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魔剣に転生したけど使い手がチート過ぎて私の存在価値が危うい  作者: ゆとりの和田
第五章 金の寄生剣
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再生とアプローチ

 セイブルたちが活躍したらしく、思ったよりも火事の被害は小さかったようだ。この様子だと、町の人々は火事があったことに気付いていないかもしれない。


 「魔物の行動には驚いたけど……これで今回の事件は解決かな」


 「そうね。忘れずに魔石を回収しておきましょうか。そうしないと何をしに来たかわからなくなるわ」


 つい先ほど倒したトカゲ型の魔物が落とした魔石を回収する。普通の魔物の魔石と比べるとかなり大きい。これで大型の魔物の魔石は三種類集まったことになる。残りは土と金の魔石だが――それはおいおい探していくしかないだろう。


 「魔石は……あった。悪いけど、ナナミが持っていてくれるかな?」


 「かしこまりました。討伐お疲れ様です」


 ナナミが受け取った魔石を体内に収納する。これ以上に安全な倉庫は他にないだろう。そもそも、ナナミを単独で倒せる存在がどれほどいるのか。私たちが戦った時は見逃してもらった面も強い。


 魔石の回収も終わったため、一旦ルルベルの町へ戻ることにした。当面の目標であった炎の魔物の討伐は終わったため、ここで再度目標を定めたいところである。他の精霊剣ならば情報を持っているかもしれないが、敵対する可能性も高いため悩みどころである。まあ、その辺りは町に着いてからゆっくり考えることにしよう。


 「町に帰る前に、ちょっと森を直していってもいいかい? すぐに終わるからさ」


 「それなら私も手伝いましょう。水の魔法と木の魔法を組み合わせれば、燃えた森もすぐに直ります」


 「そうだね。このまま放置しておくのも気が引けるし、お願いするよ」


 マスターの許可を受け、アズールとセイブルが焼けた森を再生させるために魔法を使いだした。地面や木が淡く発光し、瞬く間に森が元通りになっていく。確かにこの様子だとあまり時間もかからずに作業は終わるだろう。


 それにしても、と思う。今回の魔物――いや、思えば水上都市での鮫の魔物たちもそうだったが、魔物の様子がおかしいように思う。普通の魔物は周辺の動物を機械的に襲うだけだったのだが、大型の魔物は知性があるようだ。今回のトカゲは相性の悪いセイブルを隔離するために森に火を放ったし、鮫の魔物は進行前に地震を起こして町を沈めていた。


 魔物が進化しているだけならまだ良いのだが――魔物の背後に何かがいるとしたら厄介な話になるだろう。さすがに考え過ぎかもしれないが。それに、今の私たちには確認するすべがない。


 「お待たせ。作業は終わったよー」


 考え事をしている間にアズールたちの作業は終わったようだ。やることが終わったのならば、もうこの場所に用はない。早めに町に戻って休憩したほうが良いだろう。


 「それじゃあ移動しましょうか。今後の方針は、町に着いてから検討しましょう」





 帰りの道は平穏そのものであった。行きの時点で周辺の魔物は狩りつくしていたのか、帰りは魔物に遭遇することもなかった。あるいは、大型の魔物を討伐した影響もあるのだろうか。


 ルルベルの町に戻り、宿をとる。今回も特に問題なく手続きを済ませることができた。部屋に入り、今後の方針について打ち合わせをすることにした。――とはいっても思い思いにくつろぎながら話しているため、少し気の抜けた会議になっていることは確かである。特にアズールはひどい。様々な形の木の枝を積み上げて塔を作っている。なぜ倒れないか不思議で仕方がない。


 「さて、明日からどうするか考えましょうか。当面の目標だった炎の魔物の討伐は終わったわけだけれども」


 「他に大型の魔物の目撃証言でもあればいいんだけど……セイブルは何か知らない?」


 「すみませんが、私も知らないのです。……アズールはどうですか?」


 「今のところ、情報はないねえ。見つかっていないのか、それとも出現すらしていないのかはわからないけど」


 アズールも知らないとなると、大型の魔物は発生していないと見るのが妥当だろうか。


 「無理にどこかを目指す必要もないのかもね。目撃証言が集まるまで、いろいろな街を見て回るのも良いんじゃないかしら」


 「そうだね。他の町を見て回って、それから次の方針を決めるのも良いかもしれない。……どこの町に向かうのがいいのかな」


 「それでしたら、黄金都市カナリアに向かうのはどうでしょうか」


 ナナミが紅茶を淹れながら提案する。


 「カナリアには金の精霊剣――スノーホワイト様がいらっしゃいます。リスクはありますが……何かしらの情報を持っている可能性はあるかと」


 ふむ。スノーホワイトか。あれもあれで癖の強いやつではあるが――確かに、現状では魔物に関する情報がない以上、精霊剣にアプローチをかけるというのもありかもしれない。


 「ナナミの言う通り、精霊剣なら何か情報を持っているかもしれない……というか、持たされている(・・・・・・・)かもしれないわね。シロウならやりそうだわ」


 「そうだね。試しに話を聞きに行ってみようか」


 「お約束通りバトルになるかもしれないけれどね。まあ、その時はその時で考えましょう」


 「フラグってやつだねー。僕としては戦いになる方に賭けるよ」


 「私も戦いになる方に賭けます」


 「それでは私も」


 「……僕もかなぁ」


 おい。誰か一人くらい話し合いで済む可能性を考えないのか。いや、私もバトルになると思っているけど。


 先行きに不安はあるが、こうして次の目的地は決まった。目指すは黄金都市カナリア――金の精霊剣スノーホワイトのお膝元である。


 だがその前に。観光タイムである。

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