16.お父様もこの家の人間
色々な可能性を考えて、推定主人公ちゃんの排除を本気で考え始めたらしいお父様。
恐らくそんなことをしても不思議な原作パワーで失敗してしまうと思いますが、お父様の推定主人公ちゃんに対する警戒心を高めてもらう意味でも必要なことかもしれませんわね。
さて、そんなお父様の考えは置いておくとして、まずは簡潔な情報のまとめですの。
まず第一に今回私が引き起こした騒動の結果によって、
「皆様かなり過激な手段を使われるようになったのですわね」
「そのようだね。我が家に今のところ被害は出ていないけど、何かの拍子でこちらにも来る恐れがあるから最低限の対策はしておくよ」
「おお。頑張ってくださいまし?」
各家が他家から過激な手段で攻撃されることを防ぐため、より過激な手段を使って封じ込もうという最悪な動きを始めてしまったのですわ。
元々は節度を持って周囲を制止していたりもしていた家も、そんなことをしているうちに自分の領地に被害が出始めてしぶしぶ過激な手を取らざるを得なくなった様子ですの。
ただ過激な手段と言いましても具体的なものが思い浮かばないでしょうから具体例を上げますわね。
まず1番多い物が、モンスターを使うもの。こちらは私と同じような手段を使うというわけではなく、単純に自領にいるモンスターを激しく攻撃して追い立て、他の貴族の領地に追い出すというものですの。これによってモンスターが来た側の領地は被害が出てしまうというわけですわね。
「ただ、この手法には限界があるからね。その後どうするのかが見ものかな」
「ですわね。他領から来たモンスターは排除しなければなりませんし、いつかは数も質も低下してしまうでしょうね」
1番多い手法であり1番責任の追及が難しい物とはなっているのですが、やはりモンスターも無限に居るわけではありませんので限界がありますの。
ということでもう1つ取られる手段としてありますのは、盗賊。
それだけ言っても確かに脅威にはなりそうだが具体的に盗賊をどうするのか分からないと思うかもしれませんけど、そのままですわ。人を雇って敵対地で盗賊をさせるんですの。
特に金のない平民などに質の良い装備と少しの食料を分けてお願い(意味深)すれば簡単にやってくれそうですわね。
「もちろんこちらは、盗賊が捕まって尋問なんかをされた時に犯人が誰かというのがバレてしまいやすいというデメリットがあるけど」
「ただ、指示役を複雑にすれば簡単には察知されませんわ。そして、相手の領地の人間や物資にほぼ確実に被害を出せる手ではありますし。リターンも大きいですわよ」
「ふむ。確かにそうかもしれないね」
こちらはハイリスクハイリターン。だからこそ手段として選ぶ貴族がそこまで多くはないのですが、逆にやっているところはそれなりに敵に被害を出せているようですわね。
なお、我が家の領地もモンスターは兎も角盗賊を使われ始めたら被害を0にするということは難しいですわ。もちろん最小限にはできるでしょうけど、衛兵を置くなどするにしても限界がありますの。
公爵家でなおかつ暗部がかなりしっかりしたものである我が家でそうなのですから、他の領地でやられているところの被害はかなりのものとなるのは間違いありません。
「ふむ。しかし、このまま盗賊の被害が多くなると対策が進んでしまい将来通用しなくなる可能性もありますし、一部の計画を前倒しにする必要があるかもしれませんわ」
「おや。盗賊を使う計画があったのかい?それは初めて聞いたけど」
「かなり将来的な選択として考えていたのですわ。内容としては、お兄様などから力を借りてマター嬢の家族を誘拐して人質にするというものだったのですけど」
将来力が覚醒した推定主人公ちゃんが強くなりすぎてしまった場合、対処の使用がなくなる可能性を考えましたわ。そこで思いついたのが、『本人に勝てないのなら人質を使っちゃえ作戦☆』ですの。
今まで接して来たり観察したりした限りではおそらく家族との間に確執はなさそうですし、充分人質として使えるのではないかと予想が立てられたのですわ。
もし不遇系主人公だった場合は家庭で虐待を受けていたなんて言うことも考えられましたけど、これまでの事を考えますとそれはないと思うんですのよねぇ。
なんて思いながらお父様に軽く愚痴ってみましたところ、
「ほぅ。なるほど。それは面白いね。ならばそれは、私が代わりにやっておこう。ログが管理するよりも家で管理していた方が向こうからもバレにくいだろうし」
「あら。お父様が進めてくださいますの?それなら安心ですわね…………一応殿下などが警戒して人を送っている可能性もありますし、その辺りの動きも観察しながらお願いしますわ」
「ああ。そうしよう。それに、殿下などが動く可能性を考えればできるだけ早いた方がいいかもしれないね…………うん。良い計画を聞いたよ。ログ。ありがとう」
「いえいえ。お役に立てたのならば何よりですわ~」
ということで、予想外なことにお父様がかなり興味を持ちまして向こうで勝手にやってくれることになりましたわ。
私でやる場合には誘拐先まで用意して普段の世話係なども雇わねばならなかったので、資金面のことなども考えると正直とても助かりますの。
お小遣いをかなりギリギリまで使う計画でしたからね。それがなくなるなら資金面がかなり楽になりますわ。
「これなら資金難で難しかった計画も実行できる可能性が…………」
「おやぁ~。もしかして私、選択を間違えてしまったかもしれないねぇ。早計だったかな」
お父様は苦笑していますが、この様子だと本当に誘拐をやめるということはないでしょう。私に自制を求めたいという程度でしょうね。
ただ、当然それだけでおとなしくするような私ではありませんの。好き勝手させてもらいますわ。
なんて考えた数時間後。
私が計画の練り直しをしつつ家に入ってきた情報を解析していると、
「じゃあ、ログ、行こうか」
「へ?どこにでして?」
「決まっているだろう?例の平民の子の実家だよ。早い方がいいから、今から誘拐に向かうよ」
「え、えええぇぇ!!???聞いてませんわよ!?私も行くんですの!?」
「ああ。そうだよ。もう行くからすぐに出てね」
「うそですわよね!?私何も用意してませんわよぉぉぉ!!!?????」
お父様から突然誘拐の実行犯に私が入れられていたことを告げられ、行動を開始することになりましたわ。私、何一つとして準備などできていないというのに。
それでも、お父様から行けと言われたからには行かないわけにもいきません。
急いで必要な物を持ってお父様を追いかけて、
「うん。ギリギリだね。もう少しで出発してしまうところだったよ」
「理不尽!?私結構頑張りましたわよ!?」
それだけ急いだにもかかわらずお父様の反応は冷たい。もちろん、しっかり抗議しましたけどお父様の反応は薄いですわね。
これだからこの家の人間は本当に…………。
ただ、いつまでも怒っていたって今の私にはデメリットにしかなりませんの。誘拐計画に参加させられることになったわけですし、少しでも情報収集などしておかねばなりませんわ。
恐らく、私が立てていた計画とは誘拐の手法も違うでしょうし。
「それで?どういった方法で誘拐しますの?」
「ああ。それなんだけどね。とりあえずそこの村に火を放とうと思っているんだ。理想としては、村を完全に焼き尽くしてしまいたいね。村人もできるだけ皆殺しかな。もちろん例の子の家族は別だけど。そうしていれば村中が混乱するだろうし誘拐も難しくはないだろう」
うぅ~ん。過激。




