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精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


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変わらぬ友人

食事を終え、精霊科の教室へ向かう廊下を歩くと、すれ違う生徒たちの視線が自然とカナに集まった。


「……あの子が、例の……」


「学院祭の光、見た? 本当にすごかった……」


小さな囁き声が背中に追いかけてくる。

カナは俯きがちに歩き、胸の奥がざわめいた。


(……目立ってる……)


傍らのミリアは、そんなカナを見ると、胸をそらした。


「すごいね、カナ!

学院中の注目の的! 私も鼻が高いよー! えっへん!」


「……ミリアったら」


カナは吹き出す。


(ありがとう、ミリア。おかげで、落ち着いた)

 

深呼吸を、ひとつ。


(……大丈夫。いつも通り……)


そう自分に言い聞かせ、カナは小さく拳を握って、精霊科の扉を開けた。





扉を開けた瞬間、精霊科の教室は一瞬だけ静まり返った。

だがすぐに、いつもと変わらない笑顔と声が飛んでくる。


「カナ! 昨日の祝祷、すっごかったな!」


フェリルが真っ先に駆け寄り、机に手をついて大きな声を上げる。


「学院中が光ってさ、俺、鳥肌立ったもん!」


「……僕も驚いたよ」


セオが席から立ち上がり、少しだけはにかんだ笑みを浮かべる。


「すごく綺麗だったし……精霊たちも、本当に嬉しそうに見えた」


リオナやマリスも立ち上がり、カナを囲むと穏やかに微笑む。


「あんなすごい祝祷が見られるなんて思わなかったわ」


「ええ、あなたが導いた光……素敵だったわよ」


みんなの優しい声に、カナは胸があたたかくなる。


「……みんな、ありがとう……」


涙がにじみそうになるのをこらえ、笑顔で頭を下げた。


昨日からのざわめきや視線も、この教室の中では不思議と遠く感じた。

ここだけは、変わらない居場所――

そう思える温かさに、カナは心からほっと息をついた。





席に着くと、フェリルが机に肘をついて話しかけてきた。


「なぁなぁ、休暇はどうするんだ? 俺は実家に帰るぞ! 

久しぶりに母ちゃんの飯が食えるんだ!」


リオナも微笑んで頷く。


「私もよ。両親が楽しみにしてるって手紙をくれたの」


「……僕は学院に残るかな」


セオが静かに答えると、マリスも小さく手を挙げた。


「わたしも。実家より、学院の方が落ち着くから」



ちょうどそのとき、教室の扉が開き、精霊科の教師たちが入ってきた。

レフルが手に書類の束を抱え、ソフィーナが微笑みながら続く。

最後に、無口なハルドが静かに入室した。


「おはようございます。

はい、席について。成績表を配ります」


「うう……とうとうこの時が……」


フェリルがうなだれるようにして席に戻る。

レフルはそんなフェリルを見て微笑むと顔を戻し、名前を呼ぶ。


「今学期のトップは……セオ・クローヴァ。よく頑張りましたね」


「……ありがとう、ございます」


控えめにお辞儀するセオに、教室から拍手が起こる。


「二位はリオナ・レスティア。これも立派な成績です」


「ありがとうございます」


リオナは少し頬を染めながら受け取った。


ハルドが皆を見渡して告げる。


「他の者も、まだまだ伸びる余地がある。次の学期は、もっと力をつけていこう。

カナは次からが本番だぞ」


「はい」


カナの机に成績表はない。

彼女は頷くと、皆を笑顔で見渡す。


(……私も、みんなに追いつけるように、頑張ろう……)


カナはそっと拳を握り、決意を胸に刻んだ。

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