エピローグ
「集まってもらって感謝する。今日は俺から皆に言いたいことがあるんだ」
平民の子と共に歩んでいくことを決めた対抗馬。そんな彼は早速派閥の人間達を集めて早速発表を行なうことにしたようですの。
気になるのは、何を発表するのかと言った部分ですわね。ただ平民の子と一緒に生きていくということなら発表する必要性はありませんし、どちらかというと発表してしまった方がマイナスになりますの。軽い浮気をしているならばまだしも、堂々と皆の間で浮気の宣言などすれば問題になるのは当たり前ですわよね。
だからこそ私だけでなく集められた派閥の人間達からも注目は集まっているわけですの。
何人かはこの間の平民救出の時に違和感を感じてそういう発表がされるのではないかと警戒している様子ですが、まだ明確な答えは誰も知らないようですわね。
もし平民の事の事を大々的に発表するならばこの派閥は大混乱するはずですし、もしそうでないとしても浮気がバレる可能性は高いし暗殺されるリスクもある。
どう転んだって私にとって都合がいいことは間違いないわけで、
「俺は、王位継承権の放棄をここに宣言する!よって、担ぎ上げてもらったお前たちには悪いが派閥の長の座を勝手ながら降りさせてもらう」
「「「「…………ハァ???」」」」
え?今、何と言いまして?
王位継承権を放棄?派閥の長の座を降りる?
本当にどういうことですの?いったいどういうことでして?こんな展開、私は全く想定してませんわよ!?
混乱する私と、派閥の配下たち。
しかし、対抗馬は言葉を続けて、
「その代わりに、俺は次期国王として妹のウォツバーニを!ウォツバーニ・カローを推薦する!この派閥の長の座は、ウォツバーニへと譲ることにした!」
「「「「え、えええええぇぇぇぇぇぇえ!!!????」」」」
怒涛の展開。
配下たちも誰も聞いていなかったようで。大混乱と言った様子。継承権を放棄し派閥の長の座を降りるだけではなく、その座を譲り渡す相手まで勝手に決めていたのですから。
誰だって混乱するに決まっています。
そして、
やられた!やられましたわ!完全に私は出し抜かれた形ですの。
これまでやって来た対抗馬に対する様々な工作。平民の子とくっつけるなんて言う行為も、その子の家族の救出のために人を使って護衛を失わせ暗殺のリスクを高めるという行為も、何もかもほとんど無駄になってしまったということですわ!
それらのすべては対抗馬が派閥のトップであったから!だからこそ派閥の全体に影響を与えられたわけですの!しかし、そんな相手が派閥のトップをやめてしまえば、どんなスキャンダルが起きたとしても、そして暗殺までされたとしても派閥が揺れるようなことにはなりません。
全く影響がないわけではないでしょうが、私が望むような派閥の大混乱は見込めないというわけです。
「それでは早速紹介しよう。すでに推薦するウォツバーニの事はここに呼んであるんだ」
「ふふうっ。皆様ごきげんよう。私、リトー兄さまの推薦を受けましたウォツバーニ・カローと申します。これからよろしくお願いしますね」
何食わぬ顔で紹介を受け、派閥の者達の前に現れる1人の少女。
それが今回私の計画を無に帰した王女、ウォツバーニ。誰もがまだ理解できていないという様子の中、1人だけ綺麗な笑みを浮かべてその様子を眺めていますの。
敗北ですわ。完全に敗北しましたわ。結果的に、この王女にほとんどすべて成果は取られていきましたの。
今こそ混乱していますが、元対抗馬派閥は圧倒的に王子派閥との力の差を示すことができていましたわ。そして、このまま問題が何もなければ王子派閥をつぶすことができることは明白。
そしその勝利を収めた暁に国王となり大きな力を手に入れるのは、今現れた王女。推定主人公ちゃんでも王子でも対抗馬でも、そして私でもなく、この王女がすべての上に君臨するのですわ!
順調に計画を進めているように思えた私ですが、結果だけ見ればただあの王女が国王になるためのおぜん立てをしていただけにすぎません。
「俺ではこの国の王となるには力不足を感じてしまった。だからこそ、その実力があるということでウォツバーニを推薦する。効いたことも見たこともない者もいるとは思うが、ウォツバーニの才能は確かなものだ。決してケヌマにだって劣りはしない。いや、超える部分すら多いだろう」
王女の推薦文を述べていく対抗馬。それを聞く私は、それに納得をせざるをえません。
何せ今、その実力とやらを見せつけられてしまったのですから。推定主人公ちゃんも王子もエニケーちゃんも、誰も気づきすらしなかった私の計画を読んで見せた。
激しく争い会う2つの派閥の裏でこそこそと工作を行ない争いを激化させてきた本来は読めないはずの私の動きすら読み切って、自分の都合のいいように立ち回ってみせた。
それを実力と言わずして、才能と言わずして、いったい何だと言うのでしょう。
間違いなく、派閥を率いていくだけの力はありますわ。
当然、黒幕としての力も私より上。
せわしなくこそこそと細かく動いていた私とは違って、向こうはただずっとその時を狙い続けていただけ。完璧な時勢を読み切るその力は、黒幕としても一流。
「皆様。共により良い国のため、頑張ってまいりましょう」
私の計画すら利用して見せたその存在は、全てを見透かすように微笑むのでした。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました
黒幕ですけど一向にバレる気配がありませんわ
は、これにていったん完結とさせていただきます(人気があるようなら再開するかも?)
夏休みシーズンも終わりということで、いいタイミングでの完結だったのではないかと考えております
個人的にかなり書きやすいタイプの作品であり、良いストレス発散になりました
ラストは、本当の黒幕は誰だったのかという形になりましたが…………まだまだ黒幕は他にもいそうな気もしますよね?
そういう部分も含め、皆様に楽しんでいただけたなら幸いでございます
こちらが書き終わったということで、作者は新作を書き始めます
エンディングが消えていく!?
というタイトルになる予定です
こちらの作品とは傾向が違うかと思われる作品なのですが、ご興味あればぜひぜひお願いします
VRゲームで攻略などせずに勉強だけしてたら伝説になった
という作品も書いておりましすので良ければこちらも…………
では、また何かで皆様のお目にかかれることを祈りまして、この辺りで失礼させていただきます
引き続き小説家になろう(小説を読もう)をお楽しみください




