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挫折絶望者

山道を歩いている子供を抱いた龍也。

山頂はすでに越えて、もう少しで山を抜けられると思う龍也。

「よし!順調だ!この子を家に帰してやる!おれならできる!おれは自由!おれはここで生きていく運命だったのかもな!」

すっかりポジティブになっていた。


「おい!子連れ狼!」


振り返る龍也。

「また山賊か・・・」


「おれはお前が倒した山賊達の親分だよ、まぁ子分達の事なんてどうでもいい、今度はおれと勝負しようぜ!」

「やるしかないな・・・」

子供を下ろし刀を抜いて構える龍也。

「まぁ待て!剣を置けよ、まずは拳でやろうぜ!そのあと真剣で勝負してやるよ!」


「・・・なんで?」


「おれは楽しみたいんだよ!この勝負をすぐ終わらせたくないんだよ!」

と言って刀を置く山賊の親分。

「いいだろう」

と龍也も刀を収めて、置いた。


「最初から本気で来いよ小僧!」


「そしたらすぐ終わるぞ?」 「いいねぇ!その調子に乗ってる感じが面白いぜ!お前いま怖いもんねぇだろ?」

「あるわけねーだろ!」

山賊の親分に殴りかかる龍也。

だが簡単に避けられる。

「なんだよ!喧嘩は初めてか?」

山賊の親分の蹴りが龍也のお腹に入る。

「カハッ!?ぐッ!?」


「おいおい、子分達を斬り殺す奴が喧嘩もできねぇのか?がっかりさせんなよ!」


「くっ!?このヤロー!?」

龍也は再び殴りかかるが逆に殴られる。

二発、三発と殴られ倒れる龍也。

「ぐッ!?」


「お前最初から本気で来いって言っただろ?つまんねぇよ」


クソッ!?コイツ強い!?ハンパじゃねー!?

「もっと楽しませろよ!」

山賊の親分はさらに龍也を痛めつける。

ヤバい!?もうすでに体中が痛い!?


「もういいや!次は真剣で勝負しようぜ!」


刀を取り、構える山賊の親分。

「次は最初から本気で来いよ!おれの子分達を斬り殺したように本気でな、あっさりおれに斬られるような真似はすんなよ!」


こ、殺されるッ!?おれはここで死ぬッ!?

龍也に戦意はもうなかった。

龍也は完全に心が折れていた。


子供が大泣きをしていた。


「うるせぇな、先にこいつを殺すか」

山賊の親分は泣きじゃくる子供の方に近寄って行く。


そこに龍也が割り込み、子供を抱いて走り去る。

あ然としながら、立ちつくす山賊の親分。

龍也は走った。

龍也は泣きながら走った。


しばらくして龍也は足を止める。

「ハア!ハア!アイツは追ってこなかったのか?」

うまく逃げられたよーだ!

しかし「怖いッ!?もう戦いたくない!?」

次は死んでしまうかもしれない!?


すっかりネガティブに戻っていた。

最初は自殺をしようとしていたが助かり、助かったと思えば過去にタイムスリップして砂浜で海賊に襲われたが助かり、山賊に襲われたときはそれを返り討ちにして、幾度の危機を脱出してきた事によって、自分は死なない、自分は助かる、自分は生き残ると、錯覚してしまっていた。

龍也は泣き崩れた、いままでにないほど龍也は生き甲斐を感じていた、これまで味わった事がなかった身体が熱くなると言う感じまで龍也は初めて感じていたが、純粋に殺し合いを望む相手を前にして、そしてその相手に打ちのめされ、龍也は恐怖した。

龍也はもろくも崩れ落ちた。

「おれは弱いッ!?もう限界だ!?」

龍也は大声を出して泣いた。


そのとき子供が、


「かいん・・・えいん・・・たい・・・」


と言葉を発した。


「お前まさか・・・帰りたいって、言ったのか?」


帰りたい、


それは龍也がこの時代に来て何度も言っていた、一番言っていた言葉だった。


龍也は何かが吹っ切れたような気がした。


「そうだな!お前も帰りたいよな!お前の家に帰ろう!そしておれも自分の家に、自分の時代に帰る!」


龍也はそう決心して歩きだす!


しかしこの戦いからは逃れられない。


「よう!小僧!お前の刀も持ってきてやったぜ!」

山賊の親分は諦めていなかった。

「さぁ斬り合って斬り合って、殺し合いをしようぜ!!」


山賊の親分を倒さなければ先へは進めない。

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