表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【17万PV突破!】精霊たちと話せるので、転生先で聖女になりました  作者: 高梨美奈子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/521

翌日の朝

学院祭の翌朝。

カナはゆっくりとまぶたを開けた。


昨日の光に包まれた祝祷、拍手と歓声。

――そして。


ふと、胸に抱いていた花冠が目に入る。

そっと抱きしめると、ふわっとした甘い香りと共に、

あの真剣で優しい、レイナルトの顔が脳裏によみがえった。


「……っ!!」


ぶわっと音がするかのように顔が一気に熱を帯び、心臓が暴れるように跳ねる。


「な、な、なんでこんなに……っ」


慌てて頭をぶんぶん振り、赤くなった顔を両手で覆った。


(落ち着け、落ち着け……!)


しばらく深呼吸をしてから、再び花冠をそっと手に乗せる。

もう一日経っているはずなのに、その花びらは萎れることなく、

昨日と変わらない瑞々しさを放っている。


「……これって、もしかして……」


カナはそっと指先で花に触れた。


(ルシリアのおかげかな……ありがとう)


心の中でそう礼を言いながら、花冠を大事に棚に置いた。


「……よしっ!」


カナは深呼吸をし、ぱんっと両手で自身の頬を叩くと、気合を入れる。

支度をし、制服に着替え、髪を整える。


鏡の中の自分に小さく頷き、部屋を出た。

階下に近づくと、パンの香りと湯気が漂い、寮のホールからはいつものざわめきが聞こえる。


穏やかな学院の朝。

カナは胸の奥のざわめきをそっと押し込めながら、ホールへ足を踏み入れた。





ホールの扉をそっと開けると、賑やかだった朝食のざわめきが――ふっと、消えた。

全員の視線が、カナに注がれる。


カナは立ち止まり、胸がドキリと跳ねる。


(……え? な、なんで……?)


一瞬の静寂。


次の瞬間、誰かが椅子を引いて立ち上がったかと思うと、

ホール中から拍手が湧き上がった。


「すごかったよ、カナ!」


「学院祭の祝祷、忘れられない!」


「本当に素敵だった!」


笑顔と歓声に包まれ、みんなが一斉に立ち上がって讃えてくれる。

その光景に、胸の奥がじんわり熱くなり、涙がこぼれそうになる。


「……み、みんな……ありがとう……」


カナは必死に涙をこらえ、深く頭を下げた。

その姿に、さらに大きな拍手が広がる。


ようやく顔を上げ、カナはサラとミリアが手を振っているテーブルへ歩いていった。

二人は立ち上がり、いつもと変わらない笑顔で迎えてくれる。


「おはよう、カナ。……立派だったよ」


「うん、すっごくかっこよかった!」


その優しい声に、カナの胸はあたたかく満たされていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ