16話 鉱石の光
タルフとハナは時間の許す限り、蔵の中で色々と試す事にしたのだ。
僕は不思議な鉱石を少しだけ取ってくると、表面を削り取り、粉末状にしたのだ。
石と言っても、それほど硬い成分では無かったようで、少量であれば容易に採取する事が出来たのだ。
不思議な事に、薄茶色をしていた石の塊が、粉末化する事でキラキラと金色に輝き出したのだ。
タルフは粉末状にした鉱石をじっくりと眺め、ハナの持ってきた薬と、どう反応させるか考えたのだ。
熱をかけるか・・・抽出した物を使うべきか・・・タルフが色々悩んでいる横で、ハナは深く考えずに少しの鉱石の粉末とハナが前もって作っておいた痛みに効果のある薬を乳鉢に入れて混ぜていたのだ。
「ハナ!
ただ混ぜるだけでは反応は起きないと思うよ。」
「え?そうなんですか?
二つを一緒にするだけで良いのかと思いました。」
「それだけで反応が進むならすごいんだけど・・・」
タルフがため息混じりに続けて何か言おうとした時、ハナの目の前にある乳鉢の中身が徐々に輝きを増し、眩しいくらいの光を発したのだ。
「何?」
ハナは驚いて、猫の姿のタルフの後ろに隠れたのだ。
「え、何で?」
タルフも思いがけない輝きに目を細めたのだ。
どうも、タルフの心配をよそに、ハナが混ぜていた物が何らかの反応を起こした事は間違いなかったのだ。
そして、乳鉢の中の光はすぐに落ち着き、元の金色の粉末に戻ったのだ。
「タルフ・・・今、どうなったのかしら?」
タルフは乳鉢の中の粉末を手につけ、ペロリとしたのだ。
猫の姿のタルフだが、その物質を摂取することで成分解析を試みたのだ。
すると、本来の生薬より何十倍も活性化された物質に変わっており、鉱石にかけられた大いなるエネルギーが生薬を別の物に変えていたのだ。
ただ、元の構成成分が損なわれたわけではないため、本来の薬効などは同じと思われたのだ。
しかし、これを摂取した事による効果は、実際試してみないと、タルフでもわからなかったのだ。
タルフは意識だけの存在であり、タルフの作った身体がこれを摂取したところで、本来の効果を測ることはできなかったのだ。
だが、これをハナや他の人に摂取させるには危険が伴うのだ。
生身の体に使用することでのリスクを考えると、この物質はこれ以上どうすることも出来なかった。
タルフの世界であれば、まず別の生き物で実験を重ね、人に使える物であるかを試すのだが、この世界で出来る事ではなかったのだ。
「ハナ、この鉱石を混ぜた物質はすごいエネルギーがある事はわかったよ。
薬の効果も損なわれていないと思う。
それはわかるんだけど、どのくらいの効果があるかを調べるには、実際に摂取しないと何とも言えないんだよ。
でも、これをいきなり人が摂取するのは危険なんだよ。」
「私、飲んでみますよ。
もし、それで何でもなかったら、大丈夫でしょ?」
「それは出来ない!
絶対だめだよ。
何かあって、本来の世界に戻れなくなったらどうするんだよ!」
タルフはつい声を荒げてしまったのだ。
「そうですよね・・・
ごめんなさい。」
ハナは申し訳なさそうな顔をして下を向いたのだ。
「・・・ごめん、僕も強く言ってしまって。
どうするか考えるから待ってて。
とりあえず、他の鉱石を使って、同じような事が起こるか、試してみよう。
成分の解析は出来るから。
ハナ、混ぜるのはお願いして良いかな?」
「はい。
焦っても仕方ないですね。
じゃあ、まずは色々な鉱石で試してみますね。」
ハナそう言って、目を輝かせたのだ。




