相3
そこで私は、星同士が織りなす様々な角度は考慮せずに、星の位置の度数で占う占星術『メッセージ占い』を取り入れることにした。
ホロスコープは、出生地である地球を中心とした360度の円に、出生日時の星々の位置を記号を使って表示する。
その円の360度の1度ごとに設けられたメッセージから成立つ『メッセージ占い』は、出生日時の星々が置かれた度数より、メッセージを導き運勢を読む。この占星術をキャラクターステータスに取り入れたら良いのではないかと、私は思い至ったのだ。
誰でも簡単に出来る占いだが『メッセージ占い』の360個のメッセージは、アカシックレコードより降ろしたとか、アトランティス時代から継がれてきた説などミステリアスな由来があり、私の気持ちを高ぶらせるものだった。
そして実際に占ってみると導かれたメッセージは、性分や境遇と驚異的に合致するという、とても不可思議で精度の高い占星術なのだ。
私は『箱庭』のキャラクター設定では、主要10天体の度数だけを扱うことにした。
10天体は、太陽は自分自身・意識、火星は本能・エネルギー、月は感情・母性など、それぞれに意味を持っている。10天体が表す意味に該当するステータスの項目を分類して、『メッセージ占い』の各メッセージに反映するステータス項目を私の解釈で複数選び出し、0~100まであるステータス値ゲージの増減値をあらかじめ定めておく。
10天体×360通り、且つ一個のメッセージにつき三十前後のステータス項目の増減を要したが、私はそれ程、苦ではなかった。
『箱庭』のキャラクター設定であるステータスは2300項目あったのだが、10天体が持つ意味と比較的容易にリンクすることが出来たからだ。
さらに、『メッセージ占い』の360度1度ずつに設けられたメッセージは、一般的な12星座で分割されていて30度ごとに規則性があり、私の独自の解釈でステータスの項目を選び増減値を決める作業には恵まれた構造だった。
初期値のキャラクターステータス設定には、4分の3の遺伝要素と4分の1のランダム要素があった。それに加えて『メッセージ占い』を使用し、私独自で項目を選び作成したステータスの増減値を足し引きするのだ。
『量子コンピュータオンライン研究センター』から配られたソフトウェアには、『箱庭』の企画仕様書を書くページがあり、ここへ創りたい『箱庭』の内容を書いて送信し、審査されるシステムだ。
私が企画仕様書のページに、3日かけて作った10天体の360通りのステータス項目増減値表を貼り付けていると、『量子コンピュータオンライン研究センター』からの『メール』を受信した。
そのメールには、二番目に審査が通った『箱庭』の説明と、新たな初期設定について書かれていた。
二番目の『箱庭』は有名なゲームを模していたらしく、日本に急に現れたダンジョンを攻略するとダンジョンは消え、また新たなダンジョンが現れる剣と魔法の世界だった。
ダンジョンに出現するモンスターは、実在する動物に手を加えていた。それからゆくゆくはチートに強くなる主人公的男性キャラクターを、模したゲーム準拠で設定したらしかった。
(量子コンピュータオンライン)『センター』はこの箱庭のケースを鑑み、雛形にしたいゲームがあれば、ゲーム名と最低限の設定内容をまず『センター』へ送信するよう伝えていた。
ゲーム名を受け取った『センター』は、配ったソフトウェアの初期値箱庭を送信された内容へ、24時間後にはアップデートしておくというのだ。こうしてゲームの世界になった『箱庭』を確認してから、改めて詳細な企画仕様書を作成し、審査に出せとのお達しだった。
「翌日にはゲームの世界にアップデートなんて・・・これ絶対、量子コンピュータを使ってるよ。」
「3年かかる計算、1秒で終わりますからね・・・。」
センターからのメールを読んだ夫と見鷹君は、乾いた笑いを浮かべ合っていた。
この研究室の在籍者は、ゲームと言えばロボットアクションバトルゲームだった。
作中の『メッセージ占い』はサビアンシンボルを参考にしています。
(参考にしたと言うには恐縮してしまう位、導入部分にしか触れていませんが)




