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2.来るな!主人公!

浮気した男たち。それも、1人の女の子を取り囲むような形の浮気ですから、非常に大ごとになりましたわ。

王子を含めてイケメンたちは実家から呼び出され、更にはその婚約者たちも呼び出され。皆様忙しそうにされてますわね。

まあ、私は暇なんですけどね(ドヤァ


で、そんな暇な私はと言いますと、学園中に欠席者が出てほぼ休校状態であるため、


「お嬢様。何をおつくりになられているのですか?」


「こちらは魔法を使用するための触媒ですわ~!どうせならこの期間中に他の生徒と差をつけるつもりですの。私が魔法の授業でトップに立つのですわ~!オ~ホホホホッ!」


工作をしておりますわ。

実家で読んだ本や学園の図書室から借りてきた本を使えば色々と面白いものが作れますの。使用人には今後の授業で使えるものと説明していますが、それは勿論ウソ。真っ赤なウソですわ。

誰がそんな優しい物を作ると思っているんでしょうねぇ?

もちろん私が作るのは、危険物。お父様の指示通り、派閥を揺るがすための工作に使う道具を使っているのですわ~!


…………すでに相当貴族界は揺れているようですから、必要かどうかは怪しいところですけどね。

なんであの子たちは自爆してしまったのか。

本当に救いようがないですわ。


なんて、頭の中でイケメン(顔だけ)たちを小バカにしながら過ごしていた時ですの、


「お嬢様。お客様です」


「あら?特に来客の予定はないはずですが。どなたでしょうか?」


誰かが来たようですわ。

暇だったから構いませんけど、自分の足で来るなんて変な方もいらっしゃるものですわね。たいていこういった貴族間での面会の場合、先に使用人を使わせてお伺いを立てるものなのですけど。時と場合によってはこんな突然の訪問は礼儀のなってない愚か者と噂される原因にもなりますわよ。だからでしょうか、私に声をかけた使用人も若干嫌そうな顔をしてますわ。

やってきた方は、貴族としての教育をちゃんと受けたのかは怪しいところですわね。


「は、初めまして!ローグラーハ様ですよね!私、マターと言います!急に来てしまってごめんなさい」


あっ、貴族じゃなったですわ。そりゃあ礼儀とか知るはずもないですわよね。

やって来たのは、平民の子。しかも、


「あらあら。殿下たちを手玉に取って見せたマター嬢ではないですの。もちろん存じておりますわよ。初めましてローグラーハと申しますわ。長いですから、ローグでもログでもお好きなようにお呼びくださいまし」


推定主人公ちゃんですわ~~!!!


なんで来やがりましたの!?今の状況でこのこと私があっているとバレたら、私がこの子を王子たちにけしかけたとか、この子を取り込んで王子たちにすり寄ろうとしてるとか変な噂が立ちかねませんのよ!?


私が驚いていると、使用人の1人がそっと近づいてきて小さく耳打ちを。


「この部屋にお入れした時には周囲に人の目がないことを確認しています。ご退出の際にも警戒をしますのでご安心ください」


くぅぅぅ。有能!さすがは公爵家の使用人。有能ですわね~。

見られていれば噂が立つことは間違いないですが、使用人が気を聞かせて人に見られない形にしてくれたということですわね。

バレなければ噂をされることもない、ということですわ。


ということで、とりあえずそこは良いとして、


「それで、何の御用でして?わざわざご挨拶のためだけに来られたというのならそれはそれで構いませんけど」


「あっ、その、え~と…」


何か私に頼みたい事でもあるのではないかと目的を問いかけてみれば、分かりやすく視線を泳がせましたわ。私に何か面倒事を持ってきたんですわね。

来ただけでも面倒くさいのに面倒事まで持ち込むとか疫病神ですの!?


なんて、キレてても仕方がないですわね。

来てしまったのならそこは受け入れましょう。それよりも、その内容を聞いて早くそれを私に扱えるかどうか考えなければ。


「オ~ホホホッ!躊躇は必要ないですわ!言うだけならタダでしてよ!」


「そ、そっか。ありがとう…………実は私、エニケー様と仲直りがしたくて!」


「…………へ?」


おっと。いけない。思わず間抜けな声を出してしまいましたわ。

ただ、それも仕方ないと思いますの。

なにせ、推定主人公ちゃんことマターちゃんがふざけたことを抜かしているんですもの。


浮気相手が、彼女の方と仲良くしたいとか言い出すなんて初めて聞きましたわ。そんなことしても火に油を注ぐだけということがどうしてわからないのやら。

向こうからは婚約者を奪う最低な人間と思われてるのですから、近づいても嫌がられるだけだと思いますわよ?

あと、もし受け入れられたとしても向こうにはすでに浮気相手としてのイメージがありますから一緒にいて気持ち良くはないと思いますわ。


「難しいことを言いますわね。下手なことをすれば余計に嫌われることになりましてよ?」


「うぅ………それは分かってるんですけど」


絶対わかってないですわね。分かってたら仲良くなるなんて発想がまず出てこないはずですわ。

ただ、だからと言って私がここで正論を言い続けてとどめておく必要もありませんの。こちらとしては推定主人公ちゃんとエニケーちゃんの中がどれだけ悪くなろうと関係のない話ですし。


そう考えれば、どちらかというと何もさせないより何かさせた方が私にとっては都合がいいかもしれません。


「大抵何をやっても向こうには不快感を与えるだけだと思いますの。しかし1つ。私の頭には1つだけ挽回できる可能性が思い浮かんでますわ」


「な、なんですか!?教えてください!」


「ええ。それは、」


「それは?」


それは、絶対に問題にしかならない絶望の一手。推定主人公ならきっとできると思えますし、今から楽しみですわ!オ~ホホホッ!

…………あっ、でも、推定主人公ちゃんが退学させられることになったりしたらダメですわね。あと、私が教えたっていうことは口止めしておかないと。


そんな風に新たな争いの種を仕込んで数日。

問題児たちの処遇も決まり、学園も本格的な再開を始めましたわ。

結果はと言いますと、


「や、やあ。エニケー嬢」


「…………どうも、殿下。お元気そうで何よりです」


王子はほとんどおとがめなし。厳重注意にとどめられた、といった形になりましたわ。

他の問題を起こした子たちも似たようなもの。1名に限っては全く責任を問われることなく終わりましたの。

結果として、浮気された側の不満は増加。それぞれの実家はかなり婚約相手の実家の方に怒りを示しているようですわね。


そしてこの結果が出たと同時に、私にもお父様からお手紙が届きましたわ。

内容は、継続して任務に当たれというもの。

まだまだ私の裏工作が必要だということでしたわ。

ただ、こんなに最初から問題を起こしたのですから何やらご褒美がもらえるという話ですが。

楽しみですわね~。オ~ホホホホッ!

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