相16
オウラ4世の時代に活躍したのは、王侯貴族だけではなかった。五大貴族の新事業は、平民である技術者・職人達と共同で進められていたのだ。
技術や技能を持たない平民も、魔石の多様な活用法を編みだした。藁・竹を木の魔石で製紙原料に適した加工を施し、教科書による画一的な教育や、政策・情勢を周知する新聞の発行へと繋げていた。
人口が急増しても食糧難に見舞われなかったのは、土の魔石で農地の用排水路を整備したり、牛乳を火と水の魔石で蒸気殺菌し供給を広げる等、平民が考案した農・畜産業における魔石の活用法を、王侯貴族が全国へ広めたからだ。
シーコックに明治維新や要人暗殺のような内乱はなかったが、革新的な近代化は明治時代と酷似していた。
私は『センター』へ、日本で起こった社会事象が『箱庭』に再現されるものなのかと質問してみた。すると『箱庭』は独立した閉鎖空間のシミュレーション仮想世界なので、有りえないとの回答だった。
ならば、オウラ4世が聡明な名君だったのだろうかとステータスを確認したら・・・真逆だった。
自身の欲望に忠実で好色なところに、美麗な容姿が王族の性質であるカリスマ性を悪い方へ発揮して、無節操で破天荒な国王に仕上がっていたのだ。
・・私はしみじみと、攻略対象の王太子ファウストの全ステータスを、手動で確定しておいて良かったと思った・・。
よくよく調べると、魔石の効率的無効化システムはオウラ4世が平民女性との火遊びの際、庶民が使う風呂釜の火の魔石をいくつも駄目にした経験から構築していた。
リヴェール一族の戸籍管理も、『フジツの世代』と称される、オウラ4世とつるんでいた同年代の貴族達が、平民との間に作りまくった庶子を洗い出して管理する意味合が大きかった。
心労が絶えず倒れたオウラ3世に替わってオウラ4世が王位を継ぐにあたり、国民の反乱を未然に防ごうと、前宰相と五大貴族頭首達が根回しに奔走していた。
『フジツの世代』の事後処理やシーコック近代化を進めていたのは、オウラ4世達の親や子供の世代だった事が分かった私は、西洋占星術の世代相に思い至った。
土星より遠くの天体はゆっくり動くので、天体の星座の位置が同じくする人々(世代)が出てくる。
冥王星だと逆行期間を除くと、オウラ4世の生年を含む1824年~1853年生まれは牡羊座に位置し、リスクが有っても目的に進む傾向が有る。
1853年~1885年は牡牛座で豊かさを求め未知な新しいものを生み出し、次の双子座は情報を集め、柔軟に次の段階の発明へ結びつける。
この世代相は、私がステータス項目に取り入れるのを諦めた西洋占星術の解釈の一端だ。なので『箱庭』に影響する筈はなかったのだが・・・。
現実世界では2020年12月末に、西洋占星術で「風の時代」の到来が話題となった。「風の星座」である水瓶座で250年ぶりに土星と木星が重なり、次いで冥王星が水瓶座へ移動するからだ。
明治時代は「地の星座」である乙女座と牡牛座・山羊座で、土星と木星が重なる「地の時代」だった。そして、天王星と冥王星が「地の星座」牡牛座に出たり入ったりした事で、日本の大変革が促されていた。
天体同士の配置や星座は、個人だけでなく社会全体に転換期となるような影響を与える。
私はステータス増減に採用した『メッセージ占い』で取扱った10天体が、現実世界と同じようにシーコック国王オウラ4世が治めた時代へ影響したと考えた。
・・見鷹君の言った『独特な超常的観点』だ・・。
今日の発表は、明治時代に実際有った近代化と類似した『箱庭』の発展を、西暦1868年周辺の10天体の動きにおける西洋占星術的解釈に照らし合わせながら説明するのだ。
但し説明には、まず始めに秀島氏の要望で『アイ』の生年月日を起点に、『箱庭』内の全キャラクターの生年月日が決まる前提があり、それによってオウラ4世の即位が、西暦1868年に相当していたと述べる必要があった・・。
『箱庭』の10天体は過去のデータであり、かつ占いでステータス増減値を導く為に取り扱っただけだ。
しかしながら、シミュレーション仮想世界『箱庭』で、現実世界と同じように天体の影響があった、という観察結果なのだ。
占い好きのおばさんの、思い込みが激しいこじつけだとされたら、それまでだった。




