11.野生(?)のモンスターが現れましたわ!
私の事をなめ腐った平民な商人から買った、本来は別の貴族が買う予定だった商品。
流されるままに購入してしまったのですが、思ったよりも使える商品でしたわ。
それが何かといいますと、
「キャッ!?」
「っ!?変態です!」
「誰か!あいつを捕まえてください!」
「え?お、俺?俺は何も」
「ふざけないでください!今私のスカートをめくったのはあなたでしょう!」
「この変態!」
「平民の癖に、良い度胸ですね!」
遠隔スカートめくりマシーンですわ。
…………え?耳を疑うような単語が聞こえたから多分幻聴だったって?
仕方ないですわね。ならもう一度言いますわ。
遠隔スカートめくりマシーンですわ!
…………ええ。分かりますわ。私だってふざけていると思いますの。いったいこれを購入しようとしていた貴族は何を考えていたんでしょうね?ついでに、私にこれを売りつけてきた商人は私を何だと思っているんでしょうね?
まあ、私使ってるんですけど。
ついでに使ってみたらスカートをめくられた御令嬢の近くにいた平民の男の子が犯人扱いされて詰め寄られてますわ。かわいそうですわね(爆笑)。
「これだから平民は」
「いや、平民だからと言って差別するのは良くないでしょう。マター嬢もいますし」
「実はマター嬢も似たようなものなのではないですか?こういうはしたないことが平気でできるからこそ殿下方は誘惑されてしまったのでは?」
このスカートめくりが何の役に立つかと言いますと、自然に御令嬢たちから一部の男子への好感度を急降下させられることですの。
さすがに多用するとおかしいということに気づかれかねませんが、今のように数回、しかも嫌われる男子を平民のみとしておくことでかなり安全にやれますわ。
平民を見下している貴族も多いですし、庇うことなんてほとんどありませんからね。
ただ、結果としてそういった平民へのヘイトが集まるとどうなるかというと、
「もしかして、これを指示したのはマター嬢なのでは?」
「ど、どういうことですか?」
「簡単な話です。エニケー様へとやったような嫌がらせを、私たちにもしようという考えなのでは?こちらの味方にならないのであれば辱めを受けさせるなどという」
「なっ!?…………お、おそろしいですね」
「あのマター嬢ならやりかねないな」
平民と言えば最近話題のマター嬢、という風に結び付けられますの。結果として、平民のイメージダウンが行なわれるとセットで推定主人公ちゃんことマターちゃんの評価も下がるのですわ。
そうなるとさらに、推定主人公ちゃんやその周りのイケメンたちから人が離れていくことになるわけです。貴族な彼女たちにとって、平民である推定主人公ちゃんの脅しに屈するなんてプライドが許すことではありませんからね。
さて。ここまでの説明で気になった方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の事の問題点は派閥の偏りがより激しくなることですの。
現状すでに若干エニケーちゃんたちの派閥の方が人が多く強いですから、これ以上差がつくとまともな勝負にならない可能性があるのですわ。下手をすれば、たいして争いも起きずに王子たちが屈するなんていう展開になるかもしれませんの。
ただ、安心していただいて構いませんわ。これもまた、計画のうち。この状況を作っておくことも必要なことだったのですわ。
「ローグラーハ様。そろそろ次の授業のお時間ですよ」
おっと。
計画が順調に進んでいることを確認していたらすっかり時間を忘れてしまっていたようですわ。いけませんわね。
せっかく同じクラスの子が伝えてくれたわけでうしう、次の授業にはこの子と一緒に向かうとしましょう。
一緒に行けば、次の計画でこの子は被害を受けずに済みますからね。
私に話かけたこと、後悔はさせませんわ…………気分によっては後悔させることもあるかもしれませんけど、ね。
「あら。本当ですわね。教えていただき感謝しますわ。一緒に移動させてもらってもよろしくて?」
「はい!もちろんです」
移動する私たちが向かう先は、運動場ですの。
剣術の授業が行われるため、剣を振り回しても問題ない場所に行く必要があるわけですわ。
行ってみると運動場にはすでに多くの生徒が集まっており、私たちはかなり最後の方な様子。おかげで着いてからすぐに授業は始まって、
「よし。まずは木剣で素振りの練習をしてみよう。全員倉庫から木剣を取ってこい」
教師からこんな指示が。
実をいうと、王子たちが呼び出されていたりなどした影響もあって全員集まったうえでの剣術の授業は今回が初なんですの。だからこそまず、全員に剣を振らせてみてそれぞれどこまでできるのかを確認しようという腹積もりなのだと思いますわ。
「よしっ!マター!行くぞ!俺たちが1番ノリだ!」
「は、はい!」
1番に駆け出していくのがイケメンたちの中でも元気系な子。騎士団長の息子で色々とこの子も抱えている物はありますが、それについてはまた今度。
とりあえずその元気な子とそれを追いかける推定主人公ちゃんが駆けだしましたわ。
ただ、2人以外にも負けん気を見せる子が数名。
一部の剣の道を志している子がやる気の部分で負けてなる物かと走り出して、
ドンッ!
「「「うわあああぁぁ!!!???」」」
「「「キャアアァァァァァ!!!????」」」
「い、痛っ!?」
「な、なんだ!?」
悲鳴を上げることになりましたわ。
突然向かっていた先にある倉庫の扉が吹き飛び、その扉が運悪く数人に激突したんですの。かなり大けがっぽい子もいますわね。ちなみに元気系と推定主人公ちゃんは奇跡的に無事ですわ。おそらく原作パワーですわね。
跳んできた扉に当たってやられるなんて、倒れた子たちは戦いの道を歩む人間として恥ずかしくないのか気になりますわね~。クスクスクスッ。
なんて笑いましたけど、実際もう少し頑張れば別の方法で名誉は守られながらやられたと思いますの。
なぜなら吹き飛んだ扉のあった場所から、
「グオオァァァァァァァァァ!!!!????」
「うるさっ!?」
「なんだアレ!」
「モンスターだ!逃げろ!!」
2メートル越えの体長に、太い4つの足、大型のモンスターが現れたのですわ。
かなり巨大で重そうですが、その見た目に反して機動力はかなりのもので、
「っ!危ない!」
「ぐ、ぐわぁぁぁ!!!????」
咄嗟に推定主人公ちゃんが声を掛けましたが、それで間に合うはずもなく元気系がやられました。
…………あれぇ?思ってたより早く陥落しましたわね。攻撃直撃してましたけど生きてまして?
「に、げろ」
「ダメだよ!ここで見捨てて逃げたりなんてできない!」
あっ、大丈夫そうですわ。
最後の力を振り絞ったみたいな形ですけど、推定主人公ちゃんに声をかけられてますし。まだしばらくは生きているでしょう。
問題は、近くにいる推定主人公ちゃんですわね。元気系の近くにいるということは当然それを倒したモンスターの近くにいるということでもあるのですから、
「マター!逃げろ!」
「今は置いていけ!後から回復ができるはずだ!」
他の残されたイケメンたちも逃げるように声をかけていますわ。推定主人公ちゃんに勝てるような相手ではないですし、当然ですわね。
しかし、推定主人公ちゃんは首を振り、
「ううん。逃げない!私が守って見せる!」




