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魔剣に転生したけど使い手がチート過ぎて私の存在価値が危うい  作者: ゆとりの和田
第六章 金の精霊剣
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幕間の物語 セイブル

 私とアズールはメルたちと分断された後、宿の外へ弾き飛ばされていた。部屋の構造が突然変化し、私たちは放り出された形だ。地面に叩きつけられ、数度跳ねたところでようやく停止した。


 「あいたた……スノウも派手にやってくれるねぇ」


 アズールが腰のあたりをさすりながら文句を言う。大きな傷がないのは幸いだが、状況はよろしくない。なんとかして合流をしたいところであるが、それを許してくれるほど相手も甘くないようだ。


 「気のせいかな。僕の目には、数日前に倒したはずの金の寄生剣がいるように見えるんだけど」


 「私にも見えていますよ……といっても、おそらくオリジナルではなく、スノウが造り出したコピーでしょうが」


 私たちが投げ出された道路には、既に敵が待ち構えていた。銀髪の、小柄な人形のような少女だ。その右腕は大きな刃状に変形していて、明らかにこちらを敵視している。


 本物の性能をどこまで再現しているかはわからないが、厄介な相手には違いないだろう。なにしろこの少女は通常攻撃を無効化する。私とアズールでは有効打を与えられない可能性が高い。


 「敵を引き連れて合流するわけにもいきませんが……倒す手段もない。困りましたね」


 「ここは戦うしかないだろうけどね。ただでさえ向こうも面倒な状況になってるだろうに、新しい敵を引っさげて合流するのは無しでしょ」


 アズールが木を操り、少女を捕縛しようとする。だがやはり効果はない。少女は液状化し、拘束をすり抜けるだけだった。私が水の魔法で少女の足を切り落とすが――数秒で元通りになってしまう。


 「本物と違って再生には時間がかかるようですが……なんの慰めにもなりませんね」


 「僕とセイブルじゃ火力はないからねぇ。こりゃ、スノウの狙いは完全に時間稼ぎかな」


 「その通りでしょうね。別に私たちを倒せなくても構わない、スノウの所に邪魔が入らなければそれで良いと考えているのでしょう」


 「つまり、僕たちがやるべきことは……可能な限りこいつを早く倒して合流することか」


 その通りなのだが、そのためには相手の防御――不死身性をどうにかしなければならない。


 こうして話している間にも樹木で押し潰したり、水や氷をぶつけて吹き飛ばしたりしているのだが、何度攻撃を加えても少女は気にせず立ち上がってくる。


 「キリがないねぇ。メルたちはどうやって倒したんだっけ?」


 「核の魔力波長を検知して破壊したそうですが……私たちには不可能でしょう。あれはメルだからこそできる離れ業です。参考にするのは間違っています」


 アズールが、水に浸かると発火する木の実を少女に投げつける。少女の体の大部分が融け、少女は体勢を崩す。だが、致命傷には至っていない。すでに再生が始まっているようだ。


 「やっぱり倒すことはできないか。なら、氷漬けにして封印するか、どこかに吹っ飛ばすかしないとダメかな」


 「吹き飛ばす、というのは良いかもしれませんね。確か、刺激を与えると爆発する木の実がありませんでしたか? 木の枝で相手の動きを封じつつ、爆破で一気に吹き飛ばしてみましょう」


 「オッケー。やってみるかね」


 アズールが魔法を使い、地面から大量の木の根が出現する。一瞬で少女を拘束し、次の瞬間、爆音と共に少女の体が炎に包まれる。


 「やったか!」


 「アズール、やめてください。なんだか嫌な予感がします」


 しばらく様子を見ていたが、炎が揺らめき、何かが動いている様子が見えた。どうやらまだ少女は生きているらしい。


 「あっちゃあ、これでもダメか。こりゃ厳しいねぇ」


 「……いいえ、アズール。そうでもありませんよ。これで良い。これが良いんです」


 確かに少女にダメージは入っていないようだが、地面の上に木の根が出現したというのが良い。木の根が防波堤のような役割を果たし、各所に水たまり(・・・・)を作っている。水や氷で攻撃していたのも無駄ではなかった。


 「倒しきれないのならば、倒さなければよい。戦いが終わるまで、遠くにいてもらいましょう」


 私は水たまりに手を入れ、魔法を発動させる。使う魔法は当然、水面を利用した移動魔法だ。繋げる場所はどこでも良い。とにかく遠くへ飛ばすことができればこの場は勝ちだ。


 私が魔法を発動させると同時に、少女は水面に吸い込まれ姿を消した。通りが一瞬静寂に包まれる。しばらく様子を伺ったが、どうやら第二、第三の敵は来ないらしい。


 「今度こそやったかな?」


 「ええ、取りあえずはこれで良いでしょう。あとはメルたちの方ですが……さて、どうやって合流しましょうか」


 木の根に乗って移動すれば良いのだろうが、肝心のメルたちの居場所がわからない。そう遠くへは行っていないと思うのだが。


 その時、向こうの通りから壁が崩れるような音が聞こえた。こんな状況だ。おそらく今の音が聞こえた方角にメルたちがいるのだろう。


 「行ってみましょう。向こうが心配です」

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