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19.父親の頑張り

途中に父親視点が入ります

誘拐から数日。

さすがに国の調査も終わって私たちはまた学園へと戻ることができるようになりましたわ!


…………となればよかったのですが、現在いまだに私は実家ですの。

しかも、戻るめどが立っていないのですわ。大問題ですの。今のままでは落ち込んでいる推定主人公ちゃんの顔が見れませんわ!


「ぐぬぬぬっ!お父様にしか頼りようがないのがツラたんですわぁ」


今回起きていること。

それは、事件が起きた学園への不信感による、貴族たちの学園通学の取りやめですわ。子供たちを学園へ行かせたくないという貴族が非常に多くなってしまっていますの。


私もこうなることは予想していましたが、想定以上に早い段階で来てしまいましたわね。まだまだ私はやりたいことがたくさんあるのですけど、このままではしばらくお家で過ごすことになりそうですわ。


一応、お父様が説得を行なってくれているようですけど、これも効果がいつ出るかは分かりません。

何も手段がなくただ待つよりも断然マシだと思うのですけど、それでもすぐにどうこうできる問題でないことがツラいですわ~。


「もしかして、乙女ゲームは学園編がここで終了して新しいストーリーが始まるんでしょうか?…………あれ?その場合私何も対策できてないのですけど!?マズいのでは!?」






《sideウドーゲ・クマロク》

「ということで、我が家が資金の拠出及び警備に回りましょう。学園に行けないというのもまた、貴族内の格差拡大につながりかねませんからね」


陛下の前で行なう御前会議。

いつもの私は対立する両派閥の争いを仲裁する役目ばかりに回っているが、今日は違う。今回はいつもと違い、私の意見という物をしっかりと言わせてもらっているよ。

ログがひっかり回してくれたおかげで我が家にも美味しい物がたくさん流れ込んできているからね。ここで上手くすれば、我が家の発言力は絶対的なものになる。


「し、しかしですな。クマロク閣下が資金を拠出しましても学園を信用できるかと言いますと………」


「もちろん信用できないというのはかまいません。学園は強制である必要もありませんからな。ただ、私が申し上げたいのは学園が子爵家以下の貴族に果たしてきた役割です。資金に余裕がある家であれば腕のいい家庭教師を雇うことが可能でしょうが、資金難であったり領内の治安が悪く人が寄り付かないなどであれば話は別。そういった貴族家には、学園の教育という最低限のものが必要なのです。学園の存続なくして、貴族家の質の安定は見込めません」


「それはそうかもしれませんが…………」


私が主張していることはただ1つ。

我が家が資金も出すし安全面の質の向上にも協力をするから、学園を再開させてほしいという物。

根拠となる部分は、貴族全体の質のため。低級の貴族たちには子供を教育するのに必要な資金も人脈もないだろうし、学園という場は必ず必要になるわけだよ。

恐らく私がこんなことを主張しなくたって、間違いなく学園は数か月後には再開されていただろう。


ただ、あえてここで私がこれを言っておくことで我が家に利益がもたらされる。

学園への発言力増加という大きな利益が。


「何度も言いますが、学園への入学や通学は自由で構いません。ただ、どうしても子供の教育に学園が必要だというも家だけ参加してくださればそれで構わないのですよ」


学園は自由通学。

学園の早期再開のためには仕方のない言葉ではあるのだが、これをすると確実に学園に不信感を持つ貴族、とくに侯爵家以上の貴族家は通学しなくなるように思える。

今までログがやっていたような位の高い貴族家をターゲットにした計画なんていうのは難しくなるかもしれない。


なんて思ったら大間違い。

誰も、学園が再開されてしまえば長期の欠席なんてできないんだよ。それが分かっているからこそいまだに反対しようとする貴族が多いわけだ。

何せ、学園というのもまた1つの社交場。いくら子供同士と言えどもそれらの関わりや結束はその後に大きくかかわってくるわけだし、もし学園に入学させないという選択肢を取ってしまえば学園内で作られた派閥には参加できなくなってしまう。それは家の将来に多大な損失を生み出してしまうわけだ。

いくら大手の貴族が参加していないと言えど、貴族の中での派閥というのは非常に重要。下手に下級貴族と我が家だけで結束されてしまえば、将来上級貴族であっても主流派から外れてしまうことになるかもしれないわけだよ。


「さて、それでは具体的な提供する資金と戦力についてご説明いたしましょう」


多くの貴族が渋っているものの、上辺だけは綺麗だから誰も私の案を否定することはできない。

こうしてすでに組んである具体的な案を聞かされると、余計に文句も言えなくなるだろう。


見た限り危険性は分かっているものの家のためにも学園へ子供を通わせたいと考えている下級貴族も多そうだし、この様子なら採決の際には賛成多数になるだろうね。

いやぁ~。どんどん歪んでいく上級貴族の顔が実に素晴らしいね。愉悦愉悦。





《sideローグラーハ・クマロク》

「…………ということで、明日から学園再開だから用意をしておいて」


「はい。分かりましたわ…………はい!?明日から!?」


お父様が帰って来たかと思えば、突然学園再開が告げられましたわ。

私、しばらく学園は再開されないと思って油断していたのですけど!?ちょっと調子に乗って滅茶苦茶大規模な便利アイテムの開発とかしようとしてしまっていたんですけど!?この作りかけ、作りかけにしては大きすぎますし学園になんて持って行けませんわよ!

これが完成すれば、狙った相手を強制的に失禁させることができるというのに!パーティー会場を大洪水にしてやろうと考えていたのに、これでは実行できるのが数年後になってしまいますわ~。


なんて離れ難くは一瞬なりましたが、すぐに切り替えて学園に行く用意を始めますの。

正直このアイテムを作ることよりも学園に行くことの方が楽しみですからね。推定主人公ちゃんの顔は見たいですし、その後の計画も学園に行かないと進められないのですわ!


「推定主人公ちゃん、どんな顔をしているでしょうか。楽しみですわね~…………ただ、あまりにもショックが大きすぎて休んでしまう可能性もありまして?その場合は、新しいハニトラ要員を見つけて攻略対象共を浮気させるのもいいかもしれませんわね。ぜひともドロドロした展開は見えたいですわ」


なんて期待に胸を膨らませつつ、夜しか眠れないで翌日を迎えると、


「あっ、ローグラーハ様。お久しぶりです」

「おはようございます!」


「あらあらあら。ご機嫌よう。お久しぶりですわね。皆様お元気そうで何よりですわ~。オ~ホホホホホッ!!」


学園に着いた途端、普段以上の出迎えが来ましたわ。

これは私の実家の派閥の人間だけではなく、王子派閥やエニケーちゃんの派閥の人間もいそうですわね。我が家が学園に資金を拠出して発言権も大きくなったから、挨拶も必要だと考えたというところでしょうか?

思っていた以上に私への注目度も高まっているのかもしれませんわね。


何かにこの注目度、使えたりするでしょうか?

もう一度計画の見直しをして利用できないか考えてみてもいいかもしれませんわ。

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