一章 プロローグ
唐突だが私はよく、この世界は現実では無いと思ったり、生きる事に空虚感を感じることがある。
何故そう感じる事があるのか理由はわからないけれど、ある程度の予想ならできる。たぶんだけど、私が夢を見るときにいつも見ているものが原因なんだろう。
その夢は、ただただ森の中を歩くだけのつまらない夢。音が聞こえるわけでも、動くことが出来るわけでもない。ただ、その視点の主がゆっくりと歩き続けるだけ。
でも、歩いている森の木々が全て凍りついているという、普通とは異なった風景ではあるのだけれど、何度も何度も繰り返し見せられては飽きるというものだ。
そして最後に、誰かもわからない青年と思しき人と出会うところでこの夢は終わりを迎える。そんなよくわからないような夢。
けれどその夢を見た時、必ず私はこの夢は現実にあった事だと、この光景を知っているのだと――また、この青年に会いたいのだと感じる。
だからこそ、私はこの世界が現実ではないなんて思ってしまうのだと思う。
どんなにつまらない夢でも、意味がよくわからなくても、それが本物だと思ってしまった時点で、それがないこの世界が嘘だと思ってしまう。そんなどうしようもない、謎の感情。
実際、私はこの世界とは相容れない存在なんじゃないかって思った事も昔はあった。
私は生まれた時から、電気で動いている機械類ととても相性が悪い。……いや、悪いどころじゃないか。
私は、電子機器を拒絶する。
電子機器の類に触れれば理由もわからずに必ず壊れ、体重だとか体温だとか、そういったものに反応する電子機器は一切反応しない。自動ドアをくぐるときは、必ず他の誰かが通った後に一緒に通させてもらう必要がある。
まぁ電子機器を使ってても遠い所で動いていて、実際に使う部分にそういったものが無ければ使えるのは救いだけどね。水道とか。
けど、こんな迷惑な体質をもって生まれた時点で、私は今の電子機器でほとんどが構成されて成り立っている人の世界に生まれたのは間違いなんじゃないかって思った。
悩んで悩んで、全く無駄などころか道を踏み外すような事も考えてしまうくらいに。
……昔は、だけどね。
その時に今の友達に言われたある言葉で色々と考え直して、今はもっと前向きに考えている。こんな私でも、生まれた意味はあるんだって。
でも、それでも夢を見るたびに『この世界は違う』っていう感情を感じることだけは全く薄れなかったどころか、前向きに考え始めた後からはより強く感じるようになった。
中学の頃に感じてた孤独感と世界と相容れない絶望感を克服したと思ったら、高校に上がってからはより強くなった空虚感が襲い掛かってくる。
このことにもうどうしたら良いのかわからなくなってきて、妹にも、幼馴染にも、果てには助けてくれた友達にも相談なんてしようにもできないこの事を隠して、自分すらも欺いていつもの毎日を過ごしていた。
けれどある日、私のその日々が終わりを告げたんだ。
そのまま、自分が無理やりに忘れてしまった空虚感といつまでも付き合っていくのだろうと思われた人生は、ある日唐突にそれを終わらせるヒントになるものが私の手のひらに舞い込んできたと共に、今の私にはこれからどうなるかまるでわからない道を辿って行くこととなる。
さぁ、私の進んでゆく先の見えない道は絶望に満ちているのか、希望に溢れてるのか。今はまだわからないけれど、後悔することだけは無いだろうね。
初めまして、詩空と申します。
今作が初めての投稿となりますが、不慣れな事も多いので長い目で見守ってくださると個人的にはとても嬉しいです。
次話は1時間後に投稿します。




