9話目
遅くなりました
9話目です
「お前は何もわからないんだな」
昔そう言われた記憶
色がない記憶
いつ言われたのかどうしてだったのか
思い出そうとしても映像が思い浮かばない
代わりに頭の中にふわふわと光が浮かぶ
その光に手を伸ばしてぎゅっとつかもうとすると──
''ドン!''
「……ん?」
黄色く輝くめが開く。暖かい空気に包まれながら暖炉から木がパチパチと爆ぜる音がなっている。
ふかふかとした革の椅子に深く座り肘をつけ頬杖してゆっくりと思い出す。
「……あぁ、なるほど。寝てしまいましたか」
小さな欠伸をした後に先程の大きい音が鳴ったところに目をむける
そこにはドアに激突したのか1人のローブを被った女の子がぐにゃりと力が抜けて痛そうな体勢で倒れていた
「……」
送り人は少し目を閉じこめかみを指で揉み夢では無いことを確認してからまた静かにその人の様子を見る。
倒れている方人は少しピクピクと痙攣しており「うーん……」と目を回しながらうなされていた。
ゆっくりと立ち上がり少し警戒をしながら近づく
「あの大丈夫ですか?」
送り人は近づくと小さく「あっ」と声を漏らした。
その人には見覚えがあった。
黒髪のツインテールに少しまだ幼さが混じっているその人確か――
「えっと……光さんですよね、私の妹弟子の」
声をかけられた光はピクっとなりゆっくりと身を起こした。まだぼんやりとなっている頭で私を見つめて数秒後ハッとした顔になる
「あ、あわわ!し、ししし、白先輩!?あ、あのあのあの!ご、ごめんなさい!部屋の中に急に入ってきてしまって、えっとあの、その―」
と身振り手振りで説明しようとしてる光を送り人は右手を光の顔の前に出しピタリと止めさせる
「落ち着いてください。ゆっくりでいいので」
送り人はその手を光の右手に運びそっと掴む。そして先程まで時分が座っていた椅子にゆっくりと座らせ「少しお待ちくださいね」と声をかけてからキッチンの方に向かった
光は「ありがとうございますっ」と緊張しながらもソワソワとしながら送り人の部屋をみる。
馴染みのない物ばかりなのか椅子から少し身を乗り出し一つ一つじーっと観察している。
しばらくすると送り人は甘い香りが漂うココアが入ったマグカップをふたつ持ち落ち着いた様子で戻ってきた。
そしてそのひとつを光に手渡し「熱いのでお気をつけて」と声をかけてからゆっくり対面の木の丸椅子に座った。
「あ、ありがとうございます!白先輩!」
光はふーふーっと何度も口で息をふきかけ冷ましながら恐る恐る飲む。
「アチッ…!」といっても味が口に広がった瞬間気に入ったのか飲むのを止める様子はなくこくこくと喉を鳴らしている。
送り人はその様子を見ながらゆっくりと自分のココアを味わいしばらくしてから話をかける
「さて、光さん。本日はどのようなご用事で?と、いうより。よく私の場所が分かりましたね。」
光はピクっとカップに口を付けたまま固まり、ゆっくりマグカップを置き少し申し訳なさそうにしながらがローブの下から手紙を1枚取り出し送り人に手渡した
「……師匠が白先輩にって…その、わたしについてのことで」
「?先輩が?」
あの人が手紙なんて珍しいと思いながらスっとペーパーナイフで切りペラっと内容を確認する
『よぉ!久しぶりだなぁ。いきなりだけど頼みがあるんだ!
今日本当は光の初お迎えさせようか悩んでたんだけど、あたしがこれから仲間と違うとこにお迎え行くの忘れてたんだ。どーしたんもかなぁ思ってたんだけどお前のこと思い出してな
そいつの面倒みるの頼んだ!お前なら大丈夫だよな、たまには教える側に回ってみろ!じゃ、頼んだぞ〜』とたった数行の文とウインクして舌ペロした可愛いイラスト付きの手紙を読み終わった。
「……少々お待ちください」
送り人はその手をくしゃりとしそうになるのを必死に抑えながらふぅーっと息をついた。
「光さん」
「は、はい!」
「この押し付け…コホン、失礼。この手紙の内容を見る限りあなたは一度も送り出したことがないのですか?」
光はぶんぶんと首を縦に振りながら少し早口で文句混じりに答えた
「そうなんですよ!師匠ずっと放任主義な癖に空飛べとか本の読み方とか覚えないとすぐに基本ができてない!とかって怒鳴ってくるし飛行テストするって言って急に鬼ごっこ始めるんですよ!?しかも捕まったら訓練増やすとか言って…雑なんですよ本当に!!」
そうやって彼女は送り人を掴みかかりそうな勢いで愚痴を沢山吐き出し続ける
送り人は聞きながらも
(……同じことありましたね)
と懐かしく思っていた
しばらくしても光の愚痴は続きこのままだと止まらなさそうなので送り人は光の肩をそっと掴んで抑える
「光さん、色々吐き出したいのは分かりますが先にお仕事に参りましょう」
光はハッとしてやらかしたという顔になりしゅんと頭を伏せる
「すみません先輩。わたし…」
光はそう言うと手で顔を覆い「またやっちゃった」と嘆いている
「光さん、私は気にしていませんよ。それよりも今日の準備をしてしまいましょう。服装ややり方などの基礎は分かりますね?」
「は、はい!し、四捨五入したら50パーセントになるぐらいは!」
「……まあ、初めてですので私が手を貸します。」
「あ、ありがとうございま「ただ1つ約束して欲しいことがあります」
送り人は人差し指を1本たて光の目の前にだした
「な、何をすれば?」
光がゴクリと唾を飲む
送り人はしばらくじーっとしていたがふっと微笑んで
「あなたなりの送り方をしてください。絶対に後悔しないような…ね」
「わたしの・・・送り方」
光は手を顎に当ててじっと悩んだあと真剣な顔つきで送り人をまっすぐ見て
「はい、わたしやります。やってみせます」
送り人は光のまっすぐな目線を受け満足そうに頷いてからローブを羽織り始める
「10分後に今日の予定の方がいます。それまでに準備を」
「はい!」
2人はローブを被り、自分の本を確認しそして、今日の送る方の情報をみる
10分後――
チリンっ
「…来ましたね、先輩」
「ええ…さて。準備はいいですか?光さん」
光は胸に手を当て深呼吸をして1歩踏み出す
「はい!」
送り人はドアをゆっくりとあけ光とともに外の空気を感じながら地面に踏み込んだ
続く
新作を書こうか悩んでて続きはまた気分が乗った時に書きます!
ではまた会う日まで!




