哀4
アッシュが去った逆方向へ歩くと、間近に生徒会室はあった。
俺とイコリスが生徒会室へ入ると、ファウストは重厚な机の分厚い天板に両肘をついて、白い手袋を嵌めた手を顔の前で組み座っていた。そしてジェネラスとチェリンが、ファウストを挟んで両隣に立っている。
大きな窓を背にしているので、逆光により3人の表情がはっきりしない。
手前に設置された大きな長椅子には、足を組んだトゥランが一人で座っていた。
「イコリスとは同じクラスだけど、校内で話すのは久しぶりだね。」
ファウストの言葉にイコリスはすぐ返事をせず、周囲をきょろきょろ見ていた。
「そうね。・・・ラビネとフラリスは居ないの?」
「ラビネは後で来るよ。フラリスはブリストン頭首邸で同級生と、高強度新素材の建造役割と問題点の勉強会だ。」
「・・・フラリスの勉強会は学生だけなのか?・・・誰が参加しているんだ?」
俺はどうもひっかかるのでファウストに訊ねた。
「旧生徒会のレンジー・ブリストンが協力するようだ。学生ではアッシュ・エイシムが主導して、他は技術者クラスの女生徒が4名だな。平民の学生と学院外での勉強会だから、交流計画申請書が提出されている。」
俺とイコリスは、互いに目を丸くして視線を交わした。
「ついさっき、廊下でアッシュと会ったよ。これから課外活動だと隣の部室棟へ行ったけど・・・。」
「・・・今日の放課後、アッシュは課外活動なのか?」
「ええ。私達が生徒会室へ行く事を知って、ついでにアッシュの所属する部へ見学に来ないかって誘われたから、多分間違いないわ。」
「はあ・・・。フラリスの奴・・・。」
俺達の話を聞いたファウストは、溜息をつきながら目頭を押さえた。
レンジー・ブリストンは事前登校でフラリスを庇い連れ帰った、前期の旧生徒会役員だ。彼は元々かなりの男前なのだが、在学中は眼帯との相乗効果によりフラーグ学院で一番、女子から人気があった。
女生徒の勉強会への参加は、彼の名前で決めた可能性が高い。
しかしこの様子だと、レンジーも勉強会に参加しているか怪しかった・・・。
(フラリスもなかなかやるな。)
俺が心の中でフラリスのやり口を認めていると、イコリスはファウストに質問した。
「交流計画の申請内容って勉強会なの?」
「概ねそうかな。市街地へ行く理由も視察とか調査だったりね。学院内での平民学生との交流だと、申請は必要ないが。」
「そう・・・。私の申請書の提出先は王の親衛隊だと聞いたのだけど。」
「私に預けてくれれば、帰城した際に親衛隊へ提出するよ。何か予定があるのか?」
「・・・・・・官僚クラスの同級生と市街地で、貧困調査です。」
「サイナス、真の目的は何だ?」
ファウストは間髪をいれず、俺に問い質した。




