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【資本主義無双】異世界が太平洋に出現したが、狂った転生商社マンとマッハ1のウサギ村長が地球の超大国を丸ごと買い叩く  作者: 月神世一


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EP 14

ガオガオンの雷、再び(法の執行)

ゴロゴロ……ッ!!

荒野を埋め尽くしていた銃声と怒号が、天を裂くような圧倒的な雷鳴によって完全に掻き消された。

上空を覆う漆黒の雷雲から、黄金の光が降り注ぐ。

その光の中から姿を現したのは、神話の威容を体現する超巨大な機神。ライオン型の巨躯に、朱雀の翼、白虎の爪、青龍の尾、玄武の甲殻を備えた絶対的な法の番人——聖獣機神ガオガオンだった。

「……あ、ああっ……」

月光薬のコンボイに群がり、互いに銃や剣を向けていた各国の兵士たちは、その場に縫い付けられたように動けなくなった。

見上げるほどの巨体から放たれる『神威』。それは生物としての根源的な恐怖を呼び起こし、彼らの手からボロボロと武器を取り落とさせた。

『——愚者どもよ』

ガオガオンの声は、物理的な音ではなく、直接彼らの脳と魂を震わせるように響いた。

『純白なる慈愛によってもたらされた平和を、己の強欲エゴで踏みにじるか。人間とは、どこまで堕ちれば気が済むのだ』

ガオガオンの黄金の瞳が、眼下でいがみ合う数千の兵士たち、そして、遠く海上で砲門を向けている出雲艦隊を見下ろした。

『宣戦布告なき武力衝突。国連憲章第2条4項(武力行使の禁止)、ならびにハーグ陸戦条約に対する重大な違反行為と認定する』

「ち、違う! 俺たちはただ、この薬を保護しようと……!」

アメリカのPMCが言い訳を叫ぼうとするが、ガオガオンの威圧の前に喉がヒュッと鳴って声が出ない。

『詭弁は不要だ。事実は一つ、貴様らが「他者の命を奪う意志」を持って引き金を引いたという事象のみ』

ガオガオンの背後で、四神の紋章が神々しく回転し、天の雷雲が黄金のプラズマを帯びて極限まで圧縮されていく。

『——我がバイブル【罪と罰】において、罪には必ず等価の罰が伴う。貴様らが振りかざしたその「暴力の手段」そのものを、この世界から消去する!』

ガオガオンが咆哮した。

「「「うわあああああああッ!!」」」

ピシャアァァァァァァァァァァンッ!!!!

幾千、幾万もの黄金の雷が、天から荒野へと降り注いだ。

それは一切の慈悲を持たない、光の神罰。

兵士たちは絶望に目を閉じ、己の肉体が炭化する痛みを覚悟した。

……だが。

数秒後、光が収まった荒野には、焦げた肉の匂いなど一切しなかった。

「……あ、あれ? 生きてる……?」

「俺もだ! 痛いところはどこも……」

兵士たちが恐る恐る目を開き、自分の体をペタペタと触る。誰も死んでいない。怪我一つ負っていない。

しかし、彼らはすぐに『決定的な異常』に気がついた。

「じゅ、銃が……! アサルトライフルが消えてる!」

「俺のナイフもだ! 通信機もない!」

「馬鹿な……魔導剣が、ただの木の枝になっているぞ!?」

雷が焼き尽くしたものは、兵士たちの『命』ではなかった。

彼らが手にしていた小銃、兵器、魔導具、さらには身に着けていた防弾チョッキに至るまで、他者を傷つけ、防ぐための『一切の軍事的手段(暴力)』だけが、完全に原子分解されて消滅していたのだ。

それは現場の兵士たちだけにとどまらなかった。

『総司令! 出雲艦隊全艦の主砲、ならびにミサイル発射管が……謎の光に包まれて、完全に消失しました!!』

『大将! 第七艦隊の空母から、戦闘機が跡形もなく消え去りました! エンジンはおろか、ボルト一本残っていません!』

地球の首脳陣たちのいる司令室に、悲鳴のような報告が次々と飛び込んでくる。

「ば、馬鹿な……」

ワシントンで、フォークナーが葉巻を落とした。

「兵器だけを……軍隊の牙だけを、綺麗に抜き取ったというのか……!」

ガオガオンは『法』の執行者である。不必要な虐殺は行わない。

「武力行使」という罪に対する最も完璧な罰。それは、彼らから暴力を振るう手段そのものを永久に奪い去ることだった。

『——これにて、刑の執行を完了する』

ガオガオンは、武装を解除され、ただの「丸腰の人間の集団」と化した大国たちを見下ろして、厳かに告げた。

『再びこの法を乱す者があれば、次なる裁きは肉体の消滅と知れ。……【ツァラトゥストラはこう語った】。己の小さき欲を知れ、人間よ』

黄金の巨神は、再び分厚い雲の中へと姿を消し、後には静寂だけが残された。

「……終わったか」

ポポロ村の執務室。

政宗は、モニター越しにその一部始終を見届け、ふぅと長く煙を吐き出した。

これで、盤上から「軍事力(暴力)」という駒が完全に排除された。

ガオガオンの雷によって武力を無力化された大国たちは、もはやポポロ村に対して指一本触れることはできない。

『……ハッハッハ! ああ、恐ろしい。恐ろしい竜じゃ!』

日本の若林幹事長が、モニター越しに狂ったように手を叩いて笑っていた。

彼だけは、この絶望的な状況にあっても、政宗が仕掛けた盤面の『芸術性』に酔いしれていた。

『見事じゃ、力武政宗! 貴様、あえて餌を撒き、我々の「欲」を利用して引き金を引かせおったな! ガオガオンという絶対のルールを利用し、世界中から「暴力」を消し去る大掃除クリーニング……恐れ入ったわ!』

フォークナーやオルロフ、張大使が、モニター越しにギリッと歯軋りをする。

彼らは気づいたのだ。自分たちは、この日本人の若者の手のひらで、見事に踊らされて自滅したということに。

「……勘違いするなよ、ジジイ共」

政宗は、魔導端末のカメラを鋭く睨みつけた。

「俺は世界から暴力を無くして、平和を祈るようなお花畑の聖人君子じゃねえ。……暴力ルールが消えたなら、別のルールで支配する。それが『商社マン』だ」

政宗の指が、魔導端末のエンターキーに乗せられる。

彼の後ろで、リバロンが冷徹な執事の顔で控え、早乙女蘭のウサギのアイコンが楽しげに点滅していた。

「さあ。武力を失ったお前らに、残された最後の『現実』を教えてやるよ」

真のクライマックス。

武力を無力化された大国たちに突きつけられる、資本主義の最も残酷で、絶対的な『支配の宣告』が、今始まろうとしていた。

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