三十八の曲〜魔導師VSバース兄弟!〜
「我の問いに応え、汝を呼び覚まさん…いでよ、紅龍神!!」
ソラリスが杖を天井高く上げると彼の足元に紅い魔法陣が現れる。それは彼の持つ杖の水晶に吸い込まれる、と赤い光線が水晶から出て、魔物の群れの中に落ちた。そして紅い血のような光をまといながらこちらも紅い鱗と瞳を持つ巨大な龍が現れた。龍、紅神龍は自分より小さな魔物を食いちぎり、引き裂きながら倒して行く。
「行っくよー!大炎火!」
ルルの杖の先から大きな大きな火球が何個も現れ、ソラリスが召喚した龍の周りにいる魔物を燃やし尽くしていく。
「ソラ!もういないみたいだよ。先に進もう?」
「嗚呼、分かった」
ソラリスがルルの意見を承諾し、龍を消し、歩き出しそうとしたまさにその時、
「行かせませんよ?此処で死んでもらいます」
現れたのはアルファ、オメガ、シータ、ガンマのバース兄弟であった。
「まぁーたイヤな奴らぁ〜…じゃーまっ!!ライトバースラ!!」
ルルが嫌そうな顔をし、杖を彼らに向けるとそこから光の球が数個現れ、彼らに襲いかかる。それらをアルファとシータが切り刻むとその間に他の2人が2人に迫って跳躍した。
ソラリスが呪文を唱えた代償ですぐに動けないルルの前に滑り込むと2人分の武器を防いだ。
「2人分、保てるかな〜?」
「こっちの方が強いと思うよぉ?」
ニヤリと勝利を浮かべる2人。ソラリスは苦しそうな顔をしながらニィと笑う。とそこでオメガは気づく。後ろにいるルルが彼の背に杖を持った両手を当てていることに。微小だがルルの手は光り輝いている。ガンマはどんどん、ソラリスに斬りかかっており、残り2人は様子を伺っている。オメガはとっさにガンマの首根っこを掴んで後ろに引っ張り、2人の所に放り投げた。
「兄さん!シータ!ガンマ連れてにg「我が名を持って汝の名を聞こう」クッソ、もう始まったっ」
ガンマをキャッチし、シータが混乱したようにアルファを見上げる。オメガは目の前の2人がやろうとしていることがわかったようで苦痛の表情を浮かべながら、拳銃を構える。アルファも分かったように顔を歪め、駆け出した。
「シータ、ガンマ、此処にいなさい!」
「へ、アルファ兄さん?!」
「アルファ兄?!」
弟達の叫びを聞きながらアルファはオメガと2人に近づくがそれに気づいたルルがソラリスから離れたかと思うとソラリスを何重もの鎖…いや、文字の鎖が包み出す。その文字をオメガは銃弾で壊そうとするがことごとく跳ね返される。
「天津の神より承りしその縁を我に見せ、汝の主にお見せせよ」
「っくそ!」
「オメガ!」
「!!兄さん?!逃げてって言ったでしょ〜?!」
「しかしっ!」
「なぁ〜にがしかし、だよ?!兄さんだって分かってるでしょ?!あの男が何しようとしてるか!双子は気づいてないけどぉ、あれ、危険なんだよ?!」
バンバン!と言いながらも拳銃を乱射するオメガ。とても焦っているようだ。アルファは険しい顔付きで長剣を握り締め、言った。
「弟一人を残せるほど落ちぶれてません」
「……フフ、兄さんらしぃ〜」
「ハァー兄弟愛って奴?何これボク達が悪者みたいじゃぁーん」
プクゥと頬を膨らませるルル。
「でも」
ニィとソラリスのように笑ってルルは杖を点高く上げる。
「ボク達からしてみれば仲間を奪ったそっちが悪者なんだからね?防御上昇」
文字の鎖に包まれたソラリスに淡い青い火を吸収される。ソラリスは杖を握ったまま呪文を唱えている。
「彼の言の葉を用いて汝を呼ばん。来い、黑水双軌!!」
ソラリスの杖に文字の鎖が吸収されたかと思うとバァアアと噴水のように杖から噴き出す。それらは体長3mくらいの黒い、2体の武士となる。片方は黒の甲冑や鎧に身を包んだ者、もう片方は黒い狩衣を着た者で両者共に大きな薙刀を持っている。
ソラリスがアルファとオメガに向かって杖を向けるとその2体に命令した。
「行け!」
スッと大きな巨体では想像もつかないような軽やかな動きで2人に接近すると隙をつかれて止まっている彼らに薙刀を振りかざした。
「「アルファ兄 (さん)!オメガ兄 (さん)」」
弟達の悲痛な叫びがシーンと静まり返った空間に響いた。アルファとオメガはギリギリで薙刀をガードしていた。が重さが重さでいつまで耐えられるか分からない。
双子が兄達を助けようと駆け出すが、その前にルルが躍り出る。
「邪魔ー!」
「どいてよ!兄さん達が危ないのに!!」
「そうだとしてもボク達にとっては敵!大雷!!」
ビカビカッと大きな雷が双子に向かって落ちる。
「「っせいやっ!!」」
「?!」
2体の薙刀を弾き、兄達が出てくる。双子は片膝をつきながら立ち上がる兄達に近寄りながら武器を構える。
2体とソラリス、ルルは並び、武器を構える。両者共に相手を睨みつける。
「ハァー…容赦いたしません」
「殺っちゃうよぉ〜本気で」
「倒すー!」
「殺る…」
「敵は、倒すんだからね!」
「覚悟しろ」
再び、戦いが始まった。
あれ?この頃カミサマと天使くん(出てもいいけど出なくてもいい)出してねぇ……いつ出そう…




