……そう。だから、森が不穏な今、覚醒したカナが行けば、

もしかしたら元の世界に戻る“可能性”があると言ったんだ」



その瞬間、レイナルトの感情が爆ぜた。


「……元の世界に、戻る……?」


声は低く震えていたが、次の瞬間には机を叩くような勢いで立ち上がった。


「そんな危険なところに行かせられるか!!」


普段の穏やかさが嘘のように、顔を紅潮させて叫ぶ。


「もう会えなくなる可能性があると言うことか!?」


言葉の端に、怒りと恐怖と、抑えきれない焦りが滲む。

レイナルトは一気にエリアスとの距離を詰め、胸ぐらを掴んだ。


「……どうして……どうしてそんな大事なことを黙っていた!!

貴様はそれでも、彼女を守るつもりがあるのか!?」


エリアスは微動だにせず、冷静に見返した。


「黙っていたのは……すまない。

当時は無用な騒ぎを避けるためにと判断したからだ」


その答えに、レイナルトの怒りはさらに燃え上がった。


「……無用な騒ぎ、だと?

そんな重要なことを、なぜ貴様が判断する?

彼女が……もし本当に消えたら、どう責任を取るつもりだった!!」


その激昂は、普段のレイナルトからは想像もできないものだった。


握る手に力がこもり、魔力が荒々しく膨れ上がる。

風が渦を巻き、書類が宙を舞う。


エリアスの青い髪が風に揺れたが、彼の表情は変わらない。


「……可能性がある、というだけだ。確証はない」


「だからといって黙ってていい理由になるか!! ふざけるなっ!!」


レイナルトの声は怒りで震え、室内の空気がびりびりと震動する。

彼の胸に、抑えきれない怒りと、カナを失うかもしれない恐怖が混じり合う。


「そんな、そんな……っ!

彼女を守れるのは……俺だけだ!!」


声が震え、掴んだ手がさらに強くなる。


「カナが……もう二度と俺たちのもとに戻れなくなるかもしれないのに……!!」


普段の彼からは想像もできない取り乱しように、カナは目を見開き、声を震わせた。


「で、殿下……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ