番外編②
フローラの人生を一言で表すなら、「よくある悲劇」だった。
私は伯爵と娼婦の間に生まれ、伯爵から母諸共捨てられた庶子である。
スラム街のような荒れた街で貧しく暮らし、パン一つすらまともに食べれない日々を過ごす。それが私にとっての日常だった。
そんなある日のこと、母が倒れてしまった。けれど、当然医者にかかる金などない。
それでも必死に金や食料を盗んで、なんとか毎日をやり過ごしていた。
すると、ある青年たちが楽しそうに何かを話していたのを聞いた。
この国には、かつて聖女様がいたのだという。その聖女様は素晴らしい人で、どんな怪我も不治の病も治してしまう魔法が使えるのだと。
いいな、と思った。私に魔法が使えたら、お母さんは今も元気だったかもしれない。
魔法が使えるようになりますように、そんなことを毎日祈った。
そうしたら、本当に魔法が使えるようになった。小さな植物や土を動かす程度の、本当に小さな魔法。
私は嬉しくなって、母に意気揚々と伝えに家へと帰った。「お母さん、私魔法が使えるようになったの」って。
でも、家に帰ると……そこには、血まみれで今にも命を落としそうな母がいた。部屋も荒れている。どうやら、金目当ての強盗に襲われたのだろう。
私は必死に祈った。聖女様、お母さんを治してください、お願いします、お願いします。
けれど、そんな祈りも虚しく母は命を落とした。
何がダメだったんだろう。私はずっと考えて、一つの結論に辿り着いた。
そうだ、生贄だ。
何事にも、犠牲が必要だと父は私たちを捨てるときに言っていた。
お母さんを救うためなら、私はなんだってできる。
そうして、私はたくさんの生贄を捧げて……光魔法ではなく、闇魔法の習得に成功したのだった。




