学院祭4
三日間にわたる学院祭も、ついに最終日を迎えた。
朝から学院の大広場は熱気に包まれ、
騎士科の本戦を見ようと集まった人々のざわめきが遠くまで響いている。
精霊科や魔術科の出し物は二日目で終わり、この日は全員が騎士科の戦いを見届けるのが恒例だ。
観客席は王族や貴族を含む来賓で埋め尽くされ、
学院長をはじめ、王国騎士団の幹部たちも見守る中、決勝戦の時が訪れた。
学院の象徴ともいえる石造りの大闘技場には、魔法防御の結界が張られている。
中央の舞台に、第一王子レイナルトがゆるやかに歩み出る。
整った立ち姿と、鍛え抜かれた剣士としての気配が、静寂の中でも観客に伝わった。
対するは、王国騎士団長を父に持つ青年――学院騎士科の最強と謳われる剣士。
二人が向かい合うと、場内は張り詰めた気配に包まれる。
「はじめっ!!」
学院長の合図が響いた瞬間、鋭い金属音が大気を裂いた。
レイナルトの剣が疾風のごとく振るわれ、相手はすかさず受け止める。
互いに一歩も退かず、火花が散った。
剣戟は次第に激しさを増し、観客席からは息を呑む気配が伝わってくる。
「すごい……」
ミリアが息を呑み、カナも頷く。
隣では、セオが拳を握りしめていた。
レイナルトはただ力強いだけでなく、しなやかで無駄のない動きで相手の攻撃を受け流し、
的確に反撃を繰り出す。
やがて、相手が魔法を解き放った。
炎が剣先から迸り、闘技場の地面を赤く焦がす。
しかしレイナルトは微動だにせず、冷気を帯びた剣閃で炎を断ち切る。
観客からどよめきが起こる。
青年も負けじと雷撃を放ち、雷光が闘技場を走る。
レイナルトはわずかに剣を回転させ、雷を受け流すと、間合いを一気に詰めた。
剣と剣がぶつかり合い、耳をつんざく衝撃音が響く。
力と技、魔法が交錯する死闘は、互いの鎧を焦がし、砂埃を舞い上げる。
そして――
雷鳴のような最後の斬撃が交わった瞬間、青年の剣が高く宙を舞った。
レイナルトの剣先が、相手の喉元すれすれで止まる。
沈黙が落ち、次の瞬間、観客席から歓声が爆発した。
学院長が立ち上がり、勝者を告げる声が広場に響き渡る。
「勝者――第一王子、レイナルト殿下!」
レイナルトは剣を静かに下ろし、倒れた相手に手を差し伸べる。
青年はその手を握り、二人は互いの健闘を称え合った。
その優雅な所作に、観客は王子としての気品と真の強さを感じ、惜しみない拍手を送った。
――この戦いは、学院祭の歴史に残る名勝負として、その後長く語り継がれることになる。




