休暇の話題
サラとミリアの向かいに座ると、二人はすぐにトレーを差し出した。
「ほら、温かいうちに食べて!」
「いっぱい食べなさい」
パンの香ばしい匂いと、スープの湯気に包まれながら、カナは少しずつ胸の高鳴りを落ち着かせていく。
やがて、ミリアがパンをちぎりながら楽しそうに話し出した。
「明後日から休暇でしょ?
私、王都に帰るんだー。久しぶりに家族に会えるの、すっごく楽しみ!」
サラも微笑みながら頷く。
「私も。おみやげ、楽しみにしていて。……カナは?」
「……え?……休暇?」
問いかけられ、カナは手を止める。
サラは紅茶を口に運びながら、じっとカナを見る。
「カナ……もしかして知らない?」
「え?」
「学院は明後日から、一か月の休暇に入るんだ」
「えっ……そ、そうなの?!」
カナは驚いて、思わず声を上げる。
「学院祭の後だからね。帰省する者が多い。
もちろん、残る子もいるけどね」
サラは落ち着いた声で説明した。
ミリアはパンをかじりながら、ふと顔をしかめる。
「……休暇は嬉しいんだけど、その前に……成績表が配られるんだよね……」
途端に肩を落とし、項垂れる。
「成績表……?」
カナが首をかしげると、ミリアがテーブルに突っ伏したまま答える。
「うー。学期末の試験結果ー!
カナはまだ正式な試験を受けてないから、今回は配られないよ」
「そ、そうなんだ……」
ミリアは身体を起こすと大きくため息をつき、サラをじろりと見る。
「サラはいいよね……どうせまた成績トップなんでしょ……」
「……まあ、努力の成果だね」
サラは肩をすくめ、ふっと笑った。
カナは二人のやりとりを聞きながら、胸の奥がきゅっと締めつけられるように疼く。
(……一か月も休みがあるんだ……。
……フェイル村……エダンさん、マリナさん……)
窓の外に広がる青い空を眺めながら、心の中でそっと呟いた。
(……会いたい、帰りたい……)




