プロローグ
ずっと構想を練っていた作品です。まだプロットまでしか作成していませんが、一応完結までシナリオはできてます。少しでも多くの方に楽しんでいただける作品になるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。
「エマ少尉!一人だけ突出し過ぎだ!下がれ!」
「私はあんたの部下じゃないわよ、ルーク中尉!あんたこそ、ビビってないで前に出たらどう!?」
一方的に通信を遮断された。エマ少尉は、いや、エマは俺の言うことなんか聞いてくれやしない。今に始まったことじゃない、仕官学校の時も、ハイスクールの時も、それよりずっと前、はじめて会った時からそうだった。
「くそっ、無茶しやがって!」
「ルーク中尉!お転婆な恋人を持つと大変ですなあ。」
「テリー軍曹、何度も言わせるな。俺とエマは恋人じゃない。それに、軽口叩いてる暇はないぞ。」
仕官学校出だと、叩き上げの下士官になめられる。俺たちの関係を知って以来、いつもこれだ。
「これは失敬。じゃあ、まだ恋人じゃないエマ少尉に、活躍して良いところを見せませんとな。」
「だから・・・、うおっ!」
タイミング悪く、集中を切らせたところに、敵が現れた。
「くそ!」
咄嗟に引き金を引く、目の前で化け物、ファントムがバラバラになっていく。
「くそ!エマ少尉!・・・エマ!」
無視して通り過ぎようとするエマを引き止める。
「あら、ルーク中尉。戦場でボーッとしてたら危ないわよ。テリー軍曹から聞いたわ。」
あの野郎、余計な情報ばかりすぐに流しやがる。大事な伝達事項に限って、うっかりだかなんだか、伝え忘れるくせに。
「俺のことはいい。それより、さっきの動きはなんだ!小隊で一人だけ突出して・・・、死にたいのか!?」
結果的に一番の戦果を挙げたのはエマだ。だが、あんなことを繰り返していたら、いつか死んでしまうか、運が良くて大怪我だ。
「それは、あなたが臆病だからでしょう。私はやれるからやってるだけ、お坊ちゃんにはわからないでしょうね。年次が一つ上ってだけで威張らないで。」
「心配して言ってやってるのに・・・、知らないからな!」
俺たちの仕事は地球外生命体、ファントムから地球を守ることだ。そのために、厳しい訓練を乗り越えて、EDF(Earth Defence Force、地球防衛軍)に仕官として、俺も、幼なじみのエマも入隊したというのに。
オペレーションルームに戻る。中隊長のオリバー大尉から、第二小隊長、叩き上げの少尉であるバーナード少尉、第三小隊長のエマ、そして第一小隊長の俺に、今回のミッションについての講評が述べられた。端的に言えば、エマの働きを絶賛し、俺の消極性に対して叱責する内容だ。
確かに、エマの戦果は誰もなし得たことのない大きなものだ。だが、あんなやり方じゃ、いつか失敗する。なんで誰もわからないんだ。
「Mission complete」、目の前に大きく文字が表示されると、俺は現実に引き戻される。
「今回も、うまくやれなかったな。」
世界初のVRMMO、日本の誇るエンジニアたちの血と汗と涙の象徴。毎週土曜日、午前0時から一時間だけ、たった百人のテストプレイヤーが接続できる、「Another World On-line」。接続している間は現実の記憶は一切なく、物語の登場人物に、まるで産まれたときからずっとそのキャラクターだったかのように異世界を体験できる、その夢のようなゲームのテストプレイヤーに選ばれたのは、一週間前のことだった。




