三十七の曲〜いざ、尋常に!〜
ヴァルムがナオに一緒にいてほしいと告げた数分前ーーーーー
古ぼけ、瘴気が漂う城を見上げ、ユーリは小さく「ほへー」と間抜けな声を漏らす。
「ユーリ」
「ん」
名を呼ばれ、ルルとソラリスの元へ。3人で武器を持って最後の作戦会議だ。
「俺とルルが敵の気を引くからユーリはその隙にナオを見つけて来い」
「2人は大丈夫なの?」
「まっかせてよ!」
ドンッと胸を張るルルにクスッとユーリは笑い、3人はハイタッチを交わす。お祈り、この作戦が成功するようにと祈る。
ユーリは愛刀と豪語する舞草刀の柄を握り締め、刃の近くで呟く。
「お願いね……」
「ユーリ!」
ルルに呼ばれ、ユーリは決意したように立ち上がった。
***
ナオは迷っていた。ヴァルムの願いに乗るか乗るまいか。
「……っ。お…俺「無理しなくていいよ」へ?」
ヴァルムに遮られ、ナオは驚く。ヴァルムはナオの片手の甲に軽く口付けすると立ち上がり、言う。
「所詮、僕のわがままなんだから」
「っ」
その顔がとても悲しそうでナオは彼に手を伸ばそうとした。と、その時、
ードゴォオオオオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!!!!ー
「「?!」」
突然の地響き。城が揺れる。大きく揺れる。ヴァルムが揺れによろめく。と床に手をつけて耐える。
「おいっ!」
「僕は大丈夫」
ナオの叫びにヴァルムはスッと立ち上がって言う。とドアがバァン!と大きく開け放たれた。
「ベータ、何があった」
再び、雰囲気が変わる。入って来たベータは早口で告げた。
「ご、ご報告します!敵…お姫様の仲間と思われる3人が攻め込んで来ました!」
「…!3人…みんなっ!」
ナオが嬉しいような困惑したような表情を浮かべる。
ヴァルムは悔しそうに顔を歪め、指示を出す。
「やっぱり来たか…アルファとオメガ、シータとガンマは魔物を連れてそいつらの討伐に当たれと伝えろ。その後、ベータはここに戻り、彼女を守れ」
「ハッ。主様は?」
「俺は零れた奴を叩く。まぁあお前達は零さないだろうが」
「ハッ」
ベータが答え、兄弟達に指示を出そうと部屋を出て行こうとする。一瞬、ナオを振り返るが行ってしまった。ヴァルムは右手をスッと横に出すとそこに禍々しいほどの瘴気を放つ剣が現れ、彼の手の中に収まる。ヴァルムはナオを振り返り、小さく笑う。
「君の仲間と僕達、どっちが勝つかな?」
「え、あ待て!!」
ナオの叫びを聞かずにヴァルムは部屋を飛び出して行った。ナオにはわかった。あいつは……!
「待てヴァルム!!おい!!」
鎖に繋がれた足を動かし、懸命に訴える。
そうだ、俺が…!!
いや、違う。俺は…俺は…
「……決めた、俺の運命」
拳を握り締め、ナオが決意を告げた。
***
「ナオーーーー!!!なおみーーーーん!!何処ーーーーーー?!」
ユーリは大きな声で彼女の名を呼びながら近づいて来た魔物を刀で斬り倒して行く。
ルルとソラリスが主な敵の気を引きつけているがまだ強い敵がいる可能性は十分にある。例えば、次期魔王候補者様、とか。
「くっっ!!もう邪魔!!ナオ!!何処!!??」
目の前の敵を殴り倒し、バンッ!と大きな扉を開け放つ。そこはよく中世時代のお話などで見るダンスホールのような所だった。そこにも魔物がウヨウヨいた。ユーリは腰を屈め、刀を構えて真剣な面持ちで敵を睨みつけながら言う。
「邪魔だって、言ってんでしょ?もぉ…憑依・舞草刀」
そう言うとユーリの持つ刀、舞草刀から白い光、蛍のような光が出現し、刀の周りをゆっくり舞いながら回る。それをしっかりと握り締め、また言う。
「乱舞・月詠」
すると、舞草刀の周りを舞っていた光に月の光が追加され、美しく、優美になる。バッと魔物がユーリに襲いかかる。キュルンッと電子音のような音がし、ユーリの足元に月の形をした魔法陣が現れる。グッとそこを踏み、駆け出すユーリ。低い姿勢を保ったまま、スキルで上がった素早さのまま魔物に向かう。そして魔物に刀を斬りつけ、倒して行く。ユーリは魔物を倒しながら上の階へと続く階段に誰かいるのを見た。
ユーリはバッと少々大きい魔物を斬り倒し、その誰かに向かって叫んだ。
「ナオは何処だ!!答えろ!」
ズシャッと最後の魔物が倒される。その誰かは、ニィと口元を歪めて笑うと言った。
「俺を倒せたら教えてやる…俺はヴァルム、次期魔王候補者及び第六部隊隊長だ」
誰か、ヴァルムは禍々しいほどの瘴気を放つ剣を握り締め、言う。ユーリがヴァルムを睨みつけ、叫ぶ。
「『ブラックローズ』が一人、ユーリ!」
そして両者は武器を構える。
「「いざ、尋常にっ!!」」
2人の声が重なり、2人は相手に向かって跳躍した。
今年中に終わる気がしないです…
まだまだ続きます!!!




